日本を代表する女性応援カンパニーを、名古屋から生み出す — 株式会社CURUCURUの時田由美子氏にインタビュー

投稿者: | 2017-06-29
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「私たちは、日本を代表する女性のライフスタイル変革カンパニーになります。」
株式会社CURUCURU(キュルキュル)代表取締役の時田由美子氏が、インタビュー中に何度もおっしゃっていた言葉です。

主に女性ゴルファー向けの多様なサービスを、インターネットを通じて提供する名古屋のITベンチャー、株式会社CURUCURU。今や女性ゴルファーの10人に1人がCURUCURUのサービスを利用し、今後は新たな分野にも取り組むそうです。時田氏が女性に特化した事業をつくり続ける理由や、本社を名古屋に置くことにこだわる理由とは一体何でしょうか。詳しいお話を伺いました。

時田由美子氏

株式会社CURUCURU代表取締役。愛知県愛西市出身。2008年に株式会社CURUCURUを名古屋で設立。女性ゴルファー向けサイトやECの運営、その他女性のライフスタイルに特化した各種サービスを提供する。現在は東京オフィスに主な活動拠点を移し、週に1回ほど名古屋本社で働くスタイルを取っている。

— まずはじめに、CURUCURUの事業内容について詳しく教えていただけますか?

画像引用元:株式会社CURUCURU 公式HP

CURUCURUは「ITで女性のライフスタイルを豊かにする」をビジョンに8年前に私が設立した会社です。現在、事業が2つあり、そのメインとなるのが創業事業でもあるゴルフライフ事業です。出会いが自然と広がる「ゴルフ」を通じて、「女性」の人生を豊かにすることを目的に、私がゼロから立ち上げたサービスです。現在、女性ゴルファーに特化したメディア・ファッションEC・クラブレンタル・マーケティングなどを展開していて、ゴルフをする女性の10人に1人以上に愛用される規模に成長しています。中でも、弊社の一番の人気のサービスは、ゴルフのファッションECサイトです。イメージとしては、ZOZOTOWNのゴルフウェア版とお考えいただくと分かりやすいのですが、BEAMSなどの人気アパレル企業とお取り込みをしているのが特徴です。もう1つの事業は、現在立ち上げ中の「妊活」をテーマにしたライフイベント事業です。

— 時田さんがCURUCURUを創業したきっかけとして、幼少期の体験やお母さまの姿が強く関係しているそうですね。

私は昔から好奇心旺盛で、疑問を抱いたらとことん考え抜くタイプの子供でした。4歳の頃に父を病気で亡くし、それからは母が私と姉を育てるために働きに出なければならなくなったとき、「大切な人を亡くし、子供を育てなければならない母が、なぜ苦労しなければならないのだろう」「なぜ日本はこんなにも弱者に冷たいのだろう」と疑問を抱きました。幼少期の体験が「女性が生きていく環境をもっと良くしたい」という志を醸成させ、現在の私の活動の根幹になっています。

弊社のビジョンは、ITを通して女性のライフスタイルを豊かにすること。その中でも、2つのテーマがあります。1つ目は、働く女性を応援すること。女性がどのような環境になったとしても、経済力をつけたければそのための選択ができる世の中をつくりたいです。2つ目は、女性が孤独を感じずに生きていける社会をつくること。私の母もママさんバレーをやっていますが、週末に仲間と過ごす時間があることで、シングルマザーの葛藤がリセットされるようでした。女性は仲間がいれば、苦しいことがあっても共感しながら乗り越えていける生き物だと思います。必ずしも同じ境遇ではなくても、気軽に話せる仲間がいれば一緒に歩んでいける。そういった意味で、女性に人と人のつながりの中で豊かな人生を育んで欲しいと考えています。

起業にあたっては、志を貫くために、一般のお客様に直接ふれるBtoCビジネスで、コモディティ化されたサービスよりもイノベーティブなサービスづくりがしたいと考え、現在の事業を選びました。事業選びは重要で、志や想いは、辛い時に踏ん張る胆力や周囲を巻き込む力になりますが、思いが強いボランティア傾向のビジネスだと、いつかは自分が消耗してしまいます。思いや感情に繋がる部分と、ビジネスが動くエンジンの両方のバランスを持つことが、女性の起業においては特に重要です。

— CURUCURUの設立は時田さんにとって2度目の起業への挑戦だったそうですが、1度目で失敗を経て再びチャレンジしようと思ったのはなぜでしょうか?

CURUCURU設立前に、起業までは至らなかったものの2~3年間取り組んでいたサービスがありました。当時ExcelやWordなどのOffice製品やOA機器、インターネットが普及しはじめ、ITやテクノロジーは今後の女性の働き方を変えていくと感じました。事務作業から解放され、ツールを使って分析したり、男性の領域だった仕事にも女性が参入したりする可能性が増えると思いました。

起業において成長市場にチャレンジすることは王道ですが、そこには必ず大手の参入や、同じ市場を狙う競合他社があることを忘れてはいけません。私の場合、日本のOLさん向けにOAスクールを展開したかったのですが、大手の参入があり事業として形にすることはできませんでした。

しかし、その時趣味で作ったOLさんやOAインストラクター向けの資格取得応援サイトが活性化し、業界では日本最大の規模にまで成長しました。マンションの一室から、趣味で作ったサイトを通して世の中に貢献できるコンテンツを発信し、人々が交流したり感謝しあえるコミュニティを作った経験は、私にとって大きな成功体験でした。インターネットを使えば、自分が持つ以上の価値が発揮でき、しかも場所にとらわれることがない。次に起業するとしたら、インターネットを使った価値提供をニッチ市場で行うと決めました。

— 「女性×ゴルフ」を事業のテーマに選んだきっかけは何だったのでしょうか?

起業に夢やぶれたのち、セキュリティ系のエンジニアとして会社員になった際、会社の先輩の代理で参加したコンペがきっかけでゴルフに興味を持ちました。そのときに、ゴルフ業界での女性に対する待遇に疑問を抱きました。例えば、男性用のグラウンドは整備されているのに、女性用のグラウンドは枯れ葉だらけだったり、女性用ゴルフウェアは種類やサイズが満足に揃っていなかったり。ゴルフ市場では女性プレイヤーが少ない上に、シニア層が多いですから、大手は若い女性向けのサービスや商品づくりができていなかったのです。大きな市場の中のニッチ市場を発見したことに加え、ゴルフは高齢になっても仲間や家族と一緒に楽しめるスポーツであり、私が実現したかったテーマである「女性が孤独にならない社会づくり」に挑戦できると思いました。そして、他の女性の声も集めてみようと非営利のコミュニティサイトをつくったところ、多くの女性や企業から反響があり、これは業界にイノベーションを起こせる可能性があると感じ、創業することにしました。

— 時田さんは現在のメイン拠点を東京に移し、週に一度名古屋に帰ってくるスタイルをとっているそうですね。そのスタイルを始めてから、何か変化はありましたか?

東京にメイン拠点を移してみて、私が離れていた方が名古屋オフィスのメンバーが成長できると感じました。社内で権限移譲ができずに苦しんでいる方は多いと思いますし、私も誰かに任せることが苦手でした。しかし、物理的に距離が離れたことで、割り切ってメンバーに任せられるようになりました。もちろん、東京にいても名古屋メンバーとはオンラインで繋がっていますし、週に一度は名古屋に帰ってきます。自分自身のライフスタイルを変えたことで、今まで進んで手を差し伸べていた行為が、実はメンバーの成長を阻害していたのかもしれないと気づきました。私が今も名古屋に常駐していたら、成長が遅くなっていた可能性はありますね。メンバーを信頼すれば、信頼で返してもらえることを実感しています。

さらに、名古屋と東京のメリットを有効に使い分けることもできます。私は会社の代表として東京に身を置くことで、業界のキーマンと会ったり、必要な情報が入手できますし、名古屋に少ないロールモデルとなるベンチャー経営者や投資家と交流を深めることもできます。東京は経営者の感度と目線をあげることに適した場所です。

一方で、本社を名古屋に置く理由は、地方創生に関心があり、そこに大切な仲間がいることと、地方創生という視点で名古屋からいい企業を生み出したいと考えているからです。いい企業が東京に流動してしまい、名古屋で起業する際に周りに相談できるロールモデルが見つからず、私自身苦労しました。地方にロールモデルがいなければ、次に続く起業家も生まれにくいでしょう。質ももちろん大切ですが、まずはモデルの数を増やしていくことも重要です。私は、日本を代表する女性のライフスタイル変革カンパニーを、ここ名古屋からつくりたいです。

— CURUCURUが今後展開する新たなサービスについて教えてください。

画像引用元:株式会社CURUCURU公式HP 「妊活ボイス」

ゴルフの分野ではまもなく、一緒に行ける友達がいなくても女性が一人でも気軽にラウンドに参加できるセッティングサービス「golco」を始動します。「golco」は仲間のAIマッチングを目指す業界初となるサービスです。既存の1人ゴルフ予約サービスはシニア層中心なので、女性や若い男性が利用しにくい点を解消したいと考えています。また、弊社の強みであるゴルフファッションECサイトは、ブランドさんたちとの取り組みを強化し、ファッションを楽しみたいゴルファーにとって日本一のサイトを加速して実現させていきたいですね。

人と人を繋ぐという観点から、ライフイベント分野への取り組みも開始しました。ゴルフ分野では「人生の友達をつくること」をテーマとしていますが、ライフイベント分野では「家族をふやし育むこと」をテーマにしています。結婚・出産などのライフイベントに関して、働く女性はとりわけ悩みを抱えているといわれています。特に、妊活に関してはまだまだ手薄です。日本の晩婚化を背景に、不妊で悩むご夫婦が6組に1組まで増加しているんです。精神面・経済面・仕事との両立で苦しみながらも周囲には話せないストレス、何をどうしていいのか分からない手探り感…そんな妊活で悩む女性やご夫婦を減らすために現在取り組んでいるのが、妊活に関する情報を集約したSNS「妊活ボイス」です。口コミランキングをデータ化し、妊活をする方がご自分に合った活動を見つけたり、SNS上でコミュニケーションをとったり、病院選びをするきっかけになるようなサービスを目指しています。辛くなりやすい妊活が、仲間と触れることで少しでも明るい妊活になればうれしいです。

ゴルフ関連事業は楽しさをプラスオンするサービスですが、「妊活ボイス」はダウンサイドの悩みに切り込むサービスです。これまで様々なサービスをつくってきて、一つのサービスを事業化することがどれだけ大変か実感しました。せっかく時間や労力をかけて新たなサービスをつくるなら次は人々の悩みを解消できるものにしたいと考え、よりチャレンジングな課題で他社が踏み込んでいない領域である「妊活」をテーマに選びました。

— 現在、採用を行っているそうですが、どんな方と働きたいでしょうか?

BtoCサービスが大好きな方は、弊社によく合っていると思います。女性向けのサービスを展開しているので、男性が少ないのでは?と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、男性の方ももちろん大歓迎です。弊社はイノベーティブなサービスを創るテクノロジーカンパニーでもあり現在は男性陣がその分野を牽引してくれています。また最近では、MBAホルダーやメガベンチャー経験者などユニークなメンバーも増えつつあります。人の役に立つサービスに携わりたい方は、ぜひ話を聞きに来ていただきたいです。

それから、変化を生み出せる方もいいですね。世の中には、自分でモチベーションが上げられるタイプと、誰かに上げてもらう必要があるタイプがいますが、ほとんどの方は後者です。好きなものに対してモチベーションを上げて自走できるメンバーが多ければ多いほど、周囲も感化されてチーム全体の士気は自然と上がります。チームワークを活性化させ、自ら輝きながら、周りも輝かせていける方と働きたいですね。

編集部コメント

時田さんが熱く語る姿から、いま取り組んでいるサービスが好きな気持ちが伝わってきました。ご自身の人生から生まれたテーマを追求し社会に貢献する姿は、同じ女性としてとても素敵だと感じました。ここ名古屋から日本の女性を支える株式会社CURUCURUを、今後も応援しています。