中部圏の大学研究者と産業界をつなぐ新プログラム「アカデミックナイト」がスタート

投稿者: | 2019-10-28
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一般社団法人 中部圏イノベーション推進機構が大学の技術シーズと企業のマッチングを目的に開催する「アカデミックナイト」は、イノベーション拠点「NAGOYA INNOVATOR’S GARAGE(以下、ナゴヤイノベーターズガレージ)」および「一般社団法人中部経済連合会」の会員向けプログラムです。同プログラムのキックオフ講演会が9月26日に開催され、講師の名古屋大学総長松尾氏をはじめ、さまざまな業界の参加者が互いに議論を交わし、交流を深めました。

今回はアカデミックナイトの特集記事として、プログラムの詳細と9月26日に開催されたキックオフ講演会の様子をレポートします。

イノベーションのヒントを提供する「アカデミックナイト」

Collaboration Area…150名規模のイベントが開催できるエリア

アカデミックナイトは、中部圏の大学から次代を創る大学教員が、隔週(毎月第2木曜日と第4木曜日の夜)で登壇するプログラムです。研究領域の近い2〜3名の研究者が登壇し、最新の研究内容や研究成果についてプレゼンテーションを実施。講演会の後は交流会が設けられ、業界や年齢の垣根を超えたネットワーキングの場を提供します。

同プログラムでは、大学および大学が行う研究内容と産業界との橋渡しをすることで、参加者が大学の最先端研究を知り、イノベーションにつながるヒントを獲得する場を提供します。会員の関心分野・領域をもとに、素材、電気・電子、AI、バイオなどの先端研究や研究成果など、より有益な情報が得られます。

また、大学教員と研究の出口となるパートナー(大・中堅企業など)のマッチングにより、大学の技術シーズを起点とした新事業創造や既存事業の革新を促し、研究資金の源泉につなげることを目的にしています。

キックオフ講演会イベントレポート

9月26日に開催されたアカデミックナイトのキックオフ講演会には、名古屋大学総長の松尾清一氏と名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所拠点長の伊丹健一郎氏が登壇しました。今回は、講演会の内容を一部ご紹介します。

画像:中部経済連合会 副会長 竹中裕紀氏

ナゴヤイノベーターズガレージの新プログラム「アカデミックナイト」開催に向けて、中部経済連合会副会長の竹中裕紀氏は以下のように述べました。

GAFAと呼ばれる世界の大企業も、ガレージからスタートしました。そしてここナゴヤイノベーターズガレージも、ひとりでも多くの方々にご利用いただき、イノベーターやスタートアップ、ベンチャーが次々に育ってほしい、そんな思いから始まりました。ここでは年間300のプログラムを用意しており、何かしらのイベントがほぼ毎日開催されています。今夜はアカデミックナイトキックオフということで、これからはじまるプログラムの中でも目玉となっております。異業種交流を活発にしてもらい、みなさんにアカデミックな夜を大いに楽しんでいただきたいです。

画像:名古屋大学総長松尾清一氏

講演会の第1部は、松尾氏による「名古屋発イノベーションの起爆剤に―ナゴヤイノベーターズガレージへの期待と大学の役割」をテーマにした講演。これまでにも名古屋大学は産学連携シーンで重要な役割を担ってきており、名古屋におけるスタートアップエコシステムの形成にはTongaliスクール・コンテストやスタートアップ準備資金、名古屋大学・東海地区大学広域ファンド、インキュベーション施設の提供、名古屋大学発ベンチャー称号授与など、大学発ベンチャーの成長ステージに合わせた支援メニューを提供しています。

また、スタートアップエコシステムに関する世界のトレンドと日本の現状、名古屋におけるスタートアップエコシステムの形成に必要な取り組みについても語られました。

国内の各都市ではエコシステム形成が始まる中、東京都では、2019年度からイベントやネットワーキング事業を本格的に実施しています。Japan Startup Finance 2017(※)のレポートによると、国内の地域別のベンチャー投資調達額の実に4分の3が東京都に集中し、続いて神奈川、福岡、京都、愛知の順となっており、伸び率で言うと名古屋市は高い

と松尾氏は述べました。

※Japan Startup Finance 2017…ユーザベースグループの株式会社ジャパンベンチャーリサーチが、日本最大級のスタートアップデータベース「entrepedia」においてリリースした国内スタートアップの資金調達情報を網羅的にまとめたレポート。
続けて松尾氏は、名古屋におけるスタートアップエコシステムの特徴を以下のように述べました。

この地方の特徴は、豊富なテクノロジーと人材プールです。現在、我々は中部経済連合会、名古屋市、愛知県そして大学と連携してスタートアップエコシステムを作る具体的なプランを作っています。ナゴヤイノベーターズガレージを拠点に、いろいろなアイデアや業種の方、あるいはステークホルダーが集まって、ワイワイガヤガヤと楽しくやる。そして“世界一になる”という話をここでどんどんやっていく必要があります。

画像:名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所拠点長 伊丹 健一郎 氏

第2部は、伊丹氏による「スーパー分子をつくる:無限の可能性と異分野融合のチカラ 」をテーマとした講演。最新の研究内容と、冒頭ではアカデミックナイトのような場の重要性について語られました。講演の冒頭のスピーチを一部抜粋します。

このようなガレージで、隣人と仕事や夢などをわいわいがやがやと語り合いながら出てくるアイデアには“本物”が必ず含まれています。そして何よりも“楽しい”こと。僕らも同じような気持ちで普段の研究を行っています。業種や目指すゴールは少し違うかもしれませんが、私はとても好きなスタイルです。ぜひこのガレージがうまくいくことを心から祈っております。そして、僕ら研究者もここに加えていただければうれしいです。


続けて、伊丹氏は以下のように述べました。

なぜ、僕はこんなに研究を楽しんでいるのか。それは、素晴らしい仲間と道なき道を行くことがどれほど楽しいことか、いろいろな融合研究を通じて今までにない新しいものを生み出すことができると、自分自身が経験してきたからです。そして教科書には“絶対不可能”と書いてあるものを自分たちが可能にしてきたのです。

画像:交流会の様子

講演会の後は、参加者同士のネットワーキングの時間が設けられました。未来を造る研究者である登壇者と参加者はもちろん、参加者同士でも組織や業種の垣根を超えた交流の場が生まれていました。

ナゴヤイノベーターズガレージの新プログラム「アカデミックナイト」では、参加者が大学の最先端研究を知り、イノベーションにつながるヒントを獲得できる。そんな学びの得られるプログラムでした。