取引プラットフォームの提供で、世の中をもっとシンプルに — 株式会社Misocaの大沢香織氏にインタビュー

投稿者: | 2017-06-30

名古屋で活躍するITベンチャー企業、株式会社Misoca。みなさんも普段お仕事をされる中で、Misocaの請求書発行サービスを利用したことがあるかもしれません。Misocaは2016年2月から会計ソフトウェアを提供する弥生株式会社(本社所在地:東京)のグループ会社となり、今後は請求書作成サービスだけにとどまらず、新たな事業展開にも力を入れていくようです。

今回は、2017年3月からMisocaにジョインし、現在新たなサービス開発の要として働いていらっしゃる大沢香織氏にインタビューをさせていただきました。Misocaと弥生が今後進めていく展開とは、一体どんなものなのでしょうか。詳しいお話を伺っていきましょう。

— はじめに、大沢さんのプロフィールを教えてください。

株式会社Misocaの大沢香織です。私は普段は東京に住んでいて、夫と子供が一人います。Misocaではカスタマーディベロッパーとして働いています。日本語にすると「顧客を開発する」という意味になりますが、現在は新規事業開発に近い仕事もしています。中でも特に、Misocaの新たなサービスである受発注機能の開発を担当しています。

— 新たなサービスが始動しているのですね。その受発注機能について、詳しく教えていただけますか?

画像引用元:株式会社MisocaのHP 「受発注機能

Misocaは請求書や見積書を作成・発送するサービスとしてみなさまにご利用いただいていますが、実は2015年ごろから受発注機能の開発を始めていました。この機能を使うと、見積書を発行した相手とチャット画面上で詳細なやりとりができ、受注まで進めていくことが可能です。受発注機能に関しては、これまで表立てずに開発を進めてきました。しかし2016年にMisocaの親会社となった弥生株式会社とともに事業開発をする中で、これまでの「帳票発行のMisoca」から「取引プラットフォームのMisoca」に推移する一環として、受発注機能の充実にさらに注力して取り組む運びとなりました。現在は、主にWeb開発に携わる方やデザインの仕事をしている方が発注・受注をする際に、この機能を利用しています。

私はカスタマーディベロッパーとして、Misocaのユーザー様にインタビューをしたり、こんな機能を作るともっとお客様が増えるのではないか?といった視点で新規機能の開発にも関わったりしています。

— 大沢さんご自身は、最近Misocaにジョインされたそうですね。

広々としたMisocaのオフィス内

そうです。実は、私自身もMisocaジョイン前に起業した経験があり、ほぼ同世代であるMisoca創業者の豊吉や松本とはもともと同じスタートアップ業界で活動していました。私の会社は資金調達しながら親子向けのサービスを行っていましたが、そのままやっていても事業がスケールしないと感じていました。事業内容を見直して、新しいことに挑戦するか、それともすでに面白いことをやっている会社にジョインするか考えていました。

ところで、もともと私はMisocaのヘビーユーザーで、Misocaに関する私のツイートがMisocaのプレゼン資料に使われるなんてこともあったんです(笑)

Misocaが帳票発行サービスから取引のプラットフォームになっていく段階で、改めて事業を考えていきたいという話があったので、それならばぜひ一緒に仕事をさせていただきたいと思い、Misocaにジョインしました。

— 新機能の開発を進める上で、大沢さんの役割はどのようなものですか?

Misocaと弥生のつなぎ役のような存在だと思います。2つの会社は、常に連携をとることが必須になっていきます。Misocaは名古屋、弥生は東京に所在していますが、たまたま私が弥生のある秋葉原付近に暮らしているということで、2社のつなぎ役にぴったりだったのです。Misocaの社員でありながら、弥生の社内でも働ける環境にあるので、Misocaと弥生の連携が必要なときには、私が担当窓口として出向くことができます。

名古屋には週に1~2回戻ってきます。実家が岐阜県可児市なので、名古屋に帰ってくるときは実家に帰ることも多いですよ。

— Misocaと弥生を繋ぐ重要な存在なのですね。今後、取引のプラットフォーム化を進めていく上で、意識していることはありますか?

普段は小学生のお子さんを持つ、働くお母さん。

取引のプラットフォーム化は、豊吉が創業当初から考えていたことなので、しっかりと拡大していきたいと考えています。また、私自身はもともとMisocaユーザーだったので、単純にユーザー視点から「受発注機能があったらすごく助かる!」という気持ちがよくわかるのです。私の立ち位置としては、内部の人でありながら外部の人でもある、ユーザーの気持ちと開発者の気持ちが両方理解できる存在だと思います。今後はMisoca内部の人間として動いていきますが、ユーザー視点はなるべく失わないようにしていきたいです。

また弥生シリーズは今年で30周年を迎え、弥生も歴史のある会社になりました。当然Misocaと比べるとスピード感は違います。Misocaのベンチャー的なスピード感は失わず、その上でレガシーで素晴らしい企業である弥生とともに事業を進めるにはどうしたらいいか、常に考えています。スタートアップと大企業とではどうしても上手くいかないことが出てくるとは思うのですが、2社が「取引のプラットフォーム化」という同じ目標に向かっていることは間違いありません。いわゆる音楽性の違いのような、細かな点を私が上手く調整できたらいいなと思っています。

— 取引のプラットフォーム化、いわゆるコネクトEDI構想は、今後世の中でどのように展開していくのでしょうか?またその中でMisocaはどのような役割を果たしていくのでしょうか?

現在ですと、何かを注文するシステムを使った場合、発注側と受注側が同じシステムを使用していなければなりません。ある人がAのシステムを使い、Bのシステムを使用する別の人にも注文内容が伝達される仕組みは、実は何十年も前から日本中でさまざまな人たちがチャレンジしてきた課題でしたが、なかなか実現には至ることができなかった世界観なのです。

弥生グループとしては、この仕組みを実現すればシステム依存のような問題が起きなくなり、受発注が自然にできるようになると考えています。一からシステムを入れ替えるような手間がなくなる世界を作っていきたい、これが弥生グループが現在考えているEDIの構想です。Misocaがそういった世界を作ることにより、お客様はさまざまな事務作業から解放され、本業や自分のやりたいことに使える時間をもっと増やしていただきたいと考えています。何といってもMisoca代表の豊吉がフリーランス時代だったころに、請求書の郵送がわずらわしかったことがMisocaスタートの原点ですからね。彼は世の中をもっとシンプルに、仕組み化していくことが好きなんですよ。

— 大沢さんがMisocaで発揮している強みは何だと思いますか?

リモートワークを利用する全国のMisoca社員とは、常にビデオカメラで名古屋本社との連絡が可能。

たとえば、開発メンバーが必要としている情報があれば、私がすぐに動いて情報を取りに行ったり、色々な許可が必要なときは許可を取りに行ったり。仕組みだけではどうにかならない部分をカバーする強さはあると思います(笑)Misocaではリーン開発の形式を重視していますが、私個人としては、リーンだけでは解決できない部分を補っていると言えるかもしれません。今までMisocaにはいなかったタイプの人間だと思います。

前述の通り、私は自分が経営していた会社を手放し、同期が経営しているこの会社にジョインしました。日本のスタートアップシーンではたくさんのスタートアップが現れますが、資金調達ができずに受託ばかりになってしまったり、資金調達ができてもシリーズAの先まで伸ばすことができなかったり、複数創業者がいればトラブルがあったりと、なかなか上手くはいかないものだと思います。しかし、私はスタートアップ業界のエコシステムを上手に使っていきたいと考えています。

— スタートアップ業界のエコシステム、大沢さんはどのように捉えているのでしょうか?

2013年に大沢さんが Tech Crunch Disrupt SF に参加した時、会場にいた人たち。”90%のスタートアップは死ぬ” 。

スタートアップシーンでタケノコのように続々と現れる事業の中でいくつかは成功しますが、確信を持って立ち上げた事業でも、当然その多くは失敗してしまいます。「失敗して当然」という考え方は日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、私の場合は失敗を早めに理解し、経営していた会社をクローズしました。失敗を自分一人だけの失敗として終わるのか、それとも「この失敗はスタートアップのエコシステムに組み込まれた一部なんだ」と考えるのでは、全く違ってくると思います。

私がMisocaにジョインしたのもまさにエコシステムの一環だと考えています。成功している会社にジョインすることも、スタートアップ業界における一つの方法だと思います。もしも現在ご自身の事業に関して苦しんでいる方がいたら、他のところにジョインする方法もアリだと知ってほしいです。採用する側であるMisocaとしても、そういった方にはぜひ来てほしいと考えています。スタートアップの苦楽を知っている人のほうが強いし、気合が入っていると思います。Misocaはスタートアップ業界の流れに乗ってM&Aを成功させ、弥生グループの一員として事業を行っていくわけですから、今後も面白い経験ができると思いますし、私たちも面白い採用をしていきたいと考えています。

— 今後のMisocaの新たな展開、とても楽しみです。

これからは取引のプラットフォームのMisocaとしても認識していただけるよう、新たな機能をどんどん追加し、会社としてもさらに大きく成長していきたいと考えています。今までMisocaのユーザーとして使ってくださっていたみなさまにも、ぜひ新しい機能を積極的に試していただきたいです。

編集部コメント

大沢さんのお話から、弥生との連携によってMisocaが掲げるコンセプト「世の中を仕組みでシンプルに」がさらに大きな形となり、世の中をもっと便利にしていくと予感しました。みなさんも、Misocaの新機能をぜひ試してみてください。

また、大沢さんの仕事やスタートアップ業界が大好きな気持ちがお話からとても伝わってきました。女性がまだまだ多くはないといわれるスタートアップやベンチャー業界の中でも、出した成果によって男女問わず平等に評価されるような社会を目指したいと語る姿は、同じ女性としてとてもかっこよかったです。