【特集】名古屋のスタートアップ2社との事業提携実績を公開|SOMPOひまわり生命の描く保険×スタートアップ構想

投稿者: | 2020-01-06

大企業がスタートアップ企業に対して大型の買収・投資をする動きが広がっている中、大手×スタートアップの提携事例も増えてきています。プロダクトニーズが多様化する世相で、保険を利用したサポート面での提携にも注目が集まっています。

SOMPOひまわり生命保険株式会社が、名古屋のスタートアップ企業であるPREVENT社(2018年)・STUDIO UNBUILT社(2019年)と事業提携を結びました。

この記事では、SOMPOひまわり生命の描く保険×スタートアップ構想を、インタビューを通じて紐解いていきます。

SOMPOひまわり生命が取り組むベンチャー協業

ーSOMPOひまわり生命がベンチャーとの協業を積極化している背景について教えてください。

児玉(画像中央):取り組みについてお話する前に、まず「なぜやるのか」についてお話させてください。当社は、社会的な課題(医療費増大等)を解決するため生命保険会社から健康応援企業へのトランスフォーメーションにチャレンジしています。

従来、生命保険の加入目的は「万が一の備え」「病気になったら…」というものですが、そこに「健康になるために」「病気を悪化しないために」という目的もアドオンできるように商品・サービス・社員マインドの変革中です。

具体的には、Insurance(保険)とHealthcare(ヘルスケア)をかけ合わせた「Insurhealth®(インシュアヘルス)を提供し、万が一の保障と万が一にならないための健康的な毎日のサポートしていくことをミッションとしております。現在やっているベンチャー企業様との提携も、この理念に基づいた上で行われています。

前川(画像左):SOMPOひまわり生命は2019年、新しいマーケットや新しい価値を提供するための支社を4拠点立ち上げました。我々「中部マーケット開発支社」も、その1つです。現在は私と児玉と野口の3人で活動しています。

野口(画像右):具体的には、企業規模は問わず様々な企業様に対し、提携の提案を行っています。

ユーザー満足度の向上やプロダクトの付加価値を上げるための媒体として弊社のInsurhealth®やFPサービス等をご活用頂き、ユーザーの抱える不安や、健康に関する懸念を一緒に解決できるようなサービスを作っていきたいと思っています。

何か一緒にサービスを作れるのではないかと、さまざまな企業様にお話をさせていただきながら、その反応を元に共同開発や事業提携を進めています。

名古屋大学医学部発スタートアップPREVENT社との提携事例紹介

事例1社目は、名古屋大学医学部発スタートアップPREVENT社の登場です。代表取締役である萩原氏に、提携の背景などをお伺いしました。

プロフィール|萩原 悠太 氏

株式会社PREVENT 代表取締役。 名古屋大学医学部保健学科卒業後、同大学院医学系研究科へ進学。大学院では、「オンライン心臓リハビリテーションの実用化」に向けた研究に取り組む。2013年より医学研究所北野病院にて現場医療での診療業務に従事。心臓リハビリ分野でのICTの応用を自らの専門領域とし、2014年には日本心臓リハビリテーション学会のシンポジストを務めた。その後、アカデミアの知見を社会へ還元すべく名古屋大学へ復帰し、2016年7月に株式会社PREVENTを創設し、代表取締役に就任。

萩原:我々は、名古屋大学の医学部発のスタートアップです。私は名古屋大学の保健学科でリハビリテーションを専門にしています。研究室では、脳梗塞や心筋梗塞を循環器系の疾患の再発予防の研究をしています。

私たちのサービスのターゲットとなるのは、病気をすでに発症してしまっている方です。

通常のヘルスケアは、ダイエットや未病に対して、どのように病気にならないようにしていくかが多いと思います。病気を重症化しないように、慢性疾病管理の分野や再発予防をすることが私たちのバリューです。

画像:PREVENT社が提供するデータドリブンな疾病マネジメント・プログラム「Mystar」

萩原:これまでですと、企業の健康保険組合がメインのお客様でした。病気になった方、なりそうな方をどれだけ予防できるかが、私たちの一番のミッションです。しかし、現状では、組合の中にいる方にしかサービスを提供できていませんでした。

そこで、SOMPOひまわり生命のお客様の中で、万が一のリスクに備えたい方に向けて、PREVENTのサービスをご案内して頂く提携を結ぶことになりました。ただの販促協定ではありません。お互いのお客様のニーズをすくい上げ、それぞれのサービスの付加価値を上げる提携だと感じています。お互いのお客様に対し、大きな安心を与えられるのは、非常に魅力的だと思います。

児玉:個人のお客さまだけではなく東海3県の企業様向けに従業員様の血管病リスク(心疾患・脳血管疾患等)が「見える化」するサービスのトライアル提供を現在しています。働き手不足の昨今において、病気離職は企業、個人の双方にとって大きな損失です。職業ドライバーを多く抱える企業様など、安心や安全に関しても健康を通じて貢献していきたいと考えています。

名古屋発建築系スタートアップSTUDIO UNBUILT社との提携事例紹介

2社目の事例は、名古屋発建築系スタートアップSTUDIO UNBUILT社です。代表取締役の森下氏、取締役の山川氏にご登場頂きました。

プロフィール|森下敬司 氏(画像左)

1981年岡山県生まれ。名古屋工業大学大学院卒業後、大成建設株式会社に入社し、設計本部でオフィス、複合施設等の設計に携わる。大成建設を退社後、(有)デクーンの通信販売部門統括としてフィッシングウェア専門のオンラインショップ4店舗を運営。2013年スタジオアンビルトを設立し、建築デザイン分野のクラウドソーシング事業を開始。一級建築士。

プロフィール|山川 紋 氏(画像右)

1981年生まれ。名古屋工業大学卒業。2006年から株式会社リクルートのメディアプロデュース部にて求人サイトのWEBプロモーション及び商品開発に携わる。 2011年 横浜市青葉区にてショセット建築設計室を設立し新築住宅・リノベーションの設計と建築設計事務所運営を行う。2017年にスタジオアンビルト株式会社の取締役就任。

森下:私たちは、スマートフォンで注文住宅の間取り図を依頼できるmadree(マドリー)というサービスを運営しています。建築家を全国で4700名ほど、ネットワーク化しておりまして、オンラインで間取り図を依頼できる仕組みになっています。

建築家はオンラインで受注でき、業務の空き時間や子育てなどでフルでは働けない方に間取りを書いてもらう仕組みを作っています。

画像:STUDIO UNBUILT社が提供する間取り作成依頼サービス「madree」

山川:STUDIO UNBUILTのサービスを経由し、madreeの注文住宅の間取りを考え、これから家を建てようと考えている方に向けて、SOMPOひまわり生命社のファイナンシャルプランナー(FP)のサービスをご活用頂くことが、今回の提携のメインになっています。

madree(マドリー)は間取りを作ることができるサービスですが、間取りだけではなく、資金計画で予算決めたり、家を建てる土地を決めたりと、家づくりをトータルでサポートしたいと思っています。

その中の資金計画の部分で、SOMPOひまわり生命社の力を借り、「どれくらいの金額で家を買えるのか」など、住宅だけではなくライフプラン通して見ることで、お客様の家づくりの後押しができるメリットがあります。

PREVENT社・STUDIO UNBUILT社・SOMPOひまわり生命|3社座談会

ー提携のきっかけについて教えて下さい。

児玉:最初は、東京のビジネス系のイベントでPREVENT社のブースを見かけたことがきっかけでした。そのブースで資料を見てビジネスモデルについて理解したときに、弊社のサービスと親和性があるのではないかと思い、提携を前提としたアポイントをすぐ取らせてもらいました。

野口:STUDIO UNBUILT社は、直接お金に関する相談を届けられるサービスを何か作れないかと考えていたタイミングで、ニュースサイトで見て知りましたね。「こんな企業を探していたんだ!!」と社内で盛り上がったことを鮮明に覚えています(笑)

ー最初に提携の話が来たときは、どのように思いましたか?

萩原:いろいろな切り口でサービスを世の中に出していこうと思っていたので、基本的にはポジティブに受け止めました。ただ、お互いの企業規模がかけ離れていることもあり、最初はサービスとして成り立っていくか不安でしたね。

森下:すごく共感します。時間も人手も足りない私たちベンチャーからすると、「なにかシナジーありそうですよね」ととりあえずアポイントを提案されることは、リスクでもあります。

SOMPOひまわり生命は、事前に提案資料まで作ってきてくれたので、逆にちょっと驚きでしたね。

画像:実際に提案時に提出された資料の一部

ー事業提携の内容をプロダクトに落とし込むことはなかなか大変だと思いますが、このあたりはどのように進めましたか?

萩原:座組の面では、かなりリードしてもらいました。スタートアップのプロダクトは、エッジが効いた技術がないとできないサービスであるが故に、カスタマイズがあまり得意ではないと思っています。また、カスタマイズに頼るリソースもそこまで十分ではありません。なかなか変えづらい部分をうまく調整して頂いたので、非常にやりやすかったです。

山川:生命保険会社であるが故に、住宅についての資金計画の話ではなく、保険の話が多くなるのではないかと心配はありました。

しかし、プロダクトの思想を考慮してくださり、お客様の悩みや住宅についての相談に乗っていただけるとのことで安心しました。

前川:弊社としては、社内の意思決定と実行のスピードを合わせることを心がけました。お互いの得意な部分、不得意な部分をうまく連携し補うことができたのかなと思っています。

ー提携を通じた、今後の展望をお聞かせください。

森下:スマホで間取りを作れるサービスなので、間取りばかりにフォーカスしてしまいがちですが、実際やっているのは家づくり全体をサポートするサービスです。

今回は、資金計画のセミナーを開いていただいたり、FPの方を紹介していただいたりしました。間取りだけではなく、家づくり全体が満足いくようなサービスになるよう、今回の提携が1つのきっかけになればと思います。

萩原:私たちとしても、お客様に健康になっていただき「ありがとう」と言ってもらえることを目指しているので、両者のタッグにより、1人でも多くの人に健康という価値を提供できるサービスを展開していきたいと思います。

児玉:スタートアップのプロダクトを使われているお客様は、保険会社が従来アプローチできている層と違うと思うので、多くのお客様と関われるような提携ができればと思います。

多くの方とお会いして、喜んでもらえる仕掛けや、ワクワクできる仕組みをもっと増やしていきたいと思います。

ーありがとうございました!

編集部コメント

従来の保険は、「万が一のお金の保障」という印象でしたが、スタートアップのプロダクトと掛け合わせることで、お金だけでなく、健康、住まいなど、生活全体をサポートし、本来の保険以上に価値の高い商品になり得るのだと、この記事を通して感じることができました。

保険×ITサービスと、従来の保険をアップデートし、さらなる価値を提供するSOMPOひまわり生命に今後も注目です。

SOMPOひまわり生命3者のコメント

SOMPOひまわり生命中部マーケット開発支社では、今後も中部エリアにてベンチャー企業を含めて多くの企業様との提携を進めています。興味のある企業様がいらっしゃいましたら、フットワーク軽くお伺いさせていただきますので、ぜひ「Nagoya Startup Newsの記事を見た」とご連絡ください。

連絡先:
SOMPOひまわり生命保険株式会社 中部マーケット開発支社
TEL:052-972-6401 / FAX:052-972-6406