共に世界を驚かせよう|NAGOYA CONNÉCT #12 イベントレポート

投稿者: | 2021-07-06
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イノベーションの促進と交流の場として名古屋市が主催する「NAGOYA CONNÉCT」(運営:Venture Café Tokyo)が6月25日、新型コロナウイルス感染症予防対策を徹底した上で、会場のなごのキャンパスに来場者を迎えるリアル参加と、オンライン参加を組み合わせたハイブリッド開催で行われました。

当日は、日本を活動拠点に置く海外出身の注目の若手起業家が登壇し、日頃の活動内容や海外企業とのコラボーレーションに向けた具体的なアドバイス、今活用すべき先端サービスなどを紹介。他にも、日本出身で海外と接点を持つユニークな経歴の起業家やクリエイターによる体験談、東海圏の若い研究者による研究発表、地方で活躍する女性リーダーたちのプレゼンテーションなど、これまでにない気づきや学びがある内容でした。

文:河内
写真:齋藤・河内

6月のテーマは「グローバル」


NAGOYA CONNÉCTは「ちょっとした繋がりからイノベーションを生むことができる」をキーワードに、昨年7月から毎月第4金曜日に開催されている定期イベント。イノベーションを促進するためのパネルセッションなど学びの場と、繋がりの機会を組み合わせたプログラムで、誰でも無料で参加できます。毎回、150人前後が参加するコミュニティになっています。

この日のテーマは、グローバルにフォーカスした「Inspirational Central―共に世界を驚かせよう―」。昨年度、スタートアップエコシステム“グローバル拠点都市”として選出された愛知県、名古屋市と静岡県浜松市では、サービスを世界に広げる・世界から取り入れる仕組みをつくり始めています。そんな背景を意識し、地元から世界へ第一歩を踏み出すためのヒントや、共に世界を変えていくために利用できるサービスなどが紹介されました。

梅雨の晴れ間の明るい夕暮れどき、イベントを待つなごのキャンパスは、英語の談笑も聞こえてくるなど心地よく活気のある雰囲気に包まれ、期待が高まります。午後5時から9時近くまで、2つの会場を出入りしながら、5つのセッションに参加させていただきました。

海外出身の若手起業家による、パネルディスカッション


5時半にスタートしたパネルディスカッションは「Inspiration / Innovation Nagoya with Nick Luscombe」と題し、日本で活躍する若手起業家のお二人がプレゼンターに。「海外からみた日本・東海地区・名古屋のマーケットの可能性とスタートアップの未来」について、CIC Tokyoのラジオパーソナリティー、BBC Broadcaster & DJのニック・ラスコームさんの進行で、英語と日本語を入り交えたトークが盛り上がりました。

グローバル・コラボレーションのプロモートに情熱を注ぐファリザ・アビドヴァさんは、ウズベキスタン出身のシリアル・アントンプレナー(連続起業家)。2016年に自身が日本で創業したTrusted株式会社のネットワークを通じて、日本の大企業の先進技術を海外のスタートアップにつなげ、さらに海外の大企業と日本のスタートアップの協業のサポートもしています。

「日本とヨーロッパは、高齢化など社会的な課題や、自動車産業の発展などの産業構造、求められる製品の質やコンプライアンスの基準など似ているところがたくさんあり、最終的に目指すソリューションが同じなので、理想的なパートナーになれるんです。私がこれまで見てきた、企業や技術のさまざまな組み合わせによって起こるシナジーは驚くほどよいもので、イノベーションを加速させることができます。

この事実を、大小問わずあらゆるメーカーに知っていただき、世界に目を向け、自社ホームページ上で自分たちの技術を発信して欲しいと願っています。ヨーロッパの多くの企業が日本のモビリティー系スタートアップやマテリアルサイエンスなどにとても熱い視線を送っています」と、力強く語られました。

もう一人のプレゼンターは、ロシア出身の若手起業家で、web開発ツール「Webflow」をはじめとしたノーコードを日本で広める第一人者、イーゴリ・ヴォロシオフさん。2020年にノーコード教育とメンタリングで起業・新規事業をサポートするオンラインスクール「LikePay.dev Academy」をスタートさせたばかりですが、すでに手ごたえを感じているそうです。

「どんなに素晴らしいスタートアップのアイデアを持っていても、情報発信をしなければそのアイデアは存在しないのと同じです。しかし、いざ発信しようとすると、人材確保や予算などの壁がある。そこでプログラミングの知識が不要なノーコードという便利なツールがあることに着目して欲しいと思います。ノーコードと一口に言っても、色々な種類のツールがあり、複数のツールを組み合わせることで、クオリティーを保ちながら頭の中の理想を、ざっくりとかたちにすることができます」

ほかにも、スマートシティや未来のモビリティーなど旬なテーマについて、一歩先を行く若手起業家ならではの視点で語っていただきました。

ノーコードの波に乗ろう


引き続き午後7時からは、同じルームでトークセッション「世界に飛び込むためのMAD services」が行われ、前半では、イーゴリ・ヴォロシオフさんが再び登壇。ここ数年で一気にホットな存在となったノーコードツールの革命的とも言えるメリットについて説明されました 。

「スタートアップと一般的な起業の違いは、<まだ世の中にないものやサービス>を扱うかどうか。従来、スタートアップが実業としてリリースされるまでには

(1)アイデア着想→(2)リソースの確保(資金集め、エンジニア採用等)→(3)プロトタイプを制作→(4)仮説検証と修正→(5)ローンチ

という過程をたどり、初期にかなりのリソースを使い、さらに投資家の視点からは魅力とリスクが表裏一体になっていました。しかし、コードの知識がなくても視覚的にプログラムが組めるノーコードの登場で、(2)の過程を(4)の後に回すことが可能になり、時間とリソースの大幅な節約ができるようになったんです。

浮かんだアイデアを簡単・安価に、しかも自分の手で<まずはプロトタイプをつくってみる>、そんな時代が来ているんです。その結果、スタートアップをしていて一番ワクワクする部分、アイデアのブラッシュアップにリソースを割ける。この革命的な素晴らしさを、皆さんに伝えたいですね」

イーゴリさんのサポートを受けてスタートアップを立ち上げた具体的なユースケースとして、永井有紗さんが東京からオンラインで登壇しました。有紗さんは学生時代にフリーランスのモデルをしていた経験から、モデルに求められるニーズの多様性やマッチング効率の悪さに着目。モデルとキャスティング会社を結びつけるプラットフォーム型マッチングサイトを自ら立ち上げ、運営しています。

「2020年の12月にアイデアが浮かんですぐイーゴリさんに相談しました。『こんなことやあんなことをしたい』と、一気話したところ『それ全部、Webflowでできるよ』と言われ、そうか!と。でも私は極度のITオンチ。本当に自分でできるのか半信半疑ながら、Webflowの使い方動画を見て、実際に触ってみるところから始めました。

『なるほど、できそう!』そうこうしているうちに、完成度の高い登録ツールやメッセージ機能などを備えた、思い描いたサイトが2月に完成。3月にサービスを開始し、現在は想定以上にユーザー数が伸びていて、嬉しい驚きでいっぱいです。モデルと大手メーカーなどのクライアントが直接メッセージを送り合っているのを見ると、『そうそう、こんなシーンをつくりたかった』と、幸せな気持ちになります」

有紗さんとノーコードの素晴らしい出会いが、伝わるお話でした。

あの有名人も実践する英会話の新メソッド


後半は、英会話スクールFAST ENGLISHの代表、椎名陽介さんが登壇。目からウロコの新しい英会話学習と、気軽に続けられる独自のサービスについて説明されました。

「世界のビジネスの現場では、実は第二言語として英語を使う人がほとんど。ネイティブのように流暢でなくても、充分コミュニケーションできます。この現実を踏まえ、FAST ENGLISHでは第二言語習得理論を用いた独自のメソッドを使い、<言いたいことを素早く自動的に英語で言える>レッスンを大切にしています。また、月額10,978円(税込)で、オンライン・リアル問わず毎日通い放題という、業界の常識を覆すような環境を用意しています」

「マツコ会議」でも紹介され、Youtuberのフワちゃんが実践していることもあり、注目度が高まるFAST ENGLISH。今すぐレッスンを体験したくなるお話でした。

いい先生がいるのは、学校の中だけじゃない


もう一つの会場では、5時半から「ツキイチナゴヤVol.5 ―学校の先生?起業家?に聞く!学生と社会の繋がりとは?―」が開催されました。

地方の学生がどう社会との繋がりを広げていけるのかをテーマに、プレゼンターとして日本初の教育特化型スポット先生マッチングプラットフォーム「複業先生」を運営する、株式会社LX DESIGN代表の金谷智さんが登壇。NAGOYA CONNÉCTアンバサダーで、三重大学の学生でもある吉田楓さんがオンラインでモデレーターを務めました。

金谷さんのお話で印象深かったのが、学校は一般企業と比べ、外から情報や技術を取り入れることが大幅に遅れていて、しかも内部の人がそれに気づかず壁になっているということ。公立小学校で先生をしていた時、子どもファーストの活動にあれこれ取り組んでも、それを傍観する同僚たちがいてもやもやしたり、さらには起業後、都市部と地方の教育の機会の格差に気づき、その格差を埋めようと行動を起こすと、「それはちょっと…」という拒否反応に直面したそうです。行く先々でジレンマを感じながら、だからといって諦めず、「違う角度からアプローチしたらどうか」、と工夫を重ね横展開してきた結果が、現在の「複業先生」のサービスにつながっている、というお話を聞くことができました。

飛騨観光のスマート化が進行中


引き続き6時半からは、大学院の修士課程(マスター)または、博士後期課程(ドクター)に在籍する若い研究者を招いて、最先端の研究内容や技術を紹介していただきました。冒頭、なごのキャンパス 企画運営プロデューサー 粟生万琴さんからセッションの趣旨や期待の言葉が語られ、ワクワクした雰囲気が会場を覆いました。

一人目は名古屋大学大学院情報学研究科の堀涼さん。「AIを活用した観光地高山市でのデータ収集」について、日頃の研究活動を詳しく紹介していただきました。

「EBPM(証拠に基づく戦略立案)を観光に活かす目的で、高山市内にカメラとGPU(Graphics Processing Unit)とAIがインストールされた小型PCを置き、人や車両の動きを計測しています。今後はデータを地図上での可視化してリアルタイムで混雑予測をしたり、高山市だけでなく飛騨全体に広げたいです。最終目標は快適な観光をしてもらうこと。『ICT観光といえば飛騨だよね』というイメージを広く普及させることが夢です」

温度差があれば、永遠に電気が使える?!


二人目は名古屋大学宇治原研所属の博士研究員、石川晃平さん。大学の研究室からオンラインで、金髪のアバターを使って登壇しました。

「私は熱を電気エネルギーに変換する材料の研究をしています。通常、電池は正極と負極に違う素材を使い、電位差を生じさせて電流を流します。しかし、同じ素材でも温度差があれば電位差が生じることが分かっており、温度差を活用した電池をつくることができます。この電池のすごさは、温度差をひっくり返すことで同時に正極と負極を反転させることができ、電流も逆になるんです。例えば昼と夜の温度差を利用して、24時間<放電=充電>の状態をつくりだし、繰り返し電気を利用できる、そんなことが可能になるかも知れません」

最先端の研究発表に、参加者からの質問が相次ぎました。

名古屋・つくば・仙台の女性リーダーが語る


その後、7時半からは、女性の未来に向けた「自分らしい生き方・働き方」を考える、4月からの連続企画のセッション「Women’s Leadership Session Vol.3」が開催されました。

地方で暮らす女性のエンパワーメントを支える、一般社団法人ワンエムイノベーション 代表理事の浜出理加さんは、仙台市からオンラインで登壇。 「子連れ出勤」など、日本のお母さんたちの身近な問題を解決する活動をする、モーハウス代表、光畑由佳さんはつくば市からオンラインで登壇。東海出身で、「女性が自分らしい生き方」をできるように支援活動をする、学び舎mom株式会社 代表の矢上清乃さんは、なごのキャンパスに来場してセッションに参加されました。

それぞれにユニークな経歴、背景を持つみなさんに「なぜ起業という選択をしたのか」「地方だからできること」「ワークライフバランスのとりかた」などを語っていただきました。

最後に「起業してそれを続けていける熱源は?」という質問があり、 理加さんは「ワクワクする心、欲張りであることを大切に、自分だけの時間を持って自分をケアすること」。由佳さんは「情報を皆に伝えることが好きなので、起業したことで色んな人と出会い発信ができる立場でいられること」。清乃さんは「思いついたら一歩が出やすい人間で、失敗してもいいのでまずは行動してみる、行動こそがすべて」と、三方の熱い思いを感じました。

編集部まとめ

月1回開催されている「NAGOYA CONNÉCT」。次回7月には1周年を迎えます。参加者は地元の大学生をはじめ、会社帰りのさまざまな年代のみなさんや、日頃から実際にスタートアップを支える専門家や行政の方、中には東京からわざわざ足を運ばれた弁理士さんもいらっしゃいました。イベントが終わったあとも熱が冷めず、参加者同士が交流しながらディスカッションする姿も見られ、「自分の知らない世界に触れ、とても刺激を受けた」「学生さんのいきいきした発表を見て、名古屋の未来は明るいと思った」など、皆さん満足の表情を浮かべていました。

次回開催情報


■日程
7月16日(金) 17:00-21:00

■開催場所
なごのキャンパス
オンライン

■概要
NAGOYA CONNÉCT1周年のテーマはイノベーター。

7月のテーマは「イノベーター」にフォーカスして開催します。

新型コロナウイルスの影響による目まぐるしい社会の変化と共に、企業の在り方やキャリアへの価値観も大きく変化する中で、昨年度に愛知県、名古屋市と静岡県浜松市はスタートアップエコシステム”グローバル拠点都市”として選出され、多くのスタートアップ・イノベーターを輩出しました。今回は名古屋発のイノベーター達にお集まり頂き、また、元・日本マイクロソフト株式会社の業務執行役員を務められた澤円さんの基調講演をはじめとして、NAGOYA CONNÉCT1周年を祝した、これから何か新しい挑戦を始めるためのTipsを提供できればと思います。

■詳細
https://ng13.peatix.com/