#クリエイション・コア名古屋特集 金属と樹脂を接合する異種材料接合が自動車業界を変える!|輝創株式会社

投稿者: | 2021-12-02
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自動車などの輸送機械は、安全で快適な設備・設計が高い次元で求められます。日々さまざまな要望に対して、技術研究が行われている中で、「軽量化」も自動車開発における課題となっています。特に、次世代型自動車といわれる電気自動車は、実用化するためには「軽量化」が必須といわれています。

今回は独立行政法人 中小企業基盤整備機構「クリエイション・コア名古屋」の入居企業特集として、自動車開発の「軽量化」に取り組む輝創(きそう)株式会社(名古屋市守山区。以下、輝創。)代表取締役の前田社長にお話を伺いました。

HP:https://kisoh-tech.com/

プロフィール

前田 知宏(まえだ ともひろ)
輝創株式会社 代表取締役

兵庫県出身。1985年に近畿大学原子炉工学科を卒業し、半導体・電子部品、電子応用機器を国内外へ販売する商社に入社。名古屋工業大学で修士課程を修了する。2012年に輝創株式会社を設立。

インタビュアー
齋藤 剛
東海エイチアール ディレクター

はじまりは樹脂と樹脂の接合研究


齋藤:前田社長が現在の事業を取り組むに至るまでの経緯を教えてください。

前田:大学を卒業した後、大阪大学の溶接工学研究所に勤めていました。その研究所では、レーザを用いた表面処理の研究を行っていました。その後就職をして、同じくレーザ機器関係の仕事に従事していました。2000年に名古屋工業大学の大学院に行き、レーザによる樹脂と樹脂の接合研究に取り組みました。この研究は当時、日本で初めての取り組みだと言われており、この技術を会社に持ち帰り、レーザ樹脂接合技術の事業化を進めました。その後、2012年に独立して今の会社に至ります。

齋藤:研究から発見した技術を活かして会社を立ち上げられたんですね。現在、輝創で取り組まれている事業を教えてください。

前田:現在の事業は大きく二つあります。一つ目が、設立した当初から開発している異種材料接合技術の開発。二つ目が、AI画像処理を用いた検査装置の開発です。

齋藤:それぞれ詳しくお聞きしたいです。異種材料接合技術の開発とはどのような技術になるのでしょうか。

前田:異種材料接合とは主に、金属とプラスチックの接合をいいます。輝創では、この異種材料接合を完全ドライプロセスで実現する技術を開発しました。物質の表面に処理する方法には、ウェットプロセスと、ドライプロセスがあります。ウェットプロセスは薬液を使って接合する材料の表面を溶かして加工する工程があります。一方で、ドライプロセスは薬液を使わずに表面処理を行います。

ウェットプロセスで表面処理を行う際に使用する薬液は環境破壊物質でもあるため、薬液の処理にはかなりのコストがかかります。一般的な企業では処理する設備を導入することも簡単ではありません。その課題を解決したのが、ドライプロセスによる表面処理技術です。

輝創ではPMS処理(Prominent Micro Structure処理)と呼んでいます。PMS処理は、レーザ加熱により金属表面で混合粉末を燃焼合成反応させ、金属基材上に凹凸構造を作ります。隆起した凹凸構造を接合層として利用することで、樹脂との強固な直接接合を可能にしました。

研究開発しているのは、この出っ張った凹凸構造をより接合しやすい構造にするためにさまざまな無機材料を混ぜて反応しやすいように処理する方法を探すことです。材料がわかったらレーザスキャンをするだけで、薬液に着ける必要がなく、現場に導入しやすくなります。

齋藤:環境に優しく高効率で接合ができる革新的な技術なんですね。次に二つ目の事業であるAI画像処理検査について教えてください。

前田:もう一つの事業ではAIを用いた画像認識装置の開発を行なっています。工業製品の品質検査は、人による検査かパターンマッチング式の画像認識が主となっています。しかしこれらの検査では品質の維持が間に合っていない現状があります。

この課題を解決する画像処理技術を輝創で開発しました。「まーべらすEye」と呼んでいまして、AI技術と独自のアルゴリズムを持って、高度な画像認識性能の実現ができています。

異種材料技術の社会実装

齋藤:二つの事業についてお話を聞かせていただきました。特に注目したいのは異種材料接合技術です。こちらの技術は現在、社会的な実用化はされているのでしょうか。

前田:自動車関連では、この技術で加工した樹脂と金属の複合材料が補強材料として評価が進められています。基本的に製品の表に出てくる部分ではなく、製品の裏側に扱われることが多いです。

社会での実用化は非常に難しく、単に樹脂と金属がくっついただけでは意味がありません。品質が伴って初めて実用化されます。良い品質の材料が作られれば、自動車の軽量化の需要はあるのでさまざまな面で実用化の可能性は高いと思っています。

これまではアルミにしか接合できませんでしたが、1〜2年前に自動車の主要金属である鉄にも応用できるようになり、現在自動車用途での評価は鉄が主となっています。今年はいかに使いやすくするのかを研究しています。

齋藤:今まで誰も着手してこなかったこの技術を事業展開していく中でどういった苦労があったか教えてください。

前田:技術開発は狙ってやってきたというより、材料の試行錯誤を繰り返し偶然発見したものが多いです。研究を進めていくうちに発見したため、あまり苦労した点はありませんでした。研究自体には黙々と取り組んできました。

事業展開で苦労したことは資金調達です。この技術は高いレーザ設備を使うため、設備費用がかかります。会社をつぶさないように、最初は補助金をいただきながら始めて行きました。

さまざまな支援を受けて


齋藤:ここまで輝創の事業や技術についてお伺いしました。輝創はクリエイション・コア名古屋という施設に入居されていましたね。さまざまなインキュベータ施設がある中でこちらの施設を選んだ理由を教えてください。

前田:創業当初は名古屋市が提供している他のインキュベーション施設を一部屋借りていました。当社が経済産業省の「戦略的基盤技術高度化支援事業」に採択されたことをきっかけにして、資金調達がしやすくなったため、設備が導入しやすいクリエイション・コア名古屋に移動しました。

入居してからは、国の補助金制度やイベントの情報が耳に入るようになり、大変助かっています。立ち上げ期には、資金調達、プロモーションに関してもサポートやアドバイスをいただきました。他にも、自社にない設備を同じく入居されている他社さんに借りにいくことができました。

齋藤:研究開発にとても役立っているんですね。最後に、クリエイション・コア名古屋への入居を検討している方へ、メッセージをお願いします。

前田:クリエイション・コア名古屋は、行政側が運営していることにより、行政の方とのネットワークができる他、中小・ベンチャー企業を応援してくれる環境にあります。
特にクリエイション・コア名古屋は、「綺麗な工場」を借りているような感覚です。生産設備等を求める、工業的な分野で戦おうとしている方には特におすすめだと思います。

齋藤:今日はありがとうございました!

編集部コメント

まだ社会に実装されきっていない技術研究に関するお話はとても魅力的で、少し先の未来をみているようなワクワクがありました。同時に、革新的な技術であることと実用化には厳しい壁があることも実感しました。新たな技術の実現が楽しみになる取材となりました。

入居検討者の方に向けて

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