Smoltとベルデアクア、次世代型サーモン陸上養殖の実証成果を発表

投稿者: | 2026-05-12

試験開始後4か月時点での成長したサクラマス(上)、試験魚から造ったサクラマスのお刺身(下):プレリリースより引用


株式会社Smolt(本社:宮崎県宮崎市、代表取締役:上野賢)と株式会社ベルデアクア(本社:一宮市、代表取締役:竹廣洋児)は、2024年12月から実施していた共同実証試験の最終成果を発表しました。Smoltが開発した高温耐性サクラマス種苗と、ベルデアクアのVA式電気分解式ろ過システムを組み合わせた閉鎖循環式陸上養殖(RAS)を検証した結果、換水なしでオフフレーバーの抑制と良好な飼料効率が確認され、次世代型サーモン養殖モデルの実現可能性が示されました。

今回の共同実証試験は、サーモン養殖が抱える二つの課題の解決を目指して実施されました。一つは、気候変動による海水温上昇に伴う養殖適地・適期の縮小です。提供された情報によると、日本沿岸の海面水温は過去100年で1.33℃上昇しており、海面養殖では生産地域や出荷時期の制約が強まっています。もう一つは、閉鎖循環式陸上養殖(RAS)における品質課題で、ジオスミンや2-メチルイソボルネオール(2-MIB)に起因するオフフレーバーが商業化の障壁となってきました。

こうした背景のもと、両社は育種技術とろ過技術を組み合わせた検証を進めました。試験は2024年12月から2025年4月まで、愛知県一宮市のベルデアクア一宮ラボで実施されました。対象魚種には、Smoltが6世代以上にわたる選抜育種で開発した高温耐性サクラマス種苗を用い、飼育システムにはベルデアクアのVA式電気分解式ろ過システムを搭載したRASを採用しました。評価項目は、成長性、飼料効率、生残率、オフフレーバーの有無です。

実証の結果、飼育水温15℃の条件下で飼料効率(FCR)は1.3、生残率は98%となり、へい死は飛び出しによるもののみだったとしています。魚体重は最大220グラムで開始し、最大1480グラムまで成長しました。また、試験期間を通じてオフフレーバーは検出されず、カビ臭ゼロが確認されたとしています。

気候変動時代に対応する持続可能な陸上養殖モデルを目指す

サクラマスを飼育しているベルデアクア社の水槽の様子:プレリリースより引用


両社によると、今回の試験では、RAS環境下でも高温耐性サクラマスが良好な成長を維持し、季節を問わない安定育成の可能性が確認されました。加えて、VA式電気分解式ろ過システムにより、従来課題とされてきたジオスミンや2-MIB由来のオフフレーバーを抑制できたことから、品質面でも一定の成果が得られたとしています。バクテリアに依存しない電解ろ過の特性により、低水温期の立ち上げ待ちが不要で、設備規模を抑えた小型RASへの展開可能性も示されました。

さらに、両社関係者および寿司職人による食味試験では、肉質や風味についても高い評価が得られたとしています。これにより、プレミアム商品としての市場展開に向けた知見も得られたとしました。今後は、商業規模へのスケールアップ試験の検討に加え、小規模RASモデルとしての技術提供、高品質サクラマスのブランド化、トラウトやギンザケなど他魚種への応用も視野に入れる方針です。両社は今回の成果を踏まえ、気候変動時代に対応した持続可能な陸上養殖モデルの確立を目指すとしています。

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