ー化粧品×防災でこれまでにない商品を
2011年3月、東日本大震災。2016年4月、熊本地震…。いつ起きるかわからない震災に備えて、防災グッズを準備している人は一体どれくらいいるでしょうか。防災グッズと聞くと、水、非常食、懐中電灯などが思い浮かびますよね。では、シャンプーはどうでしょうか。震災が起きたときお風呂に入れないことは意外と忘れがちなことかもしれません。
「株式会社じゃがいも」は、水なしでも全身に使える防災用の洗浄液「拭くだけボディ洗浄」を販売しています。
今回は、株式会社じゃがいもの代表である神谷菜月さん、妹の茉里さんに会社設立のきっかけ、商品である「拭くだけボディ洗浄」についてや、今後の展望をお伺いしてきました。
プロフィール
神谷 菜月
1996年生まれ。株式会社じゃがいも代表取締役。金城大学・国際情報学部4年生。メディアに関わる学科で、デザインやカメラ、プログラミングなど幅広く学んでいる。大学での経験を生かし、会社のパンフレットやWebサイトは自ら制作している。
神谷 茉里
1998年生まれ。菜月さんの妹で株式会社じゃがいものメンバー。愛知淑徳大学・ビジネス学部1年生。起業当時はまだ高校生だった。
ーまず、会社設立に至った経緯を教えてください。
菜月:きっかけは父です。父は「株式会社FRASCO」というサロン向けの製品を製造する会社を経営しているのですが、熊本震災の直後、FRSCOでの技術を活かして髪の毛から足先まで全身に使える「拭くだけボディ洗浄」を製造し、水が使えない状況でもお風呂に入れるよう被災地に200個ほど送っていました。そんな父の背中を見ているうちに、私も何かしなければという思いは強まっていきました。さらに、テレビのインタビューで車中泊の女性が「お風呂に入りたい」と言っているのを見て、同じ女性としてその言葉が心に響き決意が固まりました。
その後は、県内各地の防災イベントに参加し商品を紹介したり化粧品実験教室など行い、1年後の2017年3月11日に会社を設立しました。
ー以前から防災には関心が高かったのでしょうか?
菜月:いえ、むしろその逆です。大学の学部もメディアについてで、これまで「防災」に触れることなんてなかったです。しかし、父の姿やテレビでのインタビューを見て意識が強くなりました。実際、拭くだけボディ洗浄の反響は大きく、改めてその必要性を感じました。
ー「拭くだけボディ洗浄」について詳しく教えてください。
菜月:拭くだけボディ洗浄は、エタノール・界面活性剤を使用していないお肌に優しい防災用の洗浄液です。使い方は、タオルなどの布地に「拭くだけボディ洗浄」を染み込ませて、お風呂で体を洗う感覚で直接拭いてください。身体にも髪にも使えて、髪の長い女性で全身2回分、男性で2回半分使えます。
ピンクのパッケージは石鹸の香り付きでリラックス効果も期待できます。震災の時は、普段と違う生活でとてもストレスを感じると思うので…。
茉里:あと、温泉成分の重曹が入っていて、それが肌を柔らかくし角質を浮かせてきれいにしてくれます。保湿成分のヒアルロン酸も配合しているので、拭き終わった後に乾燥しません。
他社製品と大きく異なるのはその部分ですかね。なかなか、成分にこだわった防災シャンプーは見かけないと思います。
洗浄力を高めるための刺激の強い成分は、怪我をされた方やアルコールを吸ってはいけない小さなお子様の体にはよくないので、「拭くだけボディ洗浄」は誰が使っても安心できるよう成分にこだわって作られています。
保存期間は5年で、いざという時のために備蓄していただけます。また、袋にもこだわっていて燃やしても環境に優しい素材を使用しています。
ーこれまでにない、成分にこだわった防災用の洗浄液なんですね。こちらの商品についてや、会社として現在抱えている課題はありますか?
菜月:まず、まだまだ商品の認知度が低いことです。以前、新聞などでも紹介していただいたのですが、もっともっと多くの方に「拭くだけボディ洗浄」について知ってもらいたいです。
実は防災用以外にも、普段使いできるものや介護用の商品も販売しています。消費者の方々に必要とされる商品を今後も考えていきたいです。
会社を設立してからまだイベントに参加できていないのですが、今後商品を広めていく活動を積極的に行っていく予定です。
ー最後に、会社として目指すべきゴールを教えて下さい。
菜月:まずは「拭くだけボディ洗浄」を各市町村に備蓄していただき、もしもの時に備えてもらいたい。そして、最終的にはどの家庭にも置いてある商品になり、皆さんの防災への意識も高まっていくことを望んでいます。そのためにも商品の重要性や魅力をアピールしていきたいです。
編集部コメント
「拭くだけボディ洗浄」は、化粧品会社が作る肌に優しい防災用の洗浄液です。ありそうでなかった成分にこだわった防災商品は、今後需要が高まっていくのではないでしょうか。女性ならではの視点を活かして、今後も私たちの生活に役立つ商品を生み出してほしいと思いました。