ベンチャーをもっと身近に|スタートアップコミュニティ『Midland Incubators』発起人の奥村氏にインタビュー

投稿者: | 2017-11-28
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U29の名古屋の起業家エコシステムを形成させることを目的とし、株式会社Misocaの豊吉 隆一郎氏と奥村 健太氏により立ち上げられたスタートアップコミュニティ『Midland Incubators(ミッドランド・インキュベーターズ)』。29歳以下の起業家やスタートアップ界隈のプレーヤーを対象に、人材育成やイベント開催、人材マッチングの機会を提供しています。

2017年9月30日には、『Midland Incubators』のキックオフイベントを開催。さらに、起業家やスタートアップ志望者向けに、定期的なスピードミーティングも行っています。

今回は、『Midland Incubators』発起人の奥村氏に、コミュニティ立ち上げの経緯や今後の活動計画などを伺ってきました。

奥村 健太氏プロフィール

愛知県出身。京都大学工学部卒業。株式会社Misoca執行役員。
2014年、エンジニア集団のMisocaに初の非エンジニア職として入社。財務戦略等を担当し、Misocaを弥生株式会社によるM&Aへと導く。

プライベートでは、地域課題を解決する事業を行う個人・団体への融資を行うNPOバンク『コミュニティ・ユース・バンクmomo』の理事を務める。営利・非営利両面から、名古屋近郊の活性化を目指す若手起業家の応援に注力している。

ベンチャーで働くことの“楽しさ”を伝えたい

吹原:なぜ『Midland Incubators』を立ち上げられたのでしょうか?

奥村:ベンチャーで働くことの楽しさを、より多くの人に知ってもらい、プレーヤーを増やしたいという思いが根底にあります。名古屋にはプレーヤーが少ないので、それを増やすためには、まずベースとなるコミュニティづくりから始めようと思ったのがスタートですね。

吹原:ベンチャーで働く“楽しさ”とは、どんなものでしょうか?

奥村:ベンチャーで働くことは、単純に“楽しい”のです。私は大学生のとき、休学してベンチャーに携わったことがあります。農業×ITの事業を行う株式会社日本情報化農業研究所(現在の社名は株式会社Brassica)という会社で働いていました。

当時は毎日すごく大変でしたが、楽しかったという記憶があって。下宿を引き払って、農家さんの家や車で生活していたこともあるんですよ(笑)。何も実績は残していなかったと思いますが、それでも本当に楽しかったし、そのときのがむしゃらさは今も残っているかなと思います。そういう経験を、若い人や学生に経験してもらいたし、U29の社会人でもベンチャーに関わる人が増えたらいいなと思っています。

吹原:やりがいがあるという意味での楽しさですね。

奥村:そうですね。それに、自分の責任で何かができるということは、楽しいと思います。

私が大学で在籍していた学科では、9割以上が大学院に進学し、大手企業に就職する人が主流でした。当時私は、大手企業に入れば、自分の意思で自分の人生を選択できないのではないかと考えていました。自分の人生を自らが決められる環境に身を置くことが大事で、そこで実際にやれば楽しいだろうと。

吹原:U29の人たちに、ベンチャーで働くことの“楽しさ”を知ってもらうためにも、『Midland Incubators』というコミュニティを通して、ベンチャー自体を知ってもらおうということですね。

奥村:ベンチャーのことを知らない・接点がない人に、ベンチャーに触れてもらえる機会を作りたいですね。それから、学生ベンチャー同士の横の繋がりも作ってもらいたいと思います。“仲良しこよし”になる必要はないけれど、ある程度繋がりがあれば、何かあったときにお互い助け合えることもあるでしょうから。

吹原:実際にイベントを開催してみて、何か反響はありましたか?

奥村:今まで2回イベントを開催して、学生ベンチャーの方から、「お互い意識はしていたが、こうして実際に会う機会があって良かった」という話もありました。これからもそういう場を提供していきたいですね。

『Midland Incubators』はU29をターゲットにしたコミュニティです。なので、もちろん学生でもいいけれど、一旦社会に出てある程度の経験を積んだ人がベンチャーに入ってきてもらうことにも、すごく意味があります。

吹原:社会人がベンチャーに入ることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

奥村:例えば、エンジニアで言えば、メーカーには優秀な人たちがいっぱいいます。彼らをベンチャー側に引っ張ってこられればいいですよね。一度社会に出た経験は必ずベンチャーに入ったときにも活きてきます。そういう人たちを、もっと巻き込んでいきたいと思っています。

ベンチャーを身近にする“場”

9/30のキックオフイベントの様子

吹原:『Midland Incubators』は、起業していない人でも気軽に参加できますか?

奥村:もちろんです。むしろ起業していない人に、より多く参加してほしいと思っています。

起業している人たちは、横の繋がりや新しい仲間・人材を見つけられるような場に。ベンチャーに関わったことがない人は、そこにいけばベンチャーのことがわかる。名古屋のベンチャーの情報が、そこにいけば集まっている。そんな場にしたいですね。

今はイベントという形ですが、中長期的には実際の場を作りたいと考えています。Nagoya Startup Newsと同じようになってしまいますが、WEB上でも作れたらいいですね。

吹原:コワーキングスペースのようなものですか?

奥村:名古屋にフリーランスの人が集まるコワーキングスペースはあるけれど、スタートアップ・ベンチャーが集まる場はありません。そんな拠点を作れたらと考えています。

吹原:起業家や、起業を志している人がコミュニケーションをとれるような場でしょうか?

奥村:そうですね。ベンチャーをもっと身近に感じてもらい、敷居を下げたいという狙いもあります。

弊社代表の豊吉は、昨年会社を売却して、スタートアップ起業家として成功した事例を持っています。彼自身も10年ほど前に、ほかのベンチャーで働いていた経験があり、それがあって今があります。

「あの人もやれるなら、自分もやれる」と思うようなことは、多分みなさんありますよね。こういった事例を目の当たりにすることで、ベンチャーという選択肢がより身近になります。

吹原:確かに、知らなければ選択肢にはならないですね。

奥村:名古屋は、製造関係で働いている人が多いです。家族も親戚も製造業なら、自分も製造業を選択しようと思う人も多いでしょう。ベンチャーの多い東京なら、自分の周囲にベンチャーで働く知人や友人もいて、ベンチャーが身近です。それなら、「じゃあ私もベンチャーに行こう」と思う人もいますよね。

3年、5年と時間がかかる覚悟は出来ている

 

吹原:直近では、どんなことを計画されていますか?

奥村:2017年12月16日に第3回目のミートアップイベントを開催します。学生・U29の起業家たちと、ベンチャーに興味のある若手プレーヤーが出会える場にする予定です。名古屋でU29の起業家がこれだけ出展するイベントは初めてではないでしょうか。

吹原:就活を控えている人、今就活中でも、「やりたいことが見つからない」と思っている人は多いですよね。もちろん、社会人でも、転職先を探しているけどやりたいことがわからないという人もいます。イベントを通して、より多くの人にベンチャーのことを知ってもらえるかもしれませんね。

奥村:時期的に、就活で悩み始めた大学3年生もいるでしょう。大手企業への就活で悩むくらいなら、ベンチャーでインターンをしてみればいいですよ。とにかく、どこかに飛び込んで何かをやってみることが大事です。ベンチャーに入り、ベンチャーの空気を感じて。やってみれば、楽しいこともあるでしょうから。

吹原:今後はどんな展開をお考えですか?

奥村:『Midland Incubators』は私と豊吉の2人で始めたけど、2人だけでやり続けるのではなく、一緒に運営していただける仲間を募集しています。名古屋を盛り上げたいと思っている、ベンチャー側の人たちにぜひ参加してもらいたいですね。

コミュニティを作るためには、プレーヤーそれぞれが“点”で戦ってもだめなので、“面”で戦っていくことが大事です。名古屋のベンチャー界を盛り上げよう!といった感じで、ベンチャー側がみんなで協力すれば面になり、強くなりますよね。

私は今Misocaで、財務や人事といったバックオフィス系の仕事をしています。名古屋のベンチャーで同じようなバックオフィス系の仕事をする役員などに集まってもらい、定期的な勉強会も開催しています。

その中で「名古屋を盛り上げたいね」という話も出ますが、私も含めみなさんも本業が忙しいので、行動に移すのはなかなか難しいという話もあります。今回『Midland Incubators』という受け皿を作ったので、みんなで運営していけるようなコミュニティにしていきたいですね。

名古屋にはまだスタートアップのエコシステムというものが存在しないと思っています。私の取り組みもすぐに結果が出るとは思っていません。3年、5年かけてでも、名古屋のスタートアップコミュニティはあのときから始まったよね、と言われるような活動にしていきたいですね。

 

編集部コメント

優秀なプレーヤーたちが“点”でそれぞれ立っていることは、もったいないこと。点と点が繋がり“面”になれば、大きな波を起こせるかもしれない、そんな期待を持ちました。『Midland Incubators』の開催するイベントは、ベンチャーやスタートアップとの距離がとても近いイベントです。興味のある方は、ぜひ参加してみてください。