2019年3月22日(金)、愛知県雇用労働相談センターと愛岐留学生就職支援コンソーシアムが共催する「高度外国人材・留学生活用のための雇用セミナー」がウインクあいちにて開催されます。同セミナーは3つのパートで構成され、1つ目は名古屋大学大学院経済学研究科 准教授の土井 康裕氏による、「日本企業における外国人材の活用」をテーマにした講義。2つ目は特定社会保険労務士の武 譲二氏による、「外国人材の労務管理に関する実務」をテーマにした講義で、外国人材の雇用の意義や手続きなどをわかりやすく解説します。3つ目は愛知県雇用労働相談センターの社会保険労務士に無料で労務管理のアドバイスをもらえる、個別相談会です。
昨今の中小・ベンチャー企業の外国人材の雇用と課題
内閣府の資料によると、日本の生産年齢人口は1997年から2016年まで減少が続いています。これは少子高齢化が進んだことが主な原因です。さらに、アメリカ、イギリス、ドイツの他の先進国と比較すると、日本は減少傾向が顕著に表れています。それに対して有効求人倍率は急速に増加し、2017年12月時点では1.59倍と43年ぶりの高い水準になりました。
すなわち深刻な人材不足に直面している企業は少なくありません。この状況を打開しようと、現在は外国人材採用に注目する企業が増えています。厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況まとめによると、過去7年間で外国人労働者総数は増え続けています。平成30年10月末時点の同調査では、外国人労働者数は約146万人で、平成19年に届出が義務化されてから過去最高を更新しました。
しかし、優秀な外国人材確保の方法や外国人材の適切な労務管理などに関して、特にベンチャー・中小企業ではまだ疑問点が多いかもしれません。
外国人材採用で成功したグローバル・中小・ベンチャー企業の事例
さまざまなグローバル・中小・ベンチャー企業が外国人材雇用の取り組みで成功した中から、3つの事例をご紹介します。
ブラザー工業株式会社
情報通信機器、家庭用ミシン、産業機器等の開発・製造を行うブラザー工業株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:佐々木 一郎)。現在では海外売り上げが7割を超え、全従業員に占める日本人の割合は3割を切るグローバル企業です。しかし、80 年代後半には日本国内と海外拠点のニーズの不一致から、業績が低迷していました。そこで掲げられたのが、「グループ・グローバル経営の強化」。1999 年に「グローバル憲章」が制定され、グローバル化が本格的に始まるきっかけになりました。
2009年より毎年複数名を海外の大学から直接採用する「グローバル開発スタッフ」制度を、さらに2012 年より外国人社員への幹部育成教育を実施。給与や人事制度は日本人社員と同様で、必要に応じて日本語学学校などのサポートも行っています。
こうした取り組みの結果として、外国人社員が海外子会社の幹部になり、グループ全体の業績アップに貢献しました。また、中国向けプリンターを開発する際、外国人社員から中国の文化的背景に基づいたデザインに関する提案がありました。これを参考に開発した結果、デザイン面で大変良い評判を得て売上を大きく伸ばすことに成功しました。このように、外国人社員が市場ニーズと開発とをつなぐ役割を果たした事例もありました。
株式会社ヤスヰ
ベアリングの卸売業を行う株式会社ヤスヰ(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:安井 脩之、以下「ヤスヰ」)は、韓国・中国での販売拠点設立に伴い、マネジメントまで含め中核的に働いてくれる人材を探していました。そこで着目したのが外国人留学生。ヤスヰでは外国人社員は日本の文化や商習慣、働き方などの指導を受け、日本企業のやり方を熟知した人材として、海外拠点に転籍されます。また、中国人社員による中国語教室を開催することで、日本人社員の異文化理解も促進。このように、社員の日本と海外の双方の文化理解を深めています。
日中双方の商習慣に精通している中国人社員が中心となり、日系現地法人から厚い信頼を得て、今日までの事業拡大に貢献しています。外国人社員の存在により社内の国際化も進みました。さらに、海外との貿易取引も年々増加し、取引先国は2000年の3か国から10か国に拡大しました(2018年時点)。
株式会社モンスター・ラボ
サービス開発事業、音楽事業、ゲーム事業を行う株式会社モンスター・ラボ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:鮄川 宏樹)。「多様性を活かす仕組みを創る」「テクノロジーで世界を変える」という企業理念のもと、国籍に関わらず同じ条件で社員を採用。東京オフィスは、中国、韓国、ベトナム、アメリカ、イギリスなど多国籍化しています。
タイムライン上で同じ画像を閲覧しながら話ができるチャットアプリやWEB会議ツールなど、文化的背景に頼らないコミュニケーション方法やフェアな評価制度を導入。また、信仰や文化的背景を尊重するため、イスラム教徒向けのお祈りスペースの設置や社内イベントでのハラール対応なども行っています。
こうして多様な人材が働く環境を構築することで、優秀な人材を世界中から惹き付けることに成功。3年で3倍以上の社員数増加を達成し事業を拡大しました。今後はビジネスをより大きく展開し、「デジタルプロダクトの開発で世界No.1」を目指しています。
3月22日(金)高度外国人材・留学生活用のための雇用セミナー
講師紹介
土井 康裕氏・名古屋大学大学院経済学研究科 准教授(国際交流担当)
名古屋大学総長補佐(国際化推進担当)・名古屋大学ヨーロッパセンター センター長兼任
武 譲二氏・特定社会保険労務士
愛知県雇用労働相談センター相談員・武社会保険労務士事務所
武氏は、今回のセミナーに向けて、以下のようにコメントしています。
愛知県では外国人労働者の受け入れが増加しています。愛知労働局の平成29年10月時点のデータによると県内の外国人労働者数は129,155人で前年比16.6%増、事業所数では12,625件で前年比12.5%増となっています。また、東京都に次ぎ全国2位の受け入れ数で、全国の外国人労働者数の約1割を占めています。
外国人労働者の雇い入れで障壁となるのは、日本で働くための資格です。日本国内に在住する外国人の方すべてが日本で働けるわけではありませんし、働けたとしてもさまざまな制限が設けられることがあります。
外国人労働者を雇うときは、言語や文化の違いへの留意が必要です。また、「外国人労働者=低賃金労働力」と考えてはいけません。日本の労働および社会保険に関する法令では国籍による差別は認められず、労働者として雇う以上、日本人労働者と同様に労働社会保険諸法令が適用されます。本セミナーで外国人雇用に必要な労務管理の知識を深めていただき、雇用や労務に関するお悩みがあれば無料の個別相談会をご利用いただければと思います。
外国人材の雇用について、今のうちに知っておきましょう!
外国人材の雇用はベンチャー企業にとって大きな問題の一つでもある人材不足の解消だけでなく、海外進出の成功にも繋がります。彼ら/彼女らは他国への言語的背景および文化的背景への理解が深く、現地で即戦力となるからです。また、社内に外国人が増えることで、会社全体でグローバル化の意識と言語能力の向上が期待できます。ぜひ今回の「高度外国人材・留学生活用のための雇用セミナー」に参加してみてはいかがでしょうか。
本セミナー後には無料で社労士に個別相談が可能です。現時点では漠然とした疑問でも、一度相談することで自社の進むべき方向性が見えてくるかもしれません。ぜひ企業の成長段階に合わせたアドバイスを受けてみてください。
イベント詳細
日時:2019年3月22日(金)13:30~16:30(開場13:15)
内容:外国人材の雇用セミナー&無料個別相談会
※セミナー後、社労士に個別相談が可能です。
参加費:無料
定員:60名
参加方法:申し込みページから、または電話(0120-544-610)
場所:ウインクあいち 12階 1202会議室(〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4-38)