挑戦を続ける鍵とは|NAGOYA CONNÉCT #13 イベントレポート

投稿者: | 2021-07-30
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イノベーションの促進と交流の場として名古屋市が主催する「NAGOYA CONNÉCT(運営:Venture Café Tokyo)」が7月16日、新型コロナウイルス感染症予防対策を徹底した上で、会場のなごのキャンパスに来場者を迎えるリアル参加と、オンライン参加を組み合わせたハイブリッド開催で行われました。

当日は、イノベーター達が集まり、NAGOYA CONNÉCT1周年を祝して登壇しました。自身の経験や学びをもとに、これから何か挑戦したい人たちのためのヒントが提供されました。登壇者も参加者もとても熱量に溢れ、私自身も挑戦してみたいと強く思うような時間となりました。

文:齋藤
写真:齋藤

7月のテーマは「イノベーター」


NAGOYA CONNÉCTは「ちょっとした繋がりからイノベーションを生むことができる」をキーワードに、昨年7月から毎月第4金曜日に開催されている定期イベント。イノベーションを促進するためのパネルセッションなど学びの場と、繋がりの機会を組み合わせたプログラムで、誰でも無料で参加できます。毎回、200人前後が参加するコミュニティになっています。

この日のテーマは、「イノベーター」。昨年度、スタートアップエコシステム“グローバル拠点都市”として選出された愛知県、名古屋市と静岡県浜松市では、多くのスタートアップ・イノベーターを輩出しました。今回は多くのイノベーター達にお集まり頂き、また、NAGOYA CONNÉCT1周年を祝して、新しい挑戦をするきっかけとなるお話をされました。午後5時から始まり、8時半まで、2つの会場とオンライン会場のハイブリッド形式で、4つのセッションが開催されました。

NAGOYA CONNÉCTは1周年を迎えました


5時からはメイン会場で、NAGOYA CONNÉCT1周年を祝して、これまでの活動の紹介やNAGOYA CONNÉCTが目指すことについて、Venture Cafe Tokyoのプログラムマネージャーの小村氏がご説明されました。

ミッションは「Connecting Innovators to make things happen」。イノベーションはコラボレーション無くして起こらないという考えを持って、NAGOYA CONNÉCTは運営されています。そのためには人と人とがつながる場を提供し、社会のエコシステムの腐葉土のような存在になることを目指しているそうです。

「イノベーションはすごい技術ではなくて、誰にだってできる。」誰だって挑戦できると勇気を持たせてくれるような言葉でした。

これからのアントレプレナーシップとは


5時半から始まったメイン会場では、当イベント会場のなごのキャンパスのメンターでもある元日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員で、現在は株式会社圓窓 代表取締役 澤円氏が登壇され、アントレプレナーシップの重要性、マインドについてお話しされました。

「全ての人がアントレプレナーシップは持った方がいいです。」

最初にそう話された澤円氏は、これから先AIによって多くの仕事がとって変わられることを説明しました。そして、それでも人間に変えられない仕事は、経営の視点、つまり社会貢献のためにどうしていくか判断する仕事であるといいます。

「これからのアントレプレナーシップはテクノロジーなしには成立しません。テクノロジーを使い、そして自分のコントロールできることに集中してください。」

自分がコントロールできることに集中して考え、他人に委ねないことでやっていることが面白くなる。起業するという手段ではなくても、自分のコントロールできることに集中することで何かできることがあるとワクワクするとお話しされました。

最後には、「一緒に面白い未来を作りましょう」という言葉で締めくくられました。


後半は、株式会社Magic Shields 代表取締役 下村 明司 氏、グロービス出身の株式会社CURUCURU 代表取締役CEO 時田 由美子 氏、モデレーターとしてVenture Café Tokyo NAGOYA CONNECT Mentor/Globis Managerの大崎 司 氏を迎えまして、起業家教育、東海地区のスタートアップ形式に向けた議論を澤円氏とともにパネディス形式で行いました。

「起業をしていく中で大変だったこと」というテーマで、時田氏は、資金繰りをすることとおっしゃられました。創業時は自分が我慢すればいいものの、仲間が増えていくとそうではいられなくなります。事業を進めていく中ではやはりお金が非常に大切で、緊急時で身近に頼れる人がいない場合に、自分がしたくない選択をしなければならないということに迫られたことがあったそうです。仲間が増えるとのしかかってくることも違うと伝えられました。

一方、下村氏は、自分が何をやりたいかを見定め、社会に対してマッチするところを発見するまでがとても大変だったと話されました。前職で10年以上さまざまな試行錯誤を繰り返し、とにかくアイデアを形にして人に相談することを繰り返していって今の形ができたそうです。

また、「起業をして実行に移していく上で大切なこと」として、澤円氏は、「フォロワーの存在である」と説明されました。一人で何かを進めるには限界があり、フォロワーの存在が絶対に必要になるそうです。初めは、フォロワーが役に立つかどうかは関係がなく、フォロワーがいること自体が起業を進める支えになっていく、と話されました。

最後に「アントレプレナーシップとは」という問いに対して、時田氏は、「動き続けること。」、下村氏は、「未来が良くなることを信じて自分が旗を振ってそこに向かってことを起こしていくこと。」、澤氏は、「やめることを決めること、徹底して自分のやりたいことに集中すること。」と答えられました。

起業家というとキラキラとかっこいいイメージがありますが、裏には目まぐるしい努力が隠されているということを忘れてはいけないと感じました。

どん底を学び、挑戦を続けた経験から得たものとは


19時からのセッションでは「チャンスの掴み方」というテーマで、革命的企業のインクス創業者の山田 眞次郎 氏とミーニングノートの開発者 山田 智恵 氏を迎え、親子対談を行いました。

前半は山田智恵氏から、チャンスの見つけ方について、リーマンショックにより民事再生を受けた当時を振り返りながらご自身の経験を踏まえてお話しされました。

「チャンスを掴むために大切なことは、意味づけ力です。」

意味づけ力とは、自分に起きる出来事の中に価値や可能性を見つけ出す力のことをここでは定義しました。出来事が人生を変えているわけではなく、その出来事をどう意味づけるかによって人生が変わる、つまりチャンスが掴めるということです。意味づけ力をつけるために、山田智恵氏は1日3つチャンスだと思った瞬間を書き続け、チャンスを見つけ出す目利きが上がったと言います。

後半には、山田智恵氏の父である山田眞次郎氏が実際にミーニングノートを通して掴んだチャンスについてお話ししていただきました。いいことなんてなかったと思い、5年間ノートを書き続けた結果、再び立ち上がることができたそうです。

「転がっているチャンスを丁寧に育てたらチャンスを見つけた。まずは3ヶ月書いてください。一年で行動習慣が変わり、3年続けば人生は変わります。」と最後にお話しされていました。

最後には、意味づけ力が生きていく上で必要な理由についてお話しされ、「次に何が起こるかわからない時代だからこそ、現状からどんなことができるか考えること」「自分で自分の幸せを定義する時代だからこそ、自分にあるものから幸せの鍵を見つけること」「一日中外の情報に触れている時代だからこそ、自分の心と対話する時間を取ること」とお話しされました。

大学生の生き方や価値観を変えたい


もう一つの会場では、18時からツキイチナゴヤVol.6~名古屋の学生団体呼んでみた~と題して、南山大学の学生団体「Humans of Nanzan」と名古屋大学の学生団体「Humans of Meidai」の代表を迎え、パネルディスカッションを行いました。

Humans of Nanzanは、学生の可能性を最大化させるきっかけづくりを目指しており、自分らしく生きる学生をスタンダードにするために、さまざまな南山生の生き方を紹介することで勇気を与える活動をしています。Humans of Meidaiは名古屋大学の学生のキャリア観や学生生活の過ごし方、考え方に変化を与えることを目指し、現在は、名大教授図鑑、名大新聞などさまざまなSNS発信を行い、名古屋大学の認知拡大を行っています。

ディスカッションでは、「面白い大学生」の定義についてそれぞれの考え方を話し合いました。最後に、それぞれの団体が目指すこととして、Humans of Nanzanは、「ただすごい人を紹介するのではなく、身近に感じてもらえるような発信をしていきたい。」、Humans of Meidaiは、「一代で無くなるのではなく、名大に存在し続ける団体となりたい。」と話されました。

世界をよくしたいと思う意思


19時からは、株式会社TOWING 代表取締役 西田 宏平 氏と、Venture Café Tokyo Program Directorの小村 隆祐 氏を迎え、失敗を恐れずに挑戦し価値を生み続ける起業家のライフストーリーを高校生に向けて話されました。

テーマが「高校生のためのアントレプレナーシップ」ということもあり、今までのセッションとは異なり、高校生も参加しセッションを楽しんでいました。

初めに、小村 隆祐氏がバブソン大学で学んだアントレプレナーシップとは何か、についてご紹介されました。

「アントレプレナーシップにとって、大事なことは一番根幹として『行動すること』。新しいことを始めたとき、成功するか失敗するかわからない。わからないことを考えていてもしょうがないので行動するんです。

二つ目は、『世界を変えよう』と思うことです。日本は世界の中で、可能性を持つ度合いが低い国だという調査結果が出ています。自分は世界の一部かもしれないけれど、世界の中心かもしれない。そう思うことが世界の誰かを救うことになります。

そして三つ目は、『やりたいことは何か』です。やりたいことが今決まっていなくてもいいです。自分は何がやりたいのか考え続けることが大切です。そして、それは自分一人で考えるのには限界があります。他者の存在が必要です。」
と話されました。


続いて、西田宏平氏がお話しされ、事業について、起業した経緯についてお話しされました。

「これからビジネスを設計される方は三方よし、八方よしといろんな方面を喜ばせないと認められない状態になっていくのではないかと思っています。」

そう話された西田氏の会社では、良質土壌を人工再現する技術を活用し、高効率×美味しい×低環境負荷な野菜の栽培する開発を進めています。通常、3年から5年かかる土壌を1ヶ月で作る技術に成功したそうです。これは、これまで生かしきれていなかった微生物を活かす、化学性にも生物性にも優れた技術とのこと。また、JAXAが企画運営する「SPACE FOODSPHERE」に参加し、この技術を活用して宇宙農業実現を目指しているそうです。

「宇宙で農業をしたいと言ったときに、そんなのできないだろと言われることもありました。絵空事じゃないかと。でもちょっとずつやっていくことによって、道が見えてきました。本気で目指してきたら、笑われない状態にはなってきたと思います。夢を描いて挑戦し続けること、やり続けることが大事だと思います。」

これまでの起業家とは違い、柔らかに話す姿がとても印象的な方でした。

会場の外では多くの方々の交流が行われていました


イベント中は、なごのキャンパス施設内のカフェ「yoake」が開かれ、登壇者や参加者、運営者の方々が自由に会話ができるNetworking Room on Yoakeが実施されていました。


起業や新規プロジェクトを推進するためには、アイデアに対するフィードバックを得る機会が欠かせず、コミュニティやマーケットとの会話が欠かせません。そんな機会が提供され、多くのイベント参加者が思い思いに会話をされている様子が伺えました。

編集部コメント

どちらの会場でも大事になったキーワードがありました。「イノベーターに必要なのは仲間(フォロワー)」。どれだけ、挑戦や行動力を持っても、それを支えてくれる人、応援してくれる人がいなければ絶対に達成できない。そうした仲間とも出会えるNAGOYA CONNÉCTは素敵な場所だと改めて思いました。

次回開催情報

■日程
2021年8月27日(金) 17:00-21:00
■開催場所
なごのキャンパス
オンライン
■概要
多様なイノベーター達による講演を通じて参加者は学びを得ながら、そこで得た共体験を梃子にネットワークを拡げることが出来ます。

今回のイベントでは、MUFGビジネスサポート・プログラムよる表彰企業様のピッチをはじめとして、共同で環境エネルギーイノベーションコミュニティを立ち上げるCIC Tokyo様、U3 Innovations様、未来に向けた新しい生き方・働き方を推進する女性イノベーター、修士課程または、博士後期課程に在籍する若い研究者など多様な方々が登壇されます。良きイノベーションの輪を広げ、共に新しい挑戦をしましょう。

■詳細
https://ng14.peatix.com/