【SHARE SUMMIT 2021 イベントレポート】LOCAL ACTION ~マルチセクター協働による持続可能な地域のつくりかた~

投稿者: | 2021-11-02
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2021年10月5日、一般社団法人シェアリングエコノミー協会(以下、シェアリングエコノミー協会)の主催により、日本最大のシェアカンファレンス「SHARE SUMMIT 2021」が開催されました。今回で通算6回を数える同イベントは、『Sustainable Action − 大転換期における持続可能な経済社会システムの設計とその実践 −』というテーマの下でおこなわれました。

この度Nagoya Startup Newsはシェアリングエコノミー協会中部支部のメディアパートナーに就任。地元に根ざしたメディアとして、ローカルな視点で今回のシェアカンファレンスの内容をお届けします。そこで本記事では同イベント、Session Bにおけるセクションの一つである「LOCAL ACTION〜マルチセクター協働による持続可能な地域のつくりかた〜」をピックアップし、当日のセッションの様子を紹介していきます。

シェアリングエコノミー協会


シェアリングエコノミーとは、場所、モノ、スキル、お金を必要としている人に対して提供や共有をおこなう新たな経済活動の形。代表的なものでは、ライドシェアリングの「Uber(ウーバー)」や、空き住居を貸し出す「Airbnb(エアビーアンドビー)」などが挙げられます。近年は必要なものを購入するよりも、借りたり、共有したりできれば良いという考えやニーズの広がりを背景に、シェアリングエコノミーの市場規模は2020年で過去最高となる2兆円に達しました。

シェアリングエコノミー協会は、そんなシェアリングエコノミーの普及・推進に努める一般社団法人。法的整備をはじめとする健全な市場環境の構築はもちろん、官民との連携や事例創出などをおこなうことで、シェアリングエコノミーを通じた日本経済の発展に貢献しています。

セッション登壇者一覧

  • 森戸 裕一:ナレッジネットワーク株式会社 代表取締役社長 一般社団法人シェアリングエコノミー協会 九州支部長
  • 岡本 ナオト:株式会社R-pro 代表取締役 一般社団法人シェアリングエコノミー協会 中部支部長
  • 豊里 健一郎:Startup Lab Lagoon 代表 一般社団法人シェアリングエコノミー協会 沖縄支部長
  • 菅野 永:株式会社MAKOTO WILL 代表取締役 一般社団法人シェアリングエコノミー協会 東北支部長
  • 権 基哲:Con 代表 一般社団法人シェアリングエコノミー協会 関西支部シェアリングエコノミーキャプテン
  • 鏡 晋吾(進行):一般社団法人シェアリングエコノミー協会 事務局次長 兼シェアリングシティ推進協議会 事務局長

パネルディスカッション1〜地域とはなにか?地域をどのように捉えて、どのように活動されているのか?〜

同セッションはシェアリングエコノミー協会事務局次長である鏡晋吾氏の進行の下、おこなわれました。最初のパネルディスカッションでは「地域とはなにか?地域をどのように捉えて、どのように活動されているのか?」をテーマに、各地域の実態がどのようなもので、現在どんな活動をしているのかについて、それぞれ語っていただきました。

まず初めは関西支部シェリングエコノミーキャプテンを務める権基哲氏。関西ではベンチャーの事情として、単体でも成り立つ規模感である大阪を筆頭に、神戸や兵庫などでもこれから育っていくような企業が存在するとのこと。また、これまで東京ほど強くなかった横のつながりも近年では生まれており、東京のベンチャーキャピタル(VC)がすすんで関西に来るだけの環境作りがされているそう。一方で、東京のVCが地域の中へと踏み込んでいくことの難しさを今後の課題に挙げました。

続くシェアリングエコノミー協会沖縄支部長の登里健一郎氏は沖縄県の出身です。沖縄の文化的観点からお話をされました。沖縄では伝統的に大切にされている「ユイマール」という相互扶助の精神が根付いているとのこと。シェアリングエコノミーが目指す姿と大きく重なります。同氏は、「沖縄の地域特有の課題を、シェサービスを通じて対処していきたい」と述べました。

東北支部で支部長を務める菅野永氏は北海道庁で職員として務めていた経験が原体験として現在の活動につながっているとのこと。行政の視点から、自治体と共に地域共創を模索したいとの思いを語ってくれました。同氏は今年度より、自治体トップの首長同士をつなげるコミュニティを構築し、その方々の課題解決に向けた取り組みも始めているそうです。

同協会中部支部の支部長を務める岡本ナオト氏は、自分達がクリエイティブでできることの可能性に自信をのぞかせました。これまで実施してきた取り組みには「防災双六」や「ご当地カルタ」の作成などがあるとのこと。取り組むことでその分野での知識が身に付くといった特徴があり、最終的なアウトプットまで考えて設計されています。同氏は、町に対するアイデンティティを醸成すると、それが地域の特性になっていくと考えており、さらにそれを共創的におこなうことを大事にしているそうです。

森戸裕一氏が支部長を務める九州支部では、特定の地域の政策を横展開する「政策シェアリング」を実施しているとのこと。自治体の抱える課題はそれぞれの地域で違うことから、地域課題解決のためには理想の施策です。他地域のイメージをユニークな関西、グローバルな沖縄、信頼の東北、クリエイティブな中部だとすれば、九州はコンセプトを「ファーストペンギン九州」であると表現。この政策シェアリングを九州から率先しておこない、個性の違う地域同士が連携することで新しい持続可能な地域づくりに挑戦していければと話しました。

パネルディスカッション2〜シェアリングエコノミーで実現できる持続可能な地域づくりとは?〜


続くセクションでは、本セッションのメインテーマ「シェアリングエコノミーで実現できる持続可能な地域づくりとは?」について登壇者の皆さんが語りました。

まず沖縄支部の登里氏が「沖縄は米軍基地など異質なものも根差す土壌であり、よそ者に強く、様々な文化がミックスされていることで新しいことを始めやすい環境がある。」と地域特性について言及。新しい取り組みを形にした際には「福岡市の社会実装が早い点を特に見習っていきたい。」と述べました。

それに対し九州支部の森戸氏も、「自治体もよそ者に優しく、地域の縛りに関係なくつながることができる」とし、「スキルシェアなど、POC、実証実験、などの成果をシェアリングエコノミーを介してつなげていけたら」と話しました。

それに続き、関西支部の権氏は「よそ者がいるだけではダメ、新しいものに関してよそ者が地域に入り込んで本物になる必要がある。それができなければスタートアップのサービスが地域に根差すことはできない」と地域のおけるマルチセクター協働の難しさに触れました。

中部支部の岡本氏も同様に、「大都市の行政は保守的な場合が多い。外から来たものを受け入れる風潮はなかなか望めない。」と続け、「優しさが根底にないとシェアリングは成り立たないと感じている。」と話しました。

「人材とスキルのシェアに可能性を感じている。官の世界における対民間への繋がりを太くすることでwin-winの関係が描けるのではないか。」という東北支部菅野氏は、「ナレッジや情報の共有をおこなうことで地域への貢献をしたい人達の人材交流をやっていきたい」と結びました。

編集部コメント

各地の支部を代表する方々が一同に会したことで、日本全体のシェアリング施策の現状が網羅的に把握でき、大変有意義でした。また今回のセッションでは、地域におけるマルチセクター協働の難しさを語る場面が何度か見受けられました。しかしそれと同時に、異なる地域や共同体がうまく噛み合い、ワークした時には確かな成果を望めることも分かり、大きな収穫となりました。今回のセッションのように地域の代表者が集まる機会が設けられることは、違いを乗り越えて協働が始まる契機を創り出していくのかもしれません。今後もNagoya Startup Newsはシェアリングエコノミー協会の中部支部を中心に、地元の異なるセクターの協働について動向を追っていきます。

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