シェアリングテクノロジーCFOが語る、新規上場ベンチャーの舞台裏とこれから

投稿者: | 2017-08-07

暮らしの中の困りごとを抱えるユーザーと、企業の非稼働時間をマッチングさせるシェアリングエコノミーのプラットフォーム「生活110番」を提供するシェアリングテクノロジー株式会社。名古屋で活躍するベンチャーである同社が、8月3日に東証マザーズ・名証セントレックスで新規上場を発表しました。今回は、上場のキーパーソンとなったCFOの篠 昌義氏にインタビュー。上場に至るまでの経緯や今後の展望をお伺いしました。

篠 昌義氏プロフィール

兵庫県芦屋市出身。公認会計士の資格を生かし、監査法人トーマツで4年間従事。その後東京の税理士事務所で税理士として働いていた頃、監査法人トーマツ時代の上司の紹介でシェアリングテクノロジーCEOの引字氏と出会い、意気投合。IPOを目指し動き出していたシェアリングテクノロジーにCFOとして就任した。今回のIPOにおけるキーパーソンである。

シェアリングテクノロジーの「生活110番」とは?

画像引用元:シェアリングテクノロジーの「生活110番

岩渕:まずは簡単に、シェアリングテクノロジーのメイン事業「生活110番」について簡単に教えていただけますか?

:はい。「生活110番」は生活の中のお困りごとを解決に導くための、ライフサービスのマッチングプラットフォームです。社名から想像がつくかもしれませんが、加盟店の空いている時間をユーザーの困りごと解決のために有効活用する、シェアリングエコノミーの概念を持っています。全ジャンルで約2000社ある加盟店の中から、ユーザーにとって適切な業者とマッチングします。「生活110番」は困ったことがあればアクセスできる大枠のプラットフォームの役割を果たしていますが、生活中のお困りごとをジャンル別にさらに細かくした193のサイトも運営しています。

岩渕:サイト数193ですか!生活の困りごとならもう何でも来いですね。

新規上場を発表、気になるその舞台裏とは?

岩渕:シェアリングテクノロジーは8月3日に新規上場を発表しましたね、おめでとうございます!この度、上場に至った最大の理由は何だったのでしょうか?

:ありがとうございます!上場は、数年前から考えていたことです。我々は事業をさらに拡大していきたいと考えるベンチャー企業ですからね。上場は、企業の内部管理体制がしっかりしていなければ実現できません。上場することにより企業の信用度や知名度が向上するので、事業拡大においては必要なプロセスだと考えていました。内部管理体制を評価し、無事に審査を通過して上場が実現しました。

岩渕:内部管理体制の見直しにおいて、大変だった部分はどんな点ですか?

:かなり色々とやることはありましたが… 特に法律関係のことは多かったですね。我々の運営サイト数193というのは、上場企業ではあまりないんじゃないか?と言えるくらいの数字。様々なジャンルがある中には、ライセンスが必要なものがあったり、法律上のルールを守っているかどうかを見て整備したりする必要があったり。2000社以上も加盟店があるので、加盟店の質を問われることもあります。加盟店を一つ一つチェックしたり、実在するかどうかも確認したりと… 2000社という数字ですから、結構時間はかかりましたね。

岩渕:2000社をチェックするプロセスはかなりの大変さが想像できますね。それだけの内部管理体制向上に努めたのですから、おのずとサービスの質も上がっていったのでしょうか?

:そうですね。上場企業として質は一定以上確保したいところで、大事な部分です。ユーザーに対する顧客満足度調査では満足度98%を記録しました。サービスの質は自信を持って確保できていると思っています。

上場して実感した、周囲の変化とは?

岩渕:上場を通して、社内ではきっと喜んでいる方も多いことでしょう。社外からの変化は何か感じますか?

:そうですね、社内の雰囲気は良くなって、モチベーションも上がっています。社外での変化で言えば、クライアントの弊社に対する見方が、少しずつではありますが変わっているかなという実感はありますね。

岩渕:どういった点で感じますか?

:私はCFOという立場として金融機関との折衝をやっていますが、銀行の方の我々に対する信用は高まっているのではないかなと思います。以前から上場準備中だとは言っていたのですが、上場準備中と言って上場しない会社もたくさんあるので、我々も「本当は上場できないんじゃないの?」と思われていたこともありました。ところが実際に上場の承認が下りたので、すごい企業なんだと改めて思っていただけたり。2000社の加盟店も、現在は地元に強い加盟店が多いですが、今後は大企業と組むこともできるのでは、と期待しています。

岩渕:上場することによって、事業の可能性もさらに増えたんですね。

上場を経て、さらに成長を加速するベンチャー企業に

岩渕:8月3日に公式に上場の発表をされましたが、今後の動きをどう予想していますか?

:色々ありますよね。まずは投資家が増えるので、投資家目線で物事を考えられる会社にならなければいけないですね。私の場合、直接関与するところであればIR・PRの部分。適切な情報を適時に発信しなければ、投資家からは「何を考えているのか?」と言われかねません。上場して1カ月以内にこういうことをしなければならないとか、決算発表はこういう風にしないとだめだということを、私としては進めています。

岩渕:他の上場企業も意識しますか?

:弊社が上場した株式市場の一つ、東証マザーズには、特に成長性が期待されている会社が集まります。今後東証一部に上がっていく企業や、ベンチャー魂を持ち大企業になる手前の会社が多くうずめいている中で、「この会社は他と違うね」と言われるように我々も目立っていかなければ、投資家の満足度は得られないと思っています。そういった意味では、ワクワクしてもらえるようなことをどんどんやっていかなければ、と考えていますね。

気になる資金の使い道は?

岩渕:集まった資金はどの部分に生かしていきたいですか?やはり、サービスの技術向上の部分でしょうか。

:そうですね。資金の使途はいろいろ考えられますが、基本的には事業拡大のために使います。我々の独自の技術であるマッチングプラットフォーム「SHARING PLACE」は、加盟店とユーザーをスムーズにマッチングさせるためのノウハウが詰まったシステムなのですが、これはまだまだ改善の余地があると思っています。ユーザーや加盟店からいただくコールセンターの機能改善の要望は、「SHARING PLACE」の機能向上によって叶えることができると思います。独自システムのブラッシュアップと機能向上に資金を使うというのが一点ありますね。

大切な「人財」にも資金投資を強化

岩渕:ますますの事業拡大に伴い、人もたくさん必要になりますよね。人件費にも多くの資金を投資していく予定でしょうか?

:そうですね、従業員数はすごく増えています。我々の業種は情報通信ですが、コールセンターを抱えて加盟店を増やしていく部分において、「人」はとても大事です。採用も含めた人件費にもお金を使って、「人財」という文字通り優秀な人をたくさん集めていきたいです。我々はすごく若い会社で、社員の平均年齢が28,9歳くらいなんですよ。良くも悪くもみんな言いたいことを言える社風なので、それをまとめるにも優秀な人が必要ですね。

売り上げが伸びたら、余った投資余力でサイトを増やすためのマーケティング事業部も大きくしていかなければなりません。加盟店を増やすための人も必要になります。もう、全部署で人財を募集していますよ!

岩渕:これから事業拡大に向けて、会社総動員フル稼働の状態ですね。

決算書が「楽しみ」になるような会社に

岩渕:この記事の読者の中には、シェアリングテクノロジーの上場に注目している投資家の方もいると思います。そんな方々に向けて、最後にアピールをお願いします!

:まず一点。我々は愛知県の会社として、地元に根付いた良い企業になっていきたいと考えています。愛知県にはトヨタさんやエイチームさんのような大手企業がある中で、我々としてもその中に食い込んでいけるように成長を続けていきたいです。それに賛同して頂ける方や、手を組んでいただける業者さんと積極的に提携していきたいですし、採用も積極的に行っていきたいと考えています。

投資家の皆様には当社の株を持っていただけたら、ぜひ長期的に保有していただきたいと思っています。持っていてワクワクしたり、次の決算書が楽しみになったり、次はどんなことをするんだろうと思える「楽しみ」がある会社にしていきたいと思っているので、よろしくお願いします!

編集部コメント

上場を経て今後の動向にますますの期待が向けられるシェアリングテクノロジー。投資家の方は、名古屋から成長する企業としてぜひ注目してみてはいかがでしょうか。若いベンチャー文化のある環境で働きたい方も、採用情報をぜひチェックしてみてください。

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