中部経済連合会では、中部圏のイノベーションを触発し続けることを目的に展開する「中部圏イノベーション促進プログラム」を実施しています。プログラムの1つである「ビヨンド ザ ボーダー」は、若手イノベーション人材育成のためのプロジェクトです。中部圏の大中小企業の参加者約25名が、半年間に渡って起業や社内ベンチャーの事業開発を目指します。この記事では、ビヨンド ザ ボーダーの参加者3人にインタビューをし、それぞれの参加の経緯や今後の会社での展開について伺いました。
「いろいろな企業とネットワークを作れる有用な機会」イビデン株式会社 技術開発本部 今野真さん
今野:技術開発本部で将来のモビリティに関連する新しい製品の研究開発を行っています。会社から推薦されて、社内から2名がビヨンド ザ ボーダーに参加しています。
—ビヨンド ザ ボーダーに期待していたことは具体的にありますか?
今野:イノベーションということで、新しい価値を生み出す機会や、それをどのような方法で生み出していくのか、より深く知りたいと考えていました。普段、開発をしているテーマに対して、どうしても目線が固まっているので、いろいろな企業とネットワークを作れる有用な機会だと思いました。
—プログラムでは、さまざまな専門家の講師からアドバイスをいただいていますよね。
今野:今日は、弁護士の方から事業展開する上での専門的な話を伺う機会がありました。その中で、これからはモノだけではなく、IoTなど情報との繋がりが大事になっていくと知ることができました。また、そういう視点で新たな消費者のニーズや、サービスの在り方も考えていかなければならないと実感しました。
「学んだことを社内に持ち帰り、新商品企画の助けに」鈴与株式会社 営業推進室 重村真耶さん
重村:静岡県に本社を置く総合物流会社で営業をしています。私は会社から推薦されてこのビヨンドザボーダーに参加することになりました。
—会社としてはどういう課題感を持って重村さんに参加してもらっているのでしょうか?
重村:物流業界でもAIやIoTが注目されており、弊社ではそれをどのように事業に取り入れていくかを考えている段階です。このプログラムには、新規事業を開発するときの考え方や仕組み作りを学ぶために参加しています。
—ビヨンド ザ ボーダーで学んだことをどのように社内で活用できそうですか?
重村:現在、会社では新商品開発の組織を立ち上げています。私はメンバーに入っていないのですが、チームに抜擢された人が何をすればいいのか分からないということがあるようです。今回、私が学んだことを社内で共有して、新商品企画の助けになればと思っています。
「私たちを活用して、より現実的な事業を生み出せる環境を」株式会社安部日鋼工業 技術開発部開発課 課長補佐 小田部貴憲さん
小田部:プレストレスト・コンクリートの設計施工を中心とする総合建設業の会社で、技術開発部開発課に所属しています。自社でビヨンド ザ ボーダーの説明会があり、どんなものか分からないので、とりあえず行ってみようと参加を決めました。
—実際に参加してみて、いかがですか?
小田部:社外の異業種と接点を持つことで、新しい価値観をもらいました。また、私は技術開発部に所属しているので、何かしらのことを会社に持ち帰りたいと考えており、新しい方向に進んでいけるのかなと思いましたね。
—今後、ビヨンド ザ ボーダーに期待することを教えてください。
小田部:会社には、今後もビヨンド ザ ボーダーに社員を参加者として送り、新しい取り組みをしていこうと話をしています。
今後、このプログラムに求めることは、実際に箱を作ってもらい、参加者がすぐに事業に取りかかれる仕組みです。例えば、参加者がそこで事業を展開して、3年で収益を得られなかったら解散するなど実践的なものです。私たち第1回目の参加者を活かして、次のステップでより現実的になるプログラムを期待しています。
編集部まとめ
若手イノベーション人材育成のためのプロジェクトであるビヨンド ザ ボーダー。プログラムも後半に差し掛かり、それぞれが自社に持ち帰った学びがどう活かされていくのか、期待が高まります。