Carbon Technologies Nippon株式会社(本社:東京都中央区、以下Carbon Technologies Nippon)は、米シリコンバレー発のユニコーン企業、Carbon社の日本拠点として設立された会社です。創業者のJoseph DeSimone氏が2015年にTEDで発表したプレゼンテーション『3Dプリンタを100倍高速化する技術』は、デジタル製造業分野のみならず、日本のものづくり界隈の耳目を集めました。
今回は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営するインキュベーション施設「クリエイション・コア名古屋」の入居企業特集として、Carbon Technologies Nipponのエンジニアであるスコット氏とセールスの青木氏を取材。日本拠点設立背景や事業の展望についてお話を伺いました。
プロフィール
Scott Macpherson(スコット・マクファーソン)氏 写真右
Carbon Technologies Nippon株式会社Production Success Manager
物理学、電子工学のバックグラウンドを持つ技術サポート・ジェネラリスト。日本の半導体/自動車部門で12年以上の経験。カーボン3Dプリンティングプラットフォームのシステムおよびアプリケーションサポート、DFAM(Design for Additive Manufacturing(付加製造のための設計))トレーニングを提供する。Carbon Technologies Nipponの第1号社員。
青木 可愛(あおき かわい)氏 写真左
Carbon Technologies Nippon株式会社Senior Business Development Partner
大学卒業後、日系化学メーカーにて光造形方式用材料開発品の新規営業を担当。その後JSRにてCarbon社の日本代理店として3Dプリンタの営業・マーケティング業務に従事。2023年からはCarbon Technologies Nipponに参画。
3Dプリントのワンストップサービスで、日本のものづくりの変革を支援する
ーまずはじめに、Carbon Technologies Nipponの事業内容について教えてください。
青木:Carbon Technologies Nipponは、2017年7月にCarbonの日本拠点として設立された会社です。Carbonが素材・CADソフト・3Dプリンタを一貫してグローバルに製品/サービス提供している中で、日本でのビジネスを更に加速させるために設立しました。2023年2月まで日本国内代理店として活動していた日系大手化学メーカーのJSRからは2016年に投資を受けるなど、実はCarbonと日本は切っても切り離せない関係にあります。そして、2023年2月は、クリエイション・コア名古屋を拠点とするJapan Technical Centreが設立されました時期にも当たります。
創業7年目の会社ではありますが、SWANSブランドでおなじみのアイウェアメーカーの山本光学社のアイガード用フレームや自動巻線機メーカーのNITTOKU社のRFID製品など、日本のメーカー様でのご利用事例も増えてきました。
スコット:弊社の3Dプリンティング技術は、軽量化・開発期間短縮・少量多品種・金型では難しいデザインの実現を得意としています。軟質材から硬質材まで、幅広い対応素材(エポキシ系、シリコン系、透明樹脂、耐熱樹脂など)を揃えており、光と熱のハイブリッドを駆使した3Dプリンタときめ細やかな技術サポートで、日本のものづくりを変革する支援を提供します。
ーありがとうございます。Carbon Technologies Nipponは少数精鋭チームとお伺いしています。お二人のそれぞれの役割もお伺いしたいです。
スコット:米国に本社拠点がありますが、Carbon Technologies Nipponは立ち上がったばかりのスタートアップ企業です。文字通りどのような相談にも対応していますね。私の担当する技術サポートの仕事は、クリエイション・コア名古屋の製造拠点を使い、新規のお客様に向けたサンプル製作や3Dプリンタの見学対応を行っています。
青木:私はセールスやマーケティング等、技術サポート以外の業務を幅広く担当しています。技術サポートへの橋渡しをするセールス業務に加え、展示会出展やWEBサイト運営、クリエイション・コア名古屋にサポートいただきながら情報発信といったPRも担当しています。まだまだ日本国内での知名度に欠ける会社と認識しているので、外部発信する機会をたくさんつくることを目標にしています。
機能試作から量産までのサイクルを高速化、朝に考えたアイディアを午後には製品として納品できるものづくりの変革体験を
ーCarbon Technologies Nipponの持つ3Dプリンティング高速化技術は、日本のものづくりの現場でどのようなことができると考えていますか?
スコット:「餅は餅屋」とあるように、製造業界では、素材の調達ならA社・CADソフト導入ならB社・加工ならC社…と各専門業者に相談しながらものづくりを進めるシーンが多かったかと思います。3Dプリンタをお持ちの企業でも、複数のメーカーから仕入れた素材を試しながら、上手くいくまで何度も出力した経験がある方は多いのではないでしょうか。
どんな3Dプリンタも、人間のように癖があります。緻密な製品をつくる際は、この癖を考慮した上での素材選びやデータ出力をする必要もあるでしょう。我々は素材⇔ソフトウェア⇔3Dプリンタを三位一体で最適化することで、精密なCADデータを再現しているのです。
また、弊社ではあらゆる業界・領域の専門家を本社に集め、お客様の要求1件1件に対し、多角的にブレインストーミングできるような環境を社内に構築しています。その結果、どのようなオーダーが来ても*ファンクショナル・プロトタイピングの速度を劇的に早めることができるのです。将来的には、朝に考えたアイディアを午後には実現できるようなサービス体験を、日本の技術者や商品企画者の方にもたくさん提供したいですね。
*ファンクショナル・プロトタイピング:動作や導線を確認するための試作
ー日本のメーカーがCarbon Technologies Nipponとの取引を通じて、市場ニーズに応じた柔軟な生産をできるようになっているんですね。
クリエイション・コア名古屋をハブに、名古屋地域の若手人材・地元企業とのコラボレーション!
ークリエイション・コア名古屋の拠点を活かし、Carbon Technologies Nipponが実現していきたいことはありますか?
青木:名古屋市周辺は製造業が盛んなこともあり、業界と深い関わりを持つ教育機関が多く、ものづくりに携わる若手人材が多くいます。早期から3Dプリンタに触れている方も多いはずです。クリエイション・コア名古屋のスタッフさんは、製造業で活躍する企業様はもちろん、教育機関との関係も多くお持ちです。現在、クリエイション・コア名古屋でそういった企業様や若手人材向けのワークショップを企画しています。ワークショップ等を通じて、この地域にいる現役や未来のエンジニアの方々に、弊社の3Dプリンタを体験頂く機会をつくりたいですね。
また、ワークショップに限らず、地元のものづくり企業の方々にもクリエイション・コア名古屋の拠点に気軽に来てもらいたいと考えています。3Dプリンタはあくまでも設備であり、使い方次第で我々にも想像が出来なかった新たなものづくりを実現することもできると考えています。例えば、日本特有の職人技を足していくことで、日本ならではの3Dプリンタの使い方や事例が生まれることを期待しています!
スコット:前述したように、社内にはあらゆる製品のスペシャリストがたくさんいます。ぜひ気軽に、サンプル製作や3Dプリンタ導入のご相談をしてもらえたら嬉しいです。私もエンジニアとして、地元の技術者の皆さんとのコラボレーションを楽しみにしています。
ー今後の活動が楽しみですね。ありがとうございました!
編集部コメント
素材・CADソフト・3Dプリンタをワンストップで提供するCarbon Technologies Nipponがものづくりの街・名古屋に拠点を置いたことで、試作から量産までのリードタイムを高速化できる企業が続々と増えるでしょう。日本人の職人技とのコラボレーションにより、同社技術を活用した日本のさらなる技術発展が期待されます。
▼Carbon Technologies Nippon HPはこちら
https://www.carbon3d.com/
入居検討者の方に向けて
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▼クリエイション・コア名古屋 HP
https://www.smrj.go.jp/incubation/nagoya/index.html
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