アグリテックのミライ菜園、病害虫予測AIで予防型農業の普及目指す

投稿者: | 2026-04-08

プレリリースより引用


筑波大学発のアグリテックスタートアップ、株式会社ミライ菜園(本社:名古屋市昭和区、代表取締役:畠山友史)は、病害虫予測アプリ「TENRYO」を活用し、病害虫被害によって収穫前に失われる農作物、いわゆる「見えないフードロス」の解消を目指す方針を示しました。4月1日に企業が実現したい夢を発信するPR TIMESの「April Dream」プロジェクトの一環として発表したもので、農家の経営リスク低減と持続可能な農業の実現を掲げています。

ミライ菜園は、農業分野におけるロスの中でも、病害虫被害によって収穫前に発生する損失に着目しています。同社はこれを「畑のフードロス」と位置づけています。発表によると、FAOの報告や関連研究では、世界の主要作物は病害虫によって収量の10〜40%を失っており、平均すると約4分の1が収穫前に損なわれているとされています。日本国内でも、病害虫被害は年間約700万トン相当と試算され、一般に認知されるフードロス約460万トンを上回る規模だとしています。

こうした背景には、気候変動による病害虫発生傾向の変化があります。従来の防除暦に基づく一律の対策では、近年の異常発生に対応しきれない場面が増えているといいます。農作物は被害が出た後では商品価値の回復が難しく、農家にとっては収量と収益の両面で大きな損失につながります。そのため同社は、「被害が出る前」に対策を講じる予防的防除の重要性を訴えています。

同社が開発する「TENRYO」は、20年分の気象データと病害虫の発生履歴を学習したAIが、直近の気象情報などをもとに1週間後の発生リスクを予測し、事前にアラートを出す病害虫予測アプリです。暖冬など異常気象の影響も踏まえて分析し、適切な防除タイミングの判断を支援する仕組みです。ミライ菜園によると、TENRYOは予測技術を含む特許を6件取得しているといいます。

JA導入や対象作物拡大を通じて活用の裾野を広げる

JA豊橋でのTENRYOを活用した防除指導の様子(愛知県豊橋市):プレリリースより引用


TENRYOは、愛知、愛媛、群馬、北海道、京都のJAや農業法人で導入または試験運用されており、愛知県のJA豊橋では2025年から、すべての営農相談員がTENRYOを活用した防除指導を行っているとしています。同年度には、害虫発生調査に用いてきたフェロモントラップをAI予測へ全面的に切り替えたといい、同社はこれをJAグループ初の事例と説明しています。この切り替えにより、関連作業時間は約9割削減され、農家への個別訪問など対面業務に時間を充てられるようになったとしています。

対応品目も拡大しており、2024年のサービス開始当初の9品目から、今春にはキャベツ、ブロッコリー、タマネギ、水稲、柑橘類などを含む23品目へ広がったといいます。これにより、これまで対象外だった作物を栽培する農家にも利用可能性が広がっています。

今回の発信は「April Dream」の一環として、同社が将来的に実現を目指す農業の姿を示したものです。ミライ菜園は、病害虫予測にとどまらず、防除方法やタイミングまで提案できる仕組みの構築を見据え、農家が病害虫リスクへの不安を減らし、生産や経営により注力できる環境づくりを目指す考えです。

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