来る未来へ、アクションを起こせ|NAGOYA CONNÉCT#18イベントレポート

投稿者: | 2022-01-20


イノベーションの促進と交流の機会として名古屋市が主催している「NAGOYA CONNÉCT(ナゴヤコネクト)」(運営:Venture Café Tokyo) が、2021年12月24日(金)に旧那古野小学校をリノベーションしたインキュベーション施設「なごのキャンパス」にて、開催しました。当日は感染症対策を徹底した上でリアルとオンラインのハイブリッド形式で実施。第18回目は初の体育館を会場とし、広い空間で老若男女・学生社会人問わず幅広い方々が交流を楽しんでいました。

文:齋藤
写真:齋藤

次なる未来のために人と人とが繋がる場所


NAGOYA CONNÉCTは「ちょっとした繋がりからイノベーションを生むことができる」をキーワードに、2020年の7月から毎月第4金曜日にリアルとオンラインで開催される定期イベントで、毎回さまざまな業界の参加者が集まっています。

学びと繋がりの両方を叶えるプログラムとなっており、イノベーションに興味や関心がある方なら、誰でも無料で参加することができます。

前半は2025年に開催が予定されている大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)に携わる齋藤 精一(さいとう せいいち)さん、羽端 大(はばた だい)さん、今村 治世(いまむらはるとし)さんと、2005年に開催された愛・地球博(2005年日本国際博覧会)のプロデュースに携わった稲垣 真琴(いながきまこと)さんが登壇され、各万博の構想・取り組みについてのお話や、万博のあり方についてお話しされました。

後半のプログラムではX’mas Pitchと題して参加者から2022年に向けた宣言をしていただくピッチが開催された他、ゲストをお招きしたX’mas Show、Noël Liveも開催されました。

万博とは?

万博とは、万国博覧会の略称であり公衆の教育を目的とし、達成された進歩や将来の展望を示す国際的な博覧会です。2025年に大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)の開催が決定され、本博覧会の準備及び開催運営を行う”公益社団法人2025年日本国際博覧会協会”が設立されました。博覧会を成功させることをもって国際連合の掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献するとともに、日本の産業及び文化の発展をめざしています。

万博を知る-公益社団法人2025年日本国際博覧会協会

愛知から大阪へ。紡ぐ新しい万博のカタチ


17時から始まったプログラムにて登壇された方々のご紹介とともに万博がどのような形で進められているかをご紹介します。

最初にお話しされたのは羽端 大さん。2020年10月より、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会において、2025年大阪・関西万博の企画業務を担当されています。

「今回の万博では会期が行われる2025年より前から万博と捉え、イベントの発信だけではなくイベントが作られる段階を発信しています。どんな考え方で万博を進めているのかをオープンにする取り組みを試験的に行なっています。」とお話しされた羽端さん(画像右下)。

大阪・関西万博では既に「EXPO PLL Talks」というトークイベントが開催され、2025年の開催に向けた情報発信が進んでいます。

また、デザインの視点から未来社会の実装を検討する「Expo Outcome Design Committee」へ参加されており、万博の意義、何を目指していくのかを議論されています。

次に今村治世さん(画像右上)がお話しされました。2025年日本国際博覧会協会にて大阪・関西万博の企画・広報戦略業務を推進され、TEAM EXPO 2025プログラムやロゴマーク策定のプロジェクトも担当されました。2021年6月より三菱総合研究所万博推進室にて民間企業や公的機関などと共に万博に関する共創案件を複数遂行しています。

今村さんは三菱総合研究所が掲げている「2050年の未来社会の実現に向けた万博を活用する構想」に携わるために現職につきました。

「『万博の意義は何か』、『歴史ある万博だからこそ守るべきものと変わるべきもの』を考え、国の時代から人の時代(万国博から万人博)に変わる時じゃないかと思い活動しています。」

大阪・関西万博では「PLL(=People’s Living Lab)(未来社会の実験場)」というコンセプトがあります。会期のテーマである「いのち掲げる未来社会のデザイン」と並んで大事なワードであると説明されました。このコンセプトは、テーマ実現に向けた実験を会場内外で展開し、未来社会を考えるだけではなく行動することによって描き出すことを試みる意味を示しています。

取り組みとして、スポンサー以外が万博に関われる「TEAM EXPO 2025」プログラム、さまざまな方々が対談をする「EXPO PLL Talks」、世界の学校や学生を繋ぐ「未来の地球学校」プロジェクトなどを推進し、未来へ加速して向かう装置として万博を活用することを狙っています。

続いてお話しされた齋藤さんは、2015年にミラノ万博に携わり、2020年ドバイ万博 日本館クリエイティブ・アドバイザーをされ、2025年大阪・関西万博PLLクリエイターを勤めています。

「僕は『万博は定義が変わるべきなんじゃないか』と思っています。さまざまな産業・ものづくりがあるけれどなかなか実装ができていないというのが現状です。2025年に万博をやったからいろいろなモノが変わっていった、と言えるようにしたいと考えています。」

齋藤さん(画像真ん中)は、万博を意味あることにするために行なっていることの一つとして、インターネットを介して繋がれる万博を作る取り組みを紹介されました。「CYBER EXPO」と仮称されたプロジェクトは、世界中で同じ活動をされるNPOが出会えたり、課題の解決方法を見つけることができたり、海外での取り組みにファンドが届くようにするといったことを、オンラインという国の概念がない状態で実施できないか検討しています。

また、齋藤さんが主張にもあるように「万博はどこへ向かうべきなのか」を再定義するExpo Outcome Design Committeeに参加され、実現すべき大阪・関西万博について議論を進めています。

業界が越境しないことに課題を感じ、業界を越境し共に作っていくことができないかを考えているという齋藤さんは、万博をきっかけに大きなうねりを作ること、さまざまな業界の方々が一つにまとまり、シンキングではなく、アクションを起こしていくことを語られました。

2005年の愛・地球博(2005年日本国際博覧会)に携わった稲垣さん(画像右上)は、万博のパビリオンやコンセプトとは別に、会場へ参加した方々が万博を楽しめるような導線設計に従事されました。

(画像:当時パビリオンで使用された情報端末)

現在CEOを務めるQUALLIA株式会社でも、CX(顧客の体験価値)を向上させる仕事に取り組んでおり、2005年の愛・地球博では会場内で利用する情報端末に製作などに携わりました。

「これらのプロジェクトは万博だからこそできたことだと思っています。どこか欠けても実現しなかったことを国が主体となって動くことで実現できたんじゃないでしょうか。」と話されました。

まだ世に出ていないものを試す場とも言われる万博では、実装化されているもの以外にも、次の技術を試す場、まさに未来社会の実験場としての意義が存在することを物語っているようでした。

万博のテーマについて

2025年大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。ここに込められた意味についてもお話しされました。

「日本の健康寿命の延伸が進む中、世界では平均寿命が低い国もまだまだ存在します。いのちの寿命が短い国がたくさんあられる中で各国のさまざまな人が等身大で人生を満喫できる、人生の最後まで輝き続ける未来社会を実現することを考えたテーマとなっています。」とテーマ構想について説明いただきました。

ひらがなで「いのち」とすることでさまざまな命があることを表現されていることや、デザイン視点についても考えさせられるテーマとなっており、未来社会の起点となる万博となることが伺えます。

最後には、「多くの方々が何かしらの形で万博に携われる形を作っていきたい。」「みんなで万博を作っていきたい。」「人と人との繋がりがたくさん生まれて欲しい。」という意気込みが語られました。

2022年へ向けてX’mas Pitch!

イベント後半は2021年を振り返り、新しく来る年に向けて参加者が宣言するX’mas Pitchが実施されました。VentureCaféTokyo Executive Director山川さん、名古屋市副市長や西野局長、NAGOYA CONNECTに携わる方々が登壇され、2022年に向けた宣言をされました。

PitchにはNAGOYACONNECTを立ち上げたメンバーも集合し会場は大いに盛り上がりを見せました。

クリスマスを彩るライブ演奏

万博プログラムとX’mas Pitchに間にはDJによるライブが開催され未来的なデジタル空間のなかでネットワーキングを楽しみました。

最後にはクリスマスイブらしいNoël Liveが開催されました。

編集部コメント

万博の取り組みは国が主体となって実施されていることで、国の人々が一眼となってより良い社会の実現に向けた交流をされていることが伺えました。万国博覧会という世界が注目するチャンスを逃さず万博としてのあり方、未来社会のあり方について議論が進み、万博をきっかけにして新しいイノベーションが生まれることを期待しています。
後半に行われたX’mas Pitchも一つの繋がりを感じられる場となり、NAGOYA CONNECTに携わる方々がより良い未来に向けてアクションを起こしている、素敵な空間だと思いました。

次回開催告知


■日程
2022年1月28日(金)16:00-21:00

■開催場所
なごのキャンパス
オンライン(ZOOM)

■概要
今回のイベントのテーマは「スポーツ×イノベーション」です。スポーツビジネスは2025年に60兆円まで経済規模が拡大することが予測される成長著しい業界です。

登壇者はプロアスリートとして活躍した選手、企業に所属しながら活動してきたアスリート、アスリートを支援するサポーターの方々が登壇します。後半のセッションではスポーツ領域で活躍する起業家が登壇され、スタートアップに焦点を当てて話します。

詳細は以下のリンクから随時更新されています!

■詳細
https://ng19.peatix.com/

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