名古屋工業大学 アントプレナー育成塾「吉田塾Vol.2」イベントレポート

投稿者: | 2018-09-05
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8月9日、名古屋工業大学で、アントプレナー育成塾「吉田塾Vol.2」が開催されました。今回は、株式会社Gunosyの創業者であり、現在は取締役 ファウンダーである福島 良典氏をゲストに、東京のスタートアップ最新情報や起業エピソードが語られました。本記事では、その様子をお届けします。

吉田塾とは

「起業」という感覚に馴染みの薄い名古屋工業大学生に向けて、“東京のスタートアップカルチャーの風を吹かせてほしい”という学生たちの願いから生まれたイベント。全面協力するのは、DELISH KITCHENを運営する株式会社エブリーの創業者である、起業家の吉田 大成氏です。

登壇者プロフィール|福島 良典氏

愛知県出身、東京大学大学院工学科研究系修了。大学院在学中に「Gunosy(グノシー)」のサービスを開発し、2011年11月に株式会社Gunosyを創業、代表取締役に就任。2013年11月より、同社の代表取締役最高責任者に就任。2018年8月、株式会社GunosyとAnypay株式会社が株式会社LayerXを設立し、代表取締役社長に就任。同社において、ブロックチェーン領域の事業を開始予定。

Gunosyが目指す未来とは?

前半では、福島氏によるGunosyの事業紹介が行われ、今後の展開についても語られました。

福島:愛知県出身で、高校までは名古屋で過ごしていました。同級生が名工大に行ったりもしていて。大学からは東京です。もともと、情報を扱うことがすごく好きで、自然と情報系の学問を学ぶ道へと進みました。

福島氏は、大学院生であった2011年に、同級生と3人でニュースアプリ「グノシー」の原型となるサービスを作りました。当初は起業の予定もなかったそうです。卒業を目前にサービスは成長。趣味でやるか、会社としてやっていくべきかと悩んでいたとき、出資者が現れて起業へ。

福島:最初は趣味だったけれど、たくさんのユーザーがついていました。世の中に必要とされているものを作れたので、大きくしたいと思ったんです。就活もしていたけれど、就職して趣味で続けていたら、きっとサービスが腐っていくだろうと。

そんな福島氏は、「迷ったときは死ぬときのことを考えてみる」そうです。

福島:趣味でやるか、本気でやるか。後悔しない方はどちらかと考えて、フィーリングで決めて創業しました。

Gunosyでは、アプリとニュースはユーザーに無料で提供。株式会社Gunosyのアプリ「グノシー」「ニュースパス」「LUCRA(ルクラ)」は、ユーザー一人ひとりの興味・関心・行動などを学習して、それに合った情報を提供するサービス。マネタイズは広告によるものです。Gunosyのコアにあるのは広告システムであり、Gunosyは、実はアルゴリズムの会社なのだと福島氏は語りました。

画像:株式会社Gunosy公式HPより引用

福島:アクセスするたびに、裏側でアルゴリズムが計算して、ユーザーが最も興味があり、かつ収益性が高くなる広告の仕組みが作られています。それが、世の中に知られていないGunosyの強みですね。GoogleやFacebook、Instagramといったサービスの裏側にも、そのような仕組みがあります。

アドネットワークは、広告システムを他社メディアに提供することです。弊社は、性能のいい広告の配信サーバーを持っています。クックパッドや東洋経済などの他社メディアの枠にGunosyの広告システムで広告を配信することで収益を得るビジネスですね。「Googleアドセンス」は、まさにこの仕組みです。

そんなGunosyは、2015年にマザーズ上場、2017年に東証第一部に市場変更と、わずか6年で大きな成長を遂げてきました。その中で、福島氏は「自分が特別な訳ではない」と述べました。

福島:モバイルインターネット、アルゴリズムが世の中を変えていくという波にうまく乗れたら、この規模の会社になっていくんだと実感してほしいです。私が特別なのではなく、世の中の流れとして、“市場”が良かったのだと。起業した今は、そう思っています。

起業家は神格化されがちです。しかし、みなさんと変わらないような人間が、市場の波に乗れば、いろんな力を借りて急激に成長できます。遠くにある世界ではなく、みなさんの隣にいる人が、5年後は上場企業を作っていても全くおかしくない。そんな「ダイナミズム」のある世界です。「起業」は、気軽に始めるのが実はいいんじゃないかと思っています。

Gunosyの社員は、福島氏はじめ、4割強がエンジニア。その中でも、データサイエンティストが3割を占めています。

福島:データサイエンティストは採用もできなければ、事業に組み込むことも難しいと言われています。アルゴリズムを改善すると収益が上がっていくので、そういったエンジニアを高い給料で雇ってもペイできるのが、弊社の特徴です。

それから、GoogleやFacebookのような海外でもトップの会社は、ドクターを採用しています。弊社のエンジニアの中でも、1割はドクターで、今後2年位で10〜20名ほどのドクターを採用する予定です。弊社のように、アカデミックな成果をビジネスに活かせる会社は、なかなかないでしょう。

もともと、私には研究者というバックグラウンドがあります。そんな中で、テクノロジーや専門性をビジネスにかえるのは全く違うスキルが必要で。自分の強みはそこですね。GoogleやFacebookにもそういったバックグラウンドがあるので、シリコンバレー型の、テクノロジードリブンで成功する会社を作っていきたいと思っています。

株式会社LayerXでは、ブロックチェーン事業に注力するという福島氏。検索から始まったGoogleも、今やクラウドサービスや自動運転など、さまざまなサービスを手がけています。さらにFacebookも、VRや衛星インターネット事業に参入する動きが見られています。Gunosyもそうしたい、そうするのは創業者の自分しかいないと福島氏は語りました。

福島:インターネットの歴史とかモバイルインターネットの歴史を見ると、ある重要な技術が生まれてから2〜3年のうちに必ず会社が生まれています。ブロックチェーンでも同様のことが起こっていて。もう主要プレーヤーはいて、1千億近い利益をあげています。なので、私は危機感を感じています。

日本は「仮想通貨大国」だと言われていますが、全くの誤解ですね。盛り上がったのは投機だけで、技術的な蓄積とかは全く進んでいない状態です。ブロックチェーンという大きな波、「インターネット」登場以来の大きな波に乗る最後のチャンスだと思い、その領域で大きくなれる会社(技術的な観点で)になることをミッションに取り組んでいます。

起業への道を選んだきっかけ

後半は、吉田氏、モデレータの野原氏を交えてのトークセッション。起業当時の“ぶっちゃけ”エピソードを中心に、「学生起業」の是非についても語られました。

野原:福島さんは現在、Gunosyの創業者として活躍されています。大学時代はどのように過ごされていましたか?

福島:普通の大学生でしたね。大学1、2年生の頃は、友達とダラダラしかしていなくて。そろそろ何かやらないとと思っていたけど、4時に寝て14時に起きて。そのあと、パソコンを開いてニコニコ動画を見て、どうしようもない大学生でした(笑)。

(会場笑い)

野原:ご自身の中で、大学に入った頃は、このような人生を歩まれるとは想像もしていなかったと思います。このキャリアを選ぶきっかけのようなものはありましたか?

福島:もともと起業というものを初めて知ったのは、高校生のときの「ライブドアショック」がニュースで取り上げられたときです。当時はインターネット企業というのは、なんだかけしからんことをやっているんだな程度のことで(笑)。

(会場笑い)

福島:こんなに若い人がテレビや新聞を賑わせて、賛否両論はあるけど、大きなことをやっているんだなと思いました。そのあと、大学に入ったときに、『ウェブ進化論』という本を読んで。私たちの世代で起業している人にとっては、バイブルなんですよ。その本には、Googleの事例をもとに、インターネットが世の中をどう変えていくのか、その中心にいるのは若い起業家たちだと書かれていました。

高校生のときにGoogleを初めて使って、そのときはボランティアでやっているんだと思っていて(笑)。でも大学に入ってその本読んだとき、Googleは上場していて、とてつもない収益をあげていて。こんなに若い人たちでも、世の中に大きなインパクトを与えられるんだと興味を持ちました。

大学生のときは、TNKという東大のビジネスサークルに入っていました。起業サークルみたいなものですね。そう聞くと怪しく聞こえるかもしれませんが、すごく真面目なサークルで、起業している人も多かったです。

彼らのだらしないところも見てきたし、そういう人たちでもできるんだなと、背中を見ていて感じました。ベンチャーにいる人たちの方が、おもしろいなと思ったんですよ。もちろん、大企業でもそうですけどね。

若いうちに起業して、自由に生きて……と言っても無責任ではなく、自分でフルのリスクをとって、自分の意志で選んで生きていく。中にはもちろん失敗もあって。そんな生き方に魅力を感じました。一緒にいて、単純におもしろかったですね。ビジコン(ビジネスプランコンテスト)にも参加していました。

吉田:8〜10年前は、東京でビジコンが流行っていましたね。特に大学の学生団体が主催して、企業がコンサルして、どんどん規模が大きくなったりして。そういうものが多かった時代ですね。

野原:東海地区では、今ビジコンや起業家支援が増えていますね。

吉田:確かに。今東京ではあまりビジコンがない?

福島:ないですね。大企業のサマーインターンがビジコンだとか、そういう感じです。

吉田:東京の学生は、どんな感じですか?

福島:優秀な子はカジュアルに起業してますね。

吉田:カジュアルとはどういう……?

(会場笑い)

福島:東京に限定された話ですが、資金調達の環境がかなりいいんです。

シリコンバレーのエコシステムの誕生は、「8人の反逆者」によるものだという話がありますよね。起業家が成功して、エンジェル投資家になる。すると、VCは儲かるということで、いろんなところでVCが誕生する……ということが40〜50年続いていて、その積み重ねが今のシリコンバレーです。

日本だと、インターネットバブルのときに起業した人たちが、2000年代後半ぐらいにイグジットや上場していて。今はその人たちが投資家になっています。そういうサイクルがさらに回り、資金調達の環境が良くなっているんです。さらに、起業に対するノウハウ(資金調達のタイミングや、そのあとのアクションなど)が、インナーサークルの中で蓄積されて。それで、若い人が型通り起業しやすくなったということです。

野原:その情報はどうしたら得られるのでしょうか?

吉田:インナーサークルに入るしかない(笑)。福島さんは、知らない人から連絡がきたりしますか?

福島:度々きますね。学生や若い起業家、あとはVCからも。

吉田:そういう人に認めてもらえれば、インナーサークルに入れるところもあるんでしょうか?

福島:そうですね。あと、最近は2010年から2012年くらいに通じていた経営手法が、インターネット上に出ていたりするので、調べれば出てきます。それに、SNSも発展して、物理的に距離があっても、いろんな人と繋がれたりします。検索で引っかかってくる情報も圧倒的に増えているし、翻訳ツールも進化しているので、そういったものを活用して私は情報を得たています。例えば中国の情報とか。

吉田:なぜ中国の情報を?

福島:今、中国はスタートアップがすごいんです。モバイルインターネットに関しては、シリコンバレーよりも、中国の方が進んでますよ。

吉田:みなさんはそう思っていないかもしれませんね。

福島:そういった情報のギャップとかで、人が気づいていない市場のチャンスに気づけたりするんですよ。

吉田:これまでは、シリコンバレー発のサービスが多くて、そこから日本、中国と渡っていたものが、同時多発的にアメリカと日本が起きる、もしくは日本よりも中国の方が早いこともありますね。

福島:感覚的には中国の方が早いですね。

起業するなら、東京?

野原:福島さんは、大学院のときに創業されました。サービスを作ったときは、同じ大学院の研究室の仲間と?

福島:そうですね。

吉田:ちなみに、研究室に所属していたから、研究内容を生かしてやろうと思ったのか、グノシーを最初にやろうと思ったのか。

福島:両方ですね。みんなができることをやってもしょうがないなと思っていたので。せっかく自分がエンジニアで、研究している領域があって、それがサービス応用に近い領域だったので。自分の知識やスキルが生きてきますから。

でも、今考えるとそういうことはどうでも良くて、たまたまタイミングが良かったんです。機械学習を使って…というよりも、当時はスマートフォン普及率が上がっていくという大きな波がきていて。とはいえ、始めたばかりのときは、スマホの所持率は8%ほどでした。それが5年ぐらいで8割になるような変革期だったんです。

しかもまた幸運なことに、スマホは手触り感が大事で、ブラウザよりアプリで見る人が多いんです。ガラケーのときは、ブラウザの方が強かった。多少レスポンスが遅くても気にならなかったじゃないですか? 今はもうアプリが当たり前に思うかもしれないけど、当時はわからなくて。むしろブラウザが勝つんじゃないかという意見の方がまともな見えていたほどです。そんな時代だったのですが、私はたまたまアプリを選択して、それが大きかったんですね……今思うと。

野原:起業すると両親に伝えたときは、どんなリアクションがありましたか?

福島:びっくりしていましたね。今、東京で起業している人はどんな人が多いんだろう?と考えたとき、地方の人が圧倒的に多いなと思います。親のコントロールから抜け出すのが大事かなと(笑)。普通「起業する」と伝えると、親は止めることが多くないですか? 距離が遠いと、止められないじゃないですか(笑)。

(会場笑い)

野原:先ほど「ダイナミズム」というキーワードが出てきました。3人から会社がスタートして、会社が大きくなる中で、「ダイナミズム」を感じる瞬間、流れが変わっていると感じた瞬間はありましたか?

福島:起業当時は、アプリに対して、広告でどんどんユーザーを増やしていくということはありませんでした。今でこそ、そこら中で聞きますよね。Gunosyは、3年ぐらいかけて1,000万ダウンロード。そこを、後から出てきたDELISH KITCHENやクラシルは、1年で1,000万ダウンロードというスピードです。スマホからガラケーへの移り変わりや、アプリが“当たり前”になっていく変遷をずっと見てこられたみたいな楽しさはありますね。こうやって世の中が動いていくんだなと。

野原:チームの作り方について伺います。信頼関係のできている3人からスタートして、今のスケール感にいたるまで、どんなことを大切にしてきましたか?

福島:意識したのは、多様性です。エンジニアだけでは会社は成り立たないので、半分くらいはエンジニアですが、半分は広告やマーケティング、1〜2割はバックオフィスといったメンバーです。それぞれに文化が違うんですよ。

創業メンバーの3人ともがエンジニアだったので、そうなると排他的になりがちです。「エンジニア以外はいらないのでは?」と考える会社もありますが、それは間違いです。ある程度プロダクトの形が見えて、成長するとなったとき、マーケティングやマネタイズすることはとても大事なので。とはいえ、優秀な人だけを採用しています。採用の半分ぐらいは社員の紹介で、それ以外は新卒や中途のダイレクトリクルーティング。採用基準には相当こだわっています。

吉田:最初の3人は友達で、研究室も同じだったんですよね。

福島:そうですね。結構特殊な研究室でした。私のいた学科は、システム創生学科ですが……名前があやしいじゃないですか(笑)。

(会場笑い)

福島:いろんな人がいましたね。金融工学をやっている人もいたり、私のようにコンピュータサイエンスや機械学習をしている人もいたり、原子力とか。原子力を専門にしている人を誘ってもな…と思って(笑)。

(会場笑い)

吉田:もともと仲は良かったんですか?

福島:“友達同士”で起業したという感じではないですね。

野原:福島さんへのインタビュー記事で「大学時代の友達と起業するな」と仰っているのを拝見しました。

福島:そうですね、理想論的な話というか。基本的に、友達ではなく、目的に対して一番良い人を創業メンバーに選ぶべきだと思います。起業すると相当シビアなことが起こるので。

例えば、友達でもある創業メンバーを、降格や解任できるか。そこで悩む人は多いと思うんですよ。客観的に見ると、「そんなやつ切っちゃえばいいじゃん、道が違うならお互い別々にやっちゃえばいいじゃん」と思われるんです。でも、昔からの関係があると結構難しいですよね。特に、会社がこれから大きくなる段階では、そういうことが起こりやすいです。

事業を起こすときの理想論でいうと、ドリームチームをつくるべきだと私は思っています。例えば、メルカリクラスのような会社のCTOクラスを創業時に引っ張ってくるみたいな。そういうことを平気で考えられる人が成功するんじゃないかな。自分の事業には絶対にあの人が必要だから、そのためにはどんなに給料が高くてもつれてくるぞ、くらいの。

野原:では次の質問です。学生でも、優秀な人材は、ほとんど東京に行ってしまいます。しかし東海地区では、新しいものがどんどん生まれていくサイクルも必要です。そこをどう育てていけばいいのか、何かアドバイスなどあればお願いします。

福島:ポジショントークになりますが……。まず、学生起業が良いか悪いかというと、別に良いという訳ではありません。学生起業は、めちゃくちゃ失敗していますから。実は、シリコンバレーの起業年齢は30〜40歳で、そこの成功確率が一番高いんです。ある程度どこかの会社で働いて、そのスキルを持って起業するパターンが、一番成功しやすいですね。

例えば、東京にいない学生が起業して成功しようと思うと、難しいところがあって。名古屋には、あまり投資家もいませんよね。となると、大学を辞めて東京に裸一般でくるしかない。そうなると、友達がいない、創業メンバーがいない。友達がいないとなると、友達の友達もいないので、人を紹介してもらえないし、投資家にもアクセスできない。

だから、私がおすすめするのは、東京で成長しているベンチャーに入ることですね。東京には成長期のベンチャーがたくさんあって、そこにはいろんなネットワークがあります。そこでネットワークを築きながら起業を目指すのが、現実的じゃないかなと思いますね。

でも、名古屋だとベンチャーに行く人も少ないですよね。まずはそこのハードルを下げてあげて、みなさんがどんどん東京にきて、ベンチャーに就職していく流れができていくといいなと思っています。

吉田:そうですね。情報格差を埋めるためには、一度東京へ情報を取りに行った方がいいなとは思います。ただ私は名古屋出身で名古屋が好きだし、なんとかしたいと思っている人がたくさんいるんですよね。

情報格差があるしネットワークもない……そんな状態でも、今回のようなイベントに参加すれば、ネットワークができる可能性もあって。例えばこのイベントが終わったあと、参加者がFacebookで繋がったら、何か発展する可能性もあるわけじゃないですか。それを名古屋で残していくことができればいいなと思います。東京の情報は、誰かしらが名古屋に持ってきてくれるので、名古屋で“村”をどれだけ作っていけるかがすごく大事だと思っています。

参加者からの質問

—何も持っていない自分が起業して、事業を大きくしていくにあたり、人脈を広げるのが大事だと考えています。それにあたり、何が重要ですか?

福島:私の場合、人脈はそこまで意識していなくて。世の中はギブアンドテイクだと思うので、そこを意識しています。結局、私に良い情報をくれるということは、私が良い情報を話してくれると相手は期待していて、そうしなかった場合は弾かれる訳です。「情報」というのは、exclusiveな情報と、調べればわかる情報に分かれています。自分の事業に関わるような情報や、自分がチャンスを張っているような情報には必ずアクセスできるように、時間とお金は惜しまないようにしています。

では、何もないときは何をすればいいのか。起業して経営をしていくにあたって考えることがいっぱいあるのですが、ほとんどのことは誰かがやったことのあることです。唯一やったことがないのは、新しいビジネスモデルやプロダクトの検証。そこだけをやればいい。それ以外のところは、全てお金で買えます。そこで尖った人に、お金や人脈が集まると思います。

吉田:人脈を作りにいくのは、絶対にやめた方がいいと思います。何かしら自分で持っていれば、必ず集まってきてくれるし、困ったときにはこの人に聞くべきというのは誰かしら教えてくれます。何も持っていないときに“ネットワークを作りにいく”というのも、あまり意味がないと思います。

ただ、ネットワークが段々と広がっていく中で、自分のコミュニティの中から脱することができないタイミングはあると思っていて。どうしても仲の良いメンバーで集まりがちになってしまいます。そういうときは、全然違う集まりに誘われたら、断らずに行くようにしています。10回に1回あるかどうかはわかりませんが、求めている人に出会えることもありますからね。

—福島さんに質問です。今、アドネットワークをメインでやっているけれど、それにはGoogleアドセンスなどの先行企業がありました。にも関わらず、あえてその分野を選択した強い動機があれば教えてください。差別化できないと難しい世界だと思うので。

福島:基本的には、新しく生まれる市場でしか価値は生まれないと考えています。私たちのアドネットワークは既存のものでしたが、当時はアプリが伸びていました。自社でアプリのメディアを持っていて、そこに広告を配信する仕組みを持っている。そんな所はありませんでした。当たり前です、アプリがなかったので。そのチャンスに賭けたんです。

例えば今、ブロックチェーンだと、ICOのような新しい資金調達の周りに起こるビジネスに賭けています。資金調達なら銀行やVCがあるけれど、そこが満たしているものに関しては、今は求められていません。そうではないところで、過小評価されてお金が行き届いていないところ、価値の不均衡が起こっているところ。つまり、今は満たせていないけれど、新しいイノベーションで生まれる市場のチャンスに賭けているんです。

ただし、市場が大きくならなかったり、そもそもそんな市場はないよねと仮説自体が成立しなかったりすると負けです。起業家はそこで勝負するしかないと思うので。新しく生まれるけど過小評価されているとか、みんながビビって行けない市場を探すのが重要ですね。

編集部コメント

今回のイベントには、愛知県を代表する大手企業のサラリーマンから高校生まで、幅広い年齢層の参加者が集まりました。それぞれに得るものがあったようで、イベント終了後も参加者同士で感想を述べ合ったりするなど、会場は賑わっていました。次回の開催にも期待が集まっています。