経産省も認めた名古屋のヘルステックベンチャー「ヘルスケアシステムズ」ってどんな会社?取締役の萩原氏に聞いてみた #NALIC特集

投稿者: | 2018-04-10
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中小機構が運営する名古屋医工連携インキュベータ、その名も「NALIC (ナリック)」。このNALICでは、産学連携のR&Dを中心とした愛知県内の医療・工学系ベンチャーが、数多く入居しています。NALIC特集第2弾は、名古屋大学発ベンチャー企業のヘルスケアシステムズが登場です。今回は同社取締役の萩原氏にインタビューをお願いし、ヘルスケアシステムズの目指す健康経営について語って頂きました。

萩原 啓太郎 氏|プロフィール

1986年生まれ、東京都出身。株式会社ヘルスケアシステムズ取締役。東京工業大学の博士課程を卒業後、九州の産業医科大学にて助教として研究開発を行う。2016年にヘルスケアシステムズにジョインし、同社取締役に就任。

アカデミックの世界から、R&Dベンチャーの世界へ転身した萩原氏

若目田:萩原さんは、もともとはアカデミックの分野にいたんですよね。

萩原:そうなんです。前職は大学の助教として教鞭をとっていました。。20代の後半くらいに、研究職以外の仕事にも目を向けるようになって、転職活動をしていた時にたどり着いたのが、このヘルスケアシステムズなんです。

若目田:ジョインしたのは最近なんですね。

萩原:はい、入社早々に名古屋の責任者に就任して、「これがベンチャー企業のスピード感なのか」と感じましたね(笑)

若目田:なかなか珍しいご経歴だと思います。

名大発ベンチャー「ヘルスケアシステムズ」とは?

若目田:そんな萩原さんが取締役を務めるヘルスケアシステムズですが、研究開発の領域ということで、読者の皆さんにわかりやすいよう説明して頂いてもいいですか?

萩原:はい。弊社は簡単にいうと、健康をチェックできる検査や研究を行なっている企業です。社長の瀧本が2009年に名古屋大学発ベンチャー企業として創業した会社で、具体的には、①郵送検査、②受託検査、③臨床試験の3つの事業を行なっています。

会社の規模としては、社員は26名で、博士号を持ったスタッフが私を含めて3人います。今は千種イオンの近くにあるこのNALIC(名古屋医工連携インキュベータ)と、東京の新橋にオフィスを構えています。

健康の物差しを提供し、生活習慣のミスマッチをゼロにする

若目田:2017年には、ヘルスケアシステムズは経産省の健康経営優良法人として認定されていますよね。ヘルスケア事業をしている企業はたくさんあると思うんですけど、どういった点が業界や市場で評価されているのでしょうか?

萩原:それは、私たちの事業の考え方なのかなと感じています。ヘルスケアシステムズでは、次のようなものを掲げているんですけど…。

萩原:皆さんが体調悪い時って、お医者さんに行くと思うんですよね。そこで「風邪です」と言われて、初めて風邪を認識できる。お医者さんの判断が、体調の判断基準になっているんです。

でも、病気の一歩手前、例えば、「体がダルい」「お腹の調子が悪い」という時に、テレビや雑誌でなんとなく耳に入れた情報を元に対策をするはずです。なぜなら、判断基準がないからです。しかし、そういった情報では結果が体感でしかわからないし、何よりも継続できない。

お医者さんの言う「風邪です」のように、生活習慣にも尺度があれば、健康予防をしやすくなります。ヘルスケアシステムズは、その物差しを提供し、生活習慣のミスマッチをゼロにしたいんです。

そのために、全国の企業や大学と連携をして、様々な場所で共同研究をしています。

「安く」「簡単に」「痛くなく」

若目田:研究開発だけではなく、一般向けの商品も展開していますよね。

萩原:はい。研究だけではなく、せっかく検査できるものは商品として一般の方に提供しようということで、数種類の検査キットを販売しています。

萩原:弊社の検査キットは、「安く」「簡単に」「痛くなく」できることが特徴です。一般の方にも購入して頂きやすいよう、お医者さんとも協力して、病気に不安があるひとに対して提供できるようにしています。

売れ筋商品は「ソイチェック」。聞いたことがあるかも知れませんが、大豆には大豆イソフラボンという成分が含まれています。大豆イソフラボンは特に女性の更年期症状の緩和に効果があると言われているのですが、摂取した人全員に健康効果があるとは限らないんですよね。

若目田:個人差があるということですか?

萩原:そうです。大豆イソフラボン(ダイゼイン)はお腹の腸から吸収されますが、そのときに、ダイゼインのまま吸収される人と、腸内細菌によってダイゼインから産生されるエクオールという成分として吸収される人がいます。エクオールの方が女性ホルモンとしての働きが強く、そのエクオールを調べる検査キットになっています。

若目田:婦人科検診にも繋がりますよね。 個人的には、シオチェックが気になりました。塩分取りすぎている自覚があるので(笑)

萩原:ぜひ使ってください(笑)

成人男性は8g未満、成人女性は7g未満が厚労省の定めた目標摂取量なんですけど、日本人は平均で1日約10gは摂取しているんですね。日本人の4人に3人は、塩分の過剰摂取をしていると言われています。

WHOでは、1日5g未満を推奨していて、イギリスでは政府主導で85以上の食品に減塩を推進しているくらいです。日本食はヘルシーですが塩分が多いので、日本人のみなさんにはぜひシオチェックを試して欲しいですね。

若目田:摂取していい量が視覚化されるのはいいですね。

地域の健康文化をつくるということ

若目田:調べてみたのですが、ほぼ毎月メディアで取り上げられていますよね。 雑誌からテレビ番組まで、マスメディアでかなり注目されているように見えます。

萩原:ありがとうございます。メディア戦略にはかなり力を入れていますね。やはり一般の方にこそ使って欲しい検査キットですので。検査キットは2012年販売当初は、ほとんど売れていませんでしたが、現在では多くの方にご利用して頂いております。

最終的には、地域の健康づくりに結びつくようにしていきたいです。

若目田:なるほど。そのための具体的な事例はありますか?

萩原:2014年に、蒲郡市の協力を受けて市民約400人を対象に、カカオポリフェノールが多く含まれているチョコレートを4週間毎日一定量食べてもらうという臨床試験を行ないました。そこで生活習慣病改善効果を検証したところ、血圧や認知症予防などで有用性を確認できたんですね。

若目田:市民の健康づくりにチョコレートを活用するって、ニュース性高いですよね。

萩原:この結果を受けて弊社が考えていることは、地域の方の健康を一緒になって少しでも支えていきたい、ということです。そのために自分の健康状態を見える化したい。

例えば、ソイチェックはエクオールをチェックできる検査キットですが、将来もっと広く使われるようになった暁には、「女性の更年期症状は誰にでも起こる自然なことなんだ」「婦人科検診には行った方がいいんだ」と社会に認知させるきっかけを作ることができます。

若目田:それだけで女性が活躍できる社会づくりに繫がりますよね。

萩原:そうなんです。ヘルスケアシステムズの研究や検査は、そういった「健康をとどける」「健康文化を創る」ためのツールとなればいいなと思っています。

編集部まとめ

ヘルスケアシステムズ期待の若手エースとして、この取材にご協力して頂いた萩原氏。ヘルスケアシステムズが健康経営優良法人たる所以を感じることができました。

NALICでは、ヘルスケアシステムズのように愛知県内で注目されているR&Dベンチャーが多数入居しています。同じ領域でお仕事されている方は、お時間のある時にぜひ足を運んで見てはいかがでしょうか。