5月11日、名古屋大学オープンイノベーション拠点(OICX [オイックス])にて、R&D(研究開発)ベンチャーとして活躍する名古屋大学発ベンチャー3社の代表を集めたトークイベントが開催されました。トークテーマは、「超若手名大発ベンチャー起業家3人に聞く、R&D成功メソッド」。それぞれの経験や事例をもとに、三者三様のR&D成功メソッドを語りました。本記事ではその様子をレポートします。
登壇者プロフィール
株式会社マップフォー 代表取締役 橘川 雄樹氏
神奈川県出身、2014年に名古屋大学工学部電気電子情報工学科卒業。2016年同大学院院情報科学研究科情報システム学専攻博士前期課程修了。現在は同博士後期課程在学中。博士課程教育リーディングプログラム「実世界データ循環学リーダー人材養成プログラム」1期生。2016年に株式会社マップフォーを設立。自動運転の位置推定・地図作成技術に関する研究に従事している。
株式会社オプティマインド 代表取締役 松下 健氏
1992年生まれ、岐阜県岐阜市出身。名古屋大学情報文化学部を卒業し、名古屋大学大学院情報学研究科博士前期課程修了、博士後期課程に在籍中。専門は組合せ最適化アルゴリズム、特に物流の配送計画問題の研究。2015年に合同会社オプティマインドを創業。オプティマインドでは、経営全般、営業、サービス設計、最適化アルゴリズム設計などを行なう。
株式会社トライエッティング 代表取締役社長CEO 長江 祐樹氏
1989年生まれ、愛知県出身。名古屋大学大学院工学研究科博士課程前期課程修了、同後期課程在籍中。2016年~2017年米国スタンフォード大学にて客員研究員を務める傍ら、現地スマートウォッチ開発スタートアップにて一時ジョインしプロダクト開発支援を行う。アカデミックでは「低環境負荷新規熱電材料の探索手法の開発」に取り組み、立石科学研究助成金など複数の研究資金を獲得。材料科学への機械学習利活用ツールとして「MATCHA」ライブラリの構築を行う。2016年、機械学習応用WEBアプリケーション開発を目的として、株式会社トライエッティングを設立。
モデレーターは、名古屋スタートアップ株式会社代表取締役の若目田が務めました。
研究しながらの会社経営は可能?
若目田:橘川さん・松下さん・長江さんは、R&D領域のベンチャーを経営されています。さらに、博士課程に在籍中ということもあって、研究もされていますよね。研究しながらの会社経営は可能なのでしょうか?
橘川:実際に私は今博士課程で、研究室に所属しながら会社を経営していて、意外とできるなと。確かに、時間がなくて、いろいろと大変なんです。でも、普通に学生として研究しているだけではなく、ベンチャーでの活動を展開することによって、それが研究のプラスになり、逆に研究がベンチャーでの活動のプラスにもなるということがあります。
例えば、研究室だけの活動だと、研究に必要なデータを取得するのが難しいんです。でも、会社という形になることによって、いろんな所からデータを集めたり、計測したりという活動ができるので。研究とベンチャーの活動で、車輪が回っていい感じに両方できてるかなぁと思っています。
若目田:経営も研究も相乗効果で、どちらも効率よく動いているという感じですね。松下さんはいかがですか?
松下:実は、ちょっとパンクしかけていたときもあったんです。社内では、開発というよりは営業とマーケティングの部分を担っていたので、日々出回っていて、今も大学には週一も行けていないんですよ。それでも今両立できているのは、教授の支援があったからですね。
もともと、ビジネスには活かせない研究をしていたんです。それを教授に理解していただいて、研究テーマをビジネスに繋がるものに変えさせてもらいました。もちろん、論文などは自分で書きますが、ほかのドクターの方と比べると、相当な支援をしていただいています。そのおかげで両立できているんだと思います。
この先は研究者にならず、自分の会社をそのままやろうと思っています。そういう目的のもとで博士課程にいる今、自分にできることは何かと考えていて。私は研究者とビジネス界の橋渡し的なことをしたいので、キャッチアップできる程度に論文を読んだり研究したりして、メインの比重は会社経営に置こうかと思っています。ただ、それが会社にとってマイナスに働くのであればどうなのかなと思いますが、今はこのまま続けていこうという段階ですね。
若目田:橘川さんと同様に、会社と研究分野が続いているということですね。では、長江さんはいかがでしょうか。
長江:簡単に言うと、3つ大事なものがあると思っていて。1つ、いい仲間。2つ、やりたいこと。3つ、根性。特に、私は仲間にだいぶ助けられています。知っている人は知っていると思いますが、私はメールを返さないんですね。代わりに、副社長の菅沼が見て、返信してくれています。そうすると、アポに行くと「菅沼さんには大変お世話になっています」と言われて(笑)。
私には、すごく苦手なところが実はいっぱいあるんです。外からはすごく完璧に見えるんですけどね。それをサポートしてくれる人たちと、「この人たちのために頑張りたい、根性出したいな」と思える人たちが仲間にいるのが、ありがたいことだなと思います。
若目田:両立するために、仲間に助けてもらっているということですね。
長江:そうですね。研究も、私のやりたいこと。やりたいことがはっきりしていて、ビジネスもやりたいことを叶えるための大変な手段でもあるので、根性が絞り出せるということですね。
若目田:会社の経営についてお聞きします。今、長江さんは大学と離れて会社を経営されていて、松下さんと橘川さんは研究室からやっているという2タイプですよね。それぞれ、経営陣はどのような構成になっているのでしょうか?
長江:創業者は、私と、スペイン哲学を専攻してきた菅沼、“C#の神様”と言われている竹島の2名の副社長です。彼らが最初の創業者だったので、そのまま経営者になっています。経営者の決め方としてはありがちなパターンですが、結果として良かったので、いいかなという感じです。
若目田:松下さんと橘川さんは研究室と繋がっていると思うのですが、大学発ベンチャーの経営構成について知らない方もいると思うので、その辺りを詳しく教えてください。
松下:「研究室発」というのもちょっと違っていて、どちらかというと、かなり離れています。教授に絡んで欲しかったので、無理矢理名前を使わせていただいたりして絡みはしていますが、活動としてはほとんど研究室と別でやっています。
経営陣は、取締役含めて3人、外部取締役が2人。副社長の斉東が大学院で2つ上の先輩だったのですが、中退してフルコミットしています。なので、私と斉藤がCEO・COOという感じで経営していますね。経営方針に関しては、エンジニア含めてまだ5人や7人の世界なので、全員でディスカッションして決めています。そういう意味ではまだ困ってはいないんですけれども、ファイナンスやマーケティングの部分は、今後増強していかなければならない課題かなとは感じています。
若目田:ありがとうございます。橘川さんはいかがですか?
橘川:ティアフォーという会社があって、その子会社として発足したので、松下さん・長江さんとはちょっと状況が違いますね。基本的には、私と東大にいる副社長が業務をして、あとはエンジニアにいろいろと手伝ってもらっているという状況です。財務などのバックオフィス関係はティアフォーにも協力してもらって進めていますね。
R&Dの人材採用、実際のところは?
若目田:R&D事業をしている中で、採用していく人材は相当ニッチで、これに対してコストをかけてやっていますよね。資金調達も然り。研究者の採用はどうやっているのか、橘川さんからお願いします。
橘川:我々は採用活動を特段やっている訳ではなくて。大学院の繋がりとか先生の紹介とか、そういったところで採用しています。そうすることによって、自動運転などの技術を持った人が集まりやすいので、今のところそういう形で採用を進めています。
若目田:ありがとうございます。では、どちらかというとリファラル…中の人の繋がりで採用しているということですね。
橘川:そうですね。今後はもっと大体的にやっていきたいと思っています。
若目田:ありがとうございます。松下さんはどうでしょうか?
松下:今過渡期なんですけど、7月で正規雇用が8人になります。もともと2人でやっていたところを、3人4人と増えていった経緯をお話ししますね。
今のCIOはもともと研究室の先輩で、一度NECに入社していました。研究室に戻って来ると聞いてので、これは!と思ってアプローチして、それが3人目です。4人目は、名大のスタバでディスカッションしていたときに、たまたま隣でコーヒーを飲んでいて。「おもしろそう」ってことで勝手にFacebookで申請してきたのがきっかけです(笑)。5人目の坂CDOの場合は、私と同じリーディングプログラムにいたメンバーなので、内部での調達になりますね。
そこからは、飲み会で高校の同級生をリクルーティングして6人目。7人目は、エスアイヤー(システムインテグレーション)の会社に勤めていた高田CIOの大学時代の友達をリクルーティングしました。もう1人、研究室にいる方を今リクルーティングしているところです。
ということで、今は内部の人が多いですね。財務管理や経理に関しては、父の人脈や紹介を使って採用しています。今はそれでいいと思っているのですが、今後に関してはリクルーティングはちゃんとしていかなければと考えています。
若目田:ありがとうございます。エンジニアに関しては、研究室のひろがりでということですね。では、長江さんお願いします。
長江:流入はリファラル、アプローチは飲み会。採用するキーポイントは、“ピンときた”です。もう、それだけです。“ピンときた”の部分が重要で、私に一切の人事権は存在しないので(笑)。
(会場笑)
ほかの役員が、大事な人を雇うときは全員で飲み会をということで、セッティングして。お酒は飲めなくてもいいんです。ウーロン茶でも、楽しく飲める。もう、それにつきますね。技術はあとで身につければいいんですよ。カルチャーが合うかどうかを大事にして採用しています。
若目田:スキルよりも、会社のカルチャーに合うかどうかで採用しているんですね。
長江:これまでの採用候補は、現メンバーの3倍くらいいたんですよ。中には高いスキルを持った人もいました。飲み会を開催して、そこで合う人を選びました。
各業界のトレンドと、それに対する会社の動きは?
若目田:最新の技術やトレンドを追って、そのトレンドを作り上げていくというイメージがあります。トライエッティングならITシステム、マップフォーなら自動車業界、オプティマインドなら物流といった業界で勝負していますよね。各業界のトレンドと、それに対してやっていることもあれば、一緒にお願いします。
長江:この3社だけじゃなくて、「人工知能をシステムに組み込めますよ」と言っている会社はあんまりないですね。で、そういう数少ないAIを全面推しにしている会社として結構悩ましいのは、やはりデータの取り扱い。いや~…出さないですよね。それをいかに出してもらえるかというところで、当初はだいぶ苦労したんですけれども。今は喋りがうまくなったのかもしれないんですけど、だいぶよしなにしてくれる人が業界でもだいぶ多く…柔らかくなりましたね。そういう感じのトレンドです。
うちで何をやっているかは、わかりやすく伝える。もうこれにつきるかと思います。あと、お酒を入れる(笑)。飲みにケーション大事です。
若目田:ありがとうございます。松下さんお願いします。
松下:トレンドと言いますか、実情としてニュースに取り沙汰されているように、ドライバー不足は喫緊の課題とみなさんが騒ぎ立てている一方で、それに対するソリューションが見つかっていないのが今の物流業界。トップがAI、IT化と言っている中で、トップと喋っているときと、現場視察をするときの乖離がまだ大きいですね。それがまだ日本の物流の現実なのかなぁと、私が見た中ではそう感じています。
かつ、中小企業の物流会社さんはシステムに対する抵抗が大きくて。同じ100万でも、病院が支払う100万円のシステム費と、物流会社に対するときのそれは、その抵抗がすごく大きいです。これはそれだけの価値があるんだという費用対効果を提示する必要があります。そのために弊社が行っているのが、費用対効果の理解を得るための実証ですね。実際に、自分も何度かドライバーさんの横に乗ってストップウォッチで測って実証して。そこで初めて理解を得られるのかなと思います。
若目田:地道なアプローチなんですね。
松下:そうですね、レンタカーを借りて、実際に配達してみたりもしています。
若目田:橘川さんはどうでしょうか?
橘川:自動車業界、自動運転というのは、OEMだけではなく、サプライヤーやいろんなサービス・事業者など、いろんなところで取り組まれています。彼らと我々の違うところは、オープン戦略を採っているところです。我々は、『オートウェア』というソフトを数年に渡り開発しています。自動車メーカーの自動運転システムがソースコードを非公開にする一方で、我々はソフトや長年蓄積してきたデータも公開し、車があれば誰でも使える状態にしています。
オープンにすることで、使う人は増えていきます。開発者や企業の人もテストしてくれて、そのフィードバックをもとにさらに改良し、開発を加速させる。それがこの戦略の目的なんですね。日本だけでなくアメリカや中国、ヨーロッパとか、私たちの知らないところでも使われているようで。世界で一番使われてテストされている自動運転のソフトは、多分オートウェアなんじゃないかなと思っています。
若目田:自動車業界で、オープンソース戦略をしている企業は、ほかにあったりするんですか?
橘川:そうですね、例えば中国のバイドゥも開発していて、オープンソースにしています。しかし、実績は我々の方があって、技術力もオートウェアの方が上だと思います。
大企業との連携はどうやっている?
若目田:最近は、大企業によるオープンイノベーションや大学初ベンチャーへの投資、メガベンチャーのR&D事業部立ち上げなど、ベンチャーとの連携に向けた動きが活発化しています。ベンチャーが大企業と連携するとき、障壁があったり、文化が違うことでのハードルがあったりすることもあると思います。3社とも、比較的大きな企業と事業連携されていますが、それに当たってのコツや戦略があれば教えてください。
橘川:弊社の場合、研究室時代の大企業との共同研究や、自動運転セミナー受講者との繋がりなどから、いろんな連携が生まれています。私経営している私やエンジニアは手が動くので、何か依頼されたら、その場ですぐプロトタイプが作れる=迅速に対応できることが弊社の強みですね。
若目田:ありがとうございます。松下さんお願いします。
松下:ミーティングを必ず月1でセッティングすることにしています。大企業にとっては、我々は連携している小さなベンチャーの一つに過ぎないので。月1で否が応でも顔を見せるようにして、我々の記憶をアップデートさせるということをしています。
あとは、先方が嫌がりつつも、Facebookで無理矢理繋がってメッセンジャーベースでやってもらったりだとか。SlackもDropboxも使ってほしいのですが、アクセス制限があって難しいようで。絶対にそのサービスがいいという訳ではないのですが、そこはもう少し柔軟に、お互いにすりあわせていかなければと思っています。我々が学ばせていただいている代わりに、ちょっと時間がないので…というときは、向こうに融通をきかせてもらっているというのがリアルですね。
若目田:その辺りの業務効率化は、自分たちの方から動いて進めて行くと。
松下:そうですね。提案して、登録の仕方とかも説明して。
若目田:参加者の中にいらっしゃる大企業の方は、気まずい思いかもしれないですけど(笑)。では、長江さんお願いします。
長江:大企業と言われているところと一緒にお仕事させていただくこともあるんですけど、こちらができる限り合わせたりしています。で、もう合わせるのに精一杯です。例えば、先方からデータを送っていただくとき。パスワードなく、大きなデータでもやりとりできるように、アップローダをうちで作った方が早いです。片っ端から合わせてます。メールでのやりとりも非常に大変なんですけど、それもやってしかるべきかなと。
松下:…すいませんでした!
(会場笑)
長江:いやいやいや(笑)。“連携”なんて、大きな口たたけないです。そんなレベルじゃない、私たちは。ということで、お仕事“させていただいている”という感じですね。
松下:卑怯じゃないですか(笑)。
(会場笑)
名古屋大学やOICXを活用するメリット
若目田:最後の質問になります。以上のお話を踏まえて、今日は名古屋大学さんのイベントということで、名古屋大学や、本日の会場であるオープンイノベーション拠点を活用するメリットがあれば、ぜひ教えてください。自分たちからの視点と、参加者からの視点でお願いします。
長江:私の研究室のボスが名古屋大学の産学連携の本部長をやっている先生なので、その名前を活用させてもらっているという点では、名古屋大学を活用していることになるんでしょうか?
参加者の方が名古屋大学を活用するメリットとして最近すごく感じるのは、技術をつまめること。企業で開発すると非常に高いんですけど、名古屋大学ならお買い得です(笑)。これはよく言われていることです。ぜひぜひ、産学連携でやってください。
若目田:ありがとうございます。松下さんお願いします。
松下:名古屋大学のメリットは感じています。先生方もそうですし、ネームバリューもあるので。「名大発ベンチャー」と謳うと、それだけで安心感を抱いていただけるのはすごく大きいかなと思います。プラス、リソースとして、顧問教授はついているものの、それに困ったら違う教授にアドバイスを求めたり、研究室内のリソースを使ったりとかできるので、すごく感じています。
OICXを一番使っているのは、多分弊社じゃないかと思っていて。もうすぐ人数も増えて常駐させてもらいますけれども、今はほぼほぼ我々が使っていますね。アクセスがすごく良いのはメリットですね。今までは、いろんな企業を訪問していましたが、それだけで時間がとられてしまっていて。最近はこちらにお招きすることで、コストがかなり削減できているかなと思います。
あと、ここを取り仕切ってくださっている、株式会社カチノデの森くんというデザイナーがいらっしゃいます。弊社にはデザイナーがいないので、フライヤーやロゴ、困ったなというときには森くんにお願いすることがあります。ちょっとこれ頼みたいんだけど…と言ったらもう20〜30分後にはできていて、スピード感がすごい! そういう意味では、これから入る方にとっては、スピード感のある情報共有の場としても良いのかなと思います。
若目田:入居者同士の交流が活きていると。
松下:そうですね。私と森くんは基本的によくいるので、ここに来る人と交流します。
若目田:ありがとうございます。では最後に、橘川さんお願いします。
橘川:私は学部から名古屋大学なので他大学を知らないのですが、名古屋という地域柄、自動車関係が盛んだなというのは思っていて。いろんなサポートをしてくれる企業さんがたくさんいらっしゃって、すごく助かっています。
あと名古屋大学は、やはりエンジニアのレベルが高いなと思います。いろんな研究がされているので、一緒に事業に活きそうな研究をしている方、アドバイスをくれる先生方がいっぱいいて、名古屋大学に来て良かったなと思います。
私は週に1回くらいはOICXに来るんですけど、松下さんは大体います。あとは、たまにこうして集まるイベントで、社長仲間と話ができたりして、それが結構面白いですね。一人で研究室で何かをやるより、こういうところに来て話した方が面白いので、そういうところが役立っています。
参加者からの質問
イベントには学生から社会人まで幅広い年齢層の参加者が集まり、中には東京から来られたという方もいらっしゃいました。トーク後は、参加者が7つのグループに分かれてディスカッションし、3人への質問を考えました。その一部をご紹介します。
—名古屋の経済圏は、よく閉鎖的・内輪で仕事を回し合っているとネガティブな文脈で言われていることが多い。それを踏まえて、名古屋でやることのメリット・デメリットを教えてください。
橘川:実際にマップフォーの取引先は名古屋の企業が多くて、名古屋に根ざした多くのサポートを得られるのがメリットとして一番大きいかなと思っています。先ほども少しお話しましたが、自動車関係で長い歴史を持つ企業さんがたくさんいらっしゃるいます。そういうところと一緒にやらさせてもらっていることがためになっていて、ありがたく思っています。
デメリットを感じたことはあまりないのですが、頻繁に東京に行ったりするんですけど…ちょっと遠いかなっていう、それくらいですかね(笑)。そのうちリニアも開通するので、それもなくなってくるでしょうね。
松下:物流の面で言うと、小牧や名古屋港など、物流のハブに近いところがメリットですね。一方で、情報格差というのはどうしてもあると感じていて。SNS上で手に入るとは言え、口コミ情報や速報は、face to faceじゃないとわからない部分や空気感もあるので、私自身、積極的に東京へ行き、情報収集をするようにはしています。
長江:名古屋、デメリットなし! 先5~10年の人口動態や経済規模の成長スピードを見ると、「名古屋なくして、どこに何があるねん」思っています、本当! 私は名古屋をマジで盛り上げていきたいので。
—名古屋のベンチャーコミュニティは盛り上がっていますか?
長江:まだまだこれからです! どちらかというと、金額とかではなく、コミュニケーションやお仕事のトラフィック、やりとりですね。お仕事を発注、受注、納品するまでのスピード感がベンチャーのそれに合っていない。こればっかりは、変えないといけないなと思っています。
松下:変わってきているとは思います。3年前に私が起業したとき、大学自体に起業支援はなかったですし。今は、大学もそうですし、名古屋としても「起業」というキーワードがよぎるようにはなってきているかなと思います。
橘川:私はあまりベンチャーのイベントに参加することがなくて。でも誘ってもらって参加すると、学生ベンチャーをやっている人も結構いて、盛り上がっているなぁと実感しています。
編集部コメント
“ぶっちゃけトーク”も飛び交い、会場は大いに盛り上がりました。さまざまな立場の参加者が、それぞれの“これから”に活かせるヒントを得られたようです。名古屋大学発ベンチャー3社の、これからの活躍にも目が離せません。