豊田のまちなかに地域と人をつなぐ場「kabo.」がオープン!代表の犬飼氏にインタビュー

投稿者: | 2017-10-07
Pocket

豊田市の中心地いわゆる「まちなか」は、名鉄三河線の「豊田市駅」周辺エリアのこと。豊田のまちなかにある「kabo.(かぼ)」は、コミュニティレンタルスペース・コワーキングスペースで、2017年9月1日にオープンしました。

「kabo.」は、地域の魅力を発信する場であり、人と人をつなぐ場でもあります。今回は、代表の犬飼 詩織氏に、どんな思いで開設に至ったのか、どんな場にしていきたいのかなどを伺ってきました。

犬飼 詩織氏プロフィール

1988年生まれ。豊田市出身・在住。名古屋学芸大学卒業。在学中は「とよた学生プロジェクト」に所属し、さまざまなボランティア活動に携わる。大学卒業後は、豊田市社会福祉協議会、後にとよた市民活動センターに勤務。退職後、豊田市のまちなかにあるシャッター商店街の一角をリノベーションし、「kabo.」を2017年9月1日にオープン。現在は「kabo.」で、さまざまなイベントやワークショップの開催サポートをしている。プライベートでは旅を趣味にし、奥三河の情報を発信するブログ「ガサゴソ旅女会」の運営メンバーでもある。

「kabo.」はどんな所?

委託販売スペース。この棚には古材が利用されている

吹原:「kabo.」は何をするための場所ですか?

犬飼:コミュニティレンタルスペースです。簡単に言うと、「地域と若者がゆるくつながる場、地域の魅力的なヒトコトモノを発信する場、がんばる人を応援する場」ですね。例えば、ワークショップや講座、マルシェの開催など、若い人が新しいことにチャレンジするための“きっかけの場”として使ってもらえればと思います。

お店を持っているけど、若い人にもっと知ってもらいたいと思っている方のために、委託販売も行っています。「kabo.」に商品を置き、実際に手に取ってもらったり食べてもらったりすることで、お店の認知度の向上に繋がります。もちろん、お店を持ちたいけど持てない、という方にも活用していただけます。

吹原:コワーキングスペースも兼ねているとお聞きしました。

犬飼:「kabo.」はコミュニティレンタルスペースでありながらも、コワーキングスペースでもあります。今、在宅やフリーランスなど、いろんな形で仕事をしている人がいますよね。そんな人たちが集まって、新しい仕事が生まれるといいなという思いもあります。フライヤーを置くスペースもあるので、豊田市内はもちろんのこと、豊田市外の方でも、お店やイベントの宣伝をしたいときに役立てられます。

吹原:この辺りにはなかなかないので、いいですね。

犬飼:学生のとき、まちなかを中心にボランティア活動をしていましたが、何かを始めようと思っても「拠点」というものがありませんでした。そういう場があればいいなと、そのときから思っていました。

「kabo.」を開設した背景

豊田市内外の店舗・施設のフライヤーが並ぶ。これを手に取った人が実際の店舗へ訪れることも

吹原:学生時代の「こういう場があったらいいな」という思いから「kabo.」が生まれたのですね。

犬飼:そうですね、学生の頃からなので、10年越しですね。

吹原:学生の頃は、どのような活動をされていたのでしょうか?

犬飼:豊田在住・在学の学生からなる「とよた学生プロジェクト」(以下学プロ)という団体に所属して、ボランティア活動をしていました。学プロは、それぞれの学生が学んでいることや特技を生かして、豊田のまちなかを若い力で盛り上げていこうという団体です。私は保育を学んでいたので、「児ノ口(ちごのくち)公園」で地域の子どもたちを集めて季節の遊びをしたり、未就園児向けの子育て支援センターでクリスマス会を企画したりしていました。

吹原:学プロに入る前から、豊田のまちづくりやまちそのものに関心があったのでしょうか?

犬飼:実は、学プロに入るまでは全く興味はありませんでした。私の住んでいるところは、特にまちなかに足を運ばなくても不自由なく生活できる地域で、むしろ何かあれば岡崎市に行った方が早いとすら思っていました。豊田に魅力的なところがあることも知らなかったし、特にいいところもないと思っていましたね。

吹原:何がきっかけで学プロに加入することになったのでしょうか?

犬飼:学プロに入る前、子育て支援センターでボランティアをしていました。そこで行われる春祭りでスタッフをしていたときに、たまたま学プロの人もボランティアとして参加していたのです。それがきっかけでお誘いを受けて、学プロに加入することになりました。学プロを通してまちに関わることで、まちや人の魅力にどんどん引き込まれていきましたね。

吹原:魅力的な場所といえば、例えばどんな所がありますか?

犬飼:先ほどお話しした「児ノ口公園」はすごく素敵な公園ですよ。私も、学プロで関わらなければ知らなかった場所です。季節によって山のように景色が変わって行く自然豊かな公園で、川もあるし、夏はホタルを観賞できます。地域の人が整備しているのですよ。

吹原:こんなまちなかに、自然豊かな公園があるのですね。

犬飼:公園の整備を手伝ったりする中で、まちの人とも関わるようになって、まちのことをさらに知るきっかけにもなりました。学プロでの経験がなければ、豊田のまちに興味はなかっただろうし、普通に保育士として働いていたと思います。

まちには、おもしろい人もたくさんいるし、素敵なお店もあるし、興味深い歴史もたくさんあります。しかし、私もそうだったように、若い人はまちに関わることがないので気づかないのです。関わるきっかけがないと「何にもないまちだよね」で終わってしまいます。でも、それではもったいないですよね。豊田の魅力を、もっといろんな人に知ってもらえるといいなと思い、そのきっかけの場として「kabo.」を作ったのです。

たくさんの人に支えられて

多くの人にとって、見覚えのある板。これは学校で使用されていた机の天板を再利用した床

吹原:こちらの建物は、いろんな人の協力で作り上げられたと聞きました。

犬飼:2017年の6月から3ヶ月をかけて、支援者の方たちとともにリノベーションしました。クラウドファンディングでは、多くの方からご支援をいただき、目標を大きく上回る金額での達成となりました。ブログやSNSでたくさんシェアしていただいたので、それを見た多くの方が、リノベーションにも参加してくださいました。

吹原:古材を利用されているのですね。

犬飼:そうです。そもそも、リノベーションに大きく関わってくれた大工さんがいなければ、ここまで勢いよく進んでいなかったと思います。彼は、解体される古い建物から古材・建具などを“レスキュー”する長野県の「ReBuilding Center JAPAN」の活動に共感していて、私もそれに共感しています。なので、「kabo.」のリノベーションには古材を利用して、彼に工事を依頼しようと決めていました。

吹原:大工さんの力があるとありがたいですね。

犬飼:私1人の力では、何もできていなかったですね。電気工事をお願いしたのも学生時代からの知り合いだったし、「kabo.」のロゴデザインを依頼した人もそうでした。私の思いに共感し、応援してくれる方がたくさんいたおかげで、オープンを迎えることができました。

吹原:たくさんの仲間や支援者に支えられて完成したのですね。

犬飼:私の直接の知り合いではない方にも、たくさんの支援をいただきました。来るたびに新しい方を連れてきていただいたり、SNSやブログで積極的にシェアしていただいたりして、“輪”がどんどん大きくなっていきましたね。リノベーションのワークショップを開くと、参加者は私の知らない人の方が多いなんてときもありました(笑)。

吹原:「kabo.」のブログFacebookページを拝見していると、「なんだか、おもしろそうなことをやってるな」と興味を持つ人も多そうですね。

犬飼:オープン後の今も、ブログやFacebookを見て、初めて「kabo.」を訪れられる方も多いですね。イベントなどには参加できないけど、話題になっているからとか、ずっと気になっていて来てみたかったということで、ふらっと立ち寄ってくださることもあります。

これから「kabo.」は何を目指していく?

古材を利用することで、懐かしさがあり、落ち着ける空間

吹原:これから、「kabo.」をどのように育てていきたいですか?

犬飼:「kabo.」とまち・人との繋がりをしっかりと作り、コンテンツを充実させたいです。「kabo.」を運営しながら他の物件を探して、将来的にはゲストハウスも作りたいですね。ゲストハウスは通常のホテルや旅館と違い、人と人、地域と人の縁が生まれる場所です。今、「kabo.」は“宿泊のないゲストハウス”のようなものだと思い、運営しています。宿泊業を始めると気軽に動けなくなるので、繋がりをつくるのは、今だからこそできることだと思っています。

吹原:ゲストハウスの需要はありそうですか?

犬飼:いろんなところでゲストハウスの話をしますが、反応はとても良いですよ。「TOYOTA ROCK FESTIVAL」や「橋の下音楽祭」などのフェスで全国から豊田を訪れる人も多いし、宿泊費を安く抑えたい就活中の学生にも需要はあると思います。これから外国人観光客も増えるし、出張で利用したいという人もいます。

豊田スタジアムにスポーツ観戦しに来たり、豊田市美術館に訪れたりする人も多いのですが、みんな目的地だけを訪れて帰ってしまいます。豊田のまちなかには観光案内所もなければ、宿泊するところがあまりないからです。そのような役割を果たせるゲストハウスを作れたらいいなと思っています。

吹原:そのために今できることを「kabo.」でやっているということですね。

犬飼:今の豊田は、いろんな所におもしろいコンテンツ・プレーヤーがいるのに、繋がっていない状態です。それらがうまく繋がり協力しあえば、「次はあのお店に行けばいいよ」と紹介もできるし、良い循環が生まれますよね。そうすることで、豊田の魅力がより伝わって、また来たいと思ってもらえるようにもなる。「kabo.」はそんな繋がりを生み出せる場所でありたいと思います。

吹原:犬飼さん自身はどうなっていきたいですか?

犬飼:私の最終的なミッションは、「豊田をいろんな人がチャレンジできるまちにすること」です。「kabo.」を利用していただいた人がまちなかでお店をオープンしたり、「kabo.」と同じような拠点を開設したり。私が全てをやる訳ではなく、いろんな人がそのようなことにチャレンジできる「環境」を整えていきたいですね。

コミュニティビジネスを考えている方へ

吹原:「kabo.」と同じような場づくりをしたい方は、他にもたくさんいると思います。そんな方に何かアドバイスはありますか?

犬飼:とにかくチャレンジしてみることだと思います。一人でずっと考えているだけでは、何も進まないですよね。自分の思いを言葉にし始めたら、共感してくれる人、応援してくれる人、助けてくれる人、アドバイスをくれる人が見つかるかも知れません。私はそうでした。自分一人ではできないと思っていても、仲間が見つかれば、動き始めます。

初めてやることに不安はつきものですが、動き出すと案外うまくいくこともあって。やってみて初めてわかること、失敗から学べることもたくさんあります。なので、まずはとにかく思いを言葉にすること、動き出すことですね。何か新しいことにチャレンジしたいと思っている方は、気軽に相談に来ていただければと思います。

編集部コメント

自分の住むまちの魅力は、なかなか気づきにくいものです。どうにか盛り上げたいと思っていても、仲間がいないと、なかなか踏み出すこともできません。「kabo.」のような場が増えていけば、「魅力がない」と内外から思われてしまっている愛知県自体が盛り上がっていくかもしれませんね。