『CHUKYO-TV INNOVATION PROGRAM』Demo Day レポート|全5社のピッチ内容を紹介

投稿者: | 2018-05-29
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中京テレビ放送株式会社(本社:愛知県名古屋市)と、株式会社サムライインキュベート(本社:東京都品川区)が共同で取り組んだ、“テレビの未来を創造する”オープンイノベーションプログラム『CHUKYO-TV INNOVATION PROGRAM』。2017年11月に開始し、審査やインキュベーション期間を経て、2018年5月7日にDemo Dayが開催されました。

プログラムの背景や目的、詳細については、以下記事をご覧ください。

同プログラムの採択企業は5社。Demo Day会場である中京テレビ本社のプラザCでは、熱のこもったピッチが繰り広げられました。審査項目は、革新性・シナジー・実現性・ニーズの4つ。7名の審査員による審査で、最優秀賞・優秀賞・サムライインキュベート賞がそれぞれ1社ずつ選出されました。本記事では、全5社のピッチ内容をレポートします。

株式会社アイデアクラウド「XR(AR/VR/MR)で、キャラクターとコミュニケーション」

XR(AR/VR/MR)技術を活かして、さまざまな課題を解決する株式会社アイデアクラウド(本社:名古屋市中区)。同社は、アニメ×XR技術で“アニメキャラクターに会って、喋れる”インタラクティブなコミュニケーションを提案。

同社のXR技術は、顔と体へのモーションキャプチャーを導入し、演者の動きをリアルタイムで伝えられる。これにより、イベントなどのリアルな場でも、違和感のないコミュニケーションが可能。中京テレビの放送による認知拡大、映像コンテンツ制作、イベント運用ノウハウを活用して、新しいアニメコンテンツの配信、配信アニメをもととしたアプリ展開、新技術を利用したイベント興行を目指す。アニメの市場規模は2兆円で、新しいアニメコンテンツは“世界”を市場視野に入れている。

株式会社CAMPFIRE「東海3県 地域の未来を作るプロジェクト」

クラウドファンディングプラットフォーム『CAMPFIRE』や『CAMPFIRE×LOCAL』を運営する株式会社CAMPFIRE(本社:東京都渋谷区)は、地上波での影響力に強みを持つ中京テレビとタッグを組み番組化することで、地域活性化を目指す。「東海3県 地域の未来を作るプロジェクト」と題し、以下2つのプロジェクトの実現や、東海地域起案者による新規プロジェクトの立ち上げ、番組と連動したビジネスモデルなどを提案。

  1. 三重県尾鷲で定置網を設置し、地域産業を活性化するプロジェクト。高齢化に伴う漁業就業者の減少や、第一次産業への関心低下などの課題解決を目指す株式会社Gateが起案者。
  2. 東海地域を中心に厳選したこだわりの野菜で規格外のものを利用した『旬のごろごろ野菜スープ』を開発。クラウドファンディングを活用することで、農家・農業の現状をより多くの人に知ってもらう。農家と消費者をつなぐための情報サイト『Kodawarin』を運営する柘植 千佳氏とともに起案。

レイ・フロンティア株式会社「生活者が見える“みえたがね”」

人工知能(AI)を活用した行動情報の分析・調査事業を行うレイ・フロンティア株式会社(本社:東京都台東区)は、バッテリー消費を抑え、5秒に1回位置情報を取得する技術を開発。スマートフォンのGPSやセンサーを活用し、視聴率が生活者を知るただ1つの方法であった“テレビ局の在り方”を変えていきたい。

位置情報を取得・分析すれば、生活者の年齢や性別、居住地や勤務地、行動パターン、行動予測が推定できる。これらを活用し、マーケティングの強化、データに基づく視聴者の理解のほか、アプリと番組を絡めた新規コンテンツ制作を目指す。ファーストステップとして、幅広いメディアが身近な10代に向けてコンテンツを展開し、将来的には全世代を巻き込んでいきたい。

株式会社Voicy「IoT時代の音声放送に挑戦し、生活とテレビを音声コンテンツで繋ぐ新しい体験をつくる」

音声配信ネットワークを開発・運営する音声ITスタートアップの株式会社Voicy(本社:東京都渋谷区)。IoT時代のメディアは「モニター」を持たないため、生活に密着し、いつでも手軽にリーチできる。今回のプログラムで中京テレビと提携し、「中京テレビニュース」「中京テレビ まいこはんチャンネル」など、短期間に6つの音声コンテンツをVoicyで提供し、実証実験を行った。AIスピーカーの『Google Home』と『Amazon Echo』上での音声コンテンツの配信も開始した。

テレビなどの「モニターメディア」は、情報量が豊富で、視聴者を没頭させることができる。これに対して、「音声」には愛着が生まれやすい。音声メディアをきっかけにモニターメディアへ誘導するなど、テレビとの融合を将来のマネタイズに繋げていきたい。

パロニム株式会社「インタラクティブ動画技術“TIG”でユーザー体験に革命を起こす」

インタラクティブ動画技術ベンチャー・パロニム株式会社(本社:東京都港区)は、独自の動画技術「TIG(ティグ)」による、新たなユーザー体験の提供を今回のテーマに設定。同社独自の動画技術「TIG(ティグ)」では、視聴中の動画内で気になった部分を触れる(TIGる)だけで詳細ページへ誘導することができる。

中京テレビの動画制作力や中部地方のコアな情報ネットワーク、地上波の持つ力を活用し、実証実験を行った。実証実験では、中京テレビおよび中国上海のテレビ番組『東京印象』の制作部隊とともに、TIGを活かした中部地方のディープな情報を紹介する映像制作ロケを実施。こういった実証実験を重ね、生活者の動作行動を分析していきたい。また、中京テレビのコンテンツをTIG化し、中国市場に持ち込むことへのマネタイズの可能性も探っていきたい。

最優秀賞はパロニム株式会社が受賞!

審査員による長い議論の末、パロニム株式会社が最優秀賞を受賞。代表の小林 道生氏は「TIGは、ベンチャーとして命をかけてやっていくものにふさわしい技術だと思っている。このサービスを世の中に伝えるには、影響力を持つテレビの力は大きい。次の“革命”に向けて、パートナーとして手を組んでいきたい」とコメントしました。

また、優秀賞は株式会社Voicyが受賞。代表の緒方 憲太郎氏は、「お茶の間に刺さるスキルを持っているスタートアップは、ほとんどない。高齢者など、大きなマネタイズにつながらない層にもファンを作り、日本全部がハッピーになるようなサービスを作っていきたい」とコメント。サムライインキュベート賞を受賞した株式会社アイデアクラウドの代表・田中 義弘氏は「この3ヶ月間、中京テレビさんと一緒に“面白いことをやろう”という目標を掲げて突っ走ってこれた。チーム、メンターのみなさんに改めて感謝したい」とコメントしました。

同プログラムを終えた所感を、中京テレビ経営企画局長の長谷川 治彦氏に伺いました。長谷川氏のコメントは以下のとおり。

「今回のプログラムのテーマは、“ユーザー体験に革命を起こすテレビの未来”です。どの企業もこのテーマにふさわしいプロジェクトだったので、順位を付けないといけないのが苦しかったですね。開始当初は、どんなゴールが待っているのかわからないままスタートしたのですが、やって良かったと思います。今日のDemo Dayは、“テレビの未来”の可能性を感じさせてくれる場だと実感しました。プログラムはDemo Dayで一旦区切りとなりますが、これから先は、継続的にやること、やめること、改良することを、社内で検討します。その上で、協業の第2ステージへと向かっていきたいですね」

長い歴史を持つ中京テレビがスタートアップとともに、それぞれの強みを活かすことで、“新たなテレビの未来”を創出しようという試みが同プログラム。「テレビ」という枠にとらわれず、新たなテレビの歴史がここから始まる、そんなことを期待させるDemo Dayでした。