音楽という文化を通じて豊かな社会をつくる|株式会社Sonoligo代表 遠山氏にインタビュー

投稿者: | 2018-12-12

名古屋大学の学生と音大卒のメンバーで構成されたIT×音楽のベンチャー企業、株式会社Sonoligo。音楽家と音楽好きのためのSNS「Sonoligo」を運営しています。今回は代表の遠山 寛治氏にお話を伺ってきました。

遠山 寛治|プロフィール
1994年生まれ、広島県出身。名古屋大学大学院情報学研究科在学中。音楽は中学校からサックスをはじめ、ソロコンクールで全国大会優勝を含む、多数のコンクールで入賞。愛知県立刈谷高校卒業後、名古屋大学工学部へ進学。大学院在学中にドイツのミュンヘン工科大学へ留学。帰国後の2018年9月に株式会社Sonoligoを設立。

ドイツ国民の文化に対する思いに衝撃を受けた留学生時代

水元:遠山さん自身も音楽で活躍されていたんですね。

遠山:中学のときから、学業と並行してサックスの演奏活動を続けてきました。現在は、名古屋大学大学院情報学研究科1年生です。デジタル信号処理を扱う研究室に所属し、音とインタラクションを研究していました。去年の9月にドイツのミュンヘン工科大学に1年間留学して、今年の9月に会社を設立しました。

水元:かなりのスピード感ですよね。ドイツでの1年間はいかがでしたか?

遠山:トビタテ!留学JAPANに選ばれて、留学に行かせてもらいました。ミュンヘン工科大学では、会社設立のために経営学や専攻に関することを勉強したり、演奏活動をしたりしていました。本場の音楽を聴いたり、文化も学びました。

水元:ドイツで一番印象に残っている思い出や出来事はありますか?

遠山:大学の近くに、「ガスタイク」というカルチャーセンターがあって。ミュンヘンフィルハーモニーという世界トップクラスの楽団の本拠地なんです。そこのホールのキャパシティは2,500人なのですが、毎回満席になるんです。

それが、日本では考えられない光景で。彼らは自分たちの文化をわかっていて、お金を払って聞きにいくことが文化を守ることにも繋がるのを、おそらく理解しているんじゃないかなと思いました。

水元:確かに、日本で音楽鑑賞にそこまでの思いを懸けている人は少ないかもしれませんね。

音楽をやっているからこそ思いついた「Sonoligo」

水元:Sonoligoについて、簡単に紹介してください。

遠山:「音楽家と音楽好きのためのSNS」とうたっています。音楽家と演奏場所、ライブハウスなどの細かいプロフィールを掲載できて、演奏イベントも登録できます。

音楽家のみなさんが一番困っていることを突き詰めると、集客とお金なんですよ。集客に関しては、チラシやSNSなどを活用されているのですが、告知専用にできていないので、効果が薄いんです。現状は、そこを解決するためのプラットフォームですね。音楽家に興味を持ってもらって、イベントに足を運んでもらうきっかけになればと思っています。

水元:音楽家と音楽好きが、より交流を深められたらということですね。では、Sonoligoというサービスをはじめようと思ったきっかけや背景を教えてください。

遠山:会社の設立は2年前くらいから決めていて、留学から帰ってきたらすぐに起業したいと思っていました。20、30個あったアイデアの中から、市場、ユーザーなどを細かく分析して、今の形になったんです。

水元:もともと、音楽という市場に課題感を感じていたのですか?

遠山:私に音楽業界の知識があったことと、そこに大学で学んだ情報系の知識が混ざって、いいアイデアが生まれたのではないかと思っています。

水元:最初は、音楽のオンラインレッスンのウェブサービスを作ろうと思ってプログラミングの勉強をはじめたのですよね。他にもいろいろアイデアがあったと思うのですが、今の形になったのは、どんなことから着想を得たのでしょうか。

遠山:音楽家や、音楽をやっている友人に何に困っているのかを聞いたところ、やはり「集客」と「お金」だと言っていました。そこにうまくアプローチしているサービスがなかったので、それだと思ったんです。

Sonoligoは音楽という文化を通じて社会を豊かにしていくサービス

水元:今後の事業展開について、どのようにお考えですか?

遠山:アイデアがたくさんありすぎて迷っているのですが(笑)、まずはいろいろな音楽家に登録していただいて、演奏場所を増やしていくことですね。行政との連携もできそうだと考えています。市や県が管轄しているコンサートホールにもアカウントを作ってもらい、行政からバックアップしてもらってSonoligoを広めていきたいです。

現状、トップクラスで活躍している音楽家が登録しているようなプラットフォームがないんですよね。録音したものを投稿して、それをリミックスして遊ぶようなサービスはあるんですよ。それでも、プロの人たちが集まったサービスがないので、どうとでも展開できるなと思ったんですが、まだまだですね。

水元:確かにプロの音楽家が登録しているサービスは少ないですよね。今後の事業展開にも関係してきますが、Sonoligoのミッションについて教えてください。

遠山:音楽で、社会を豊かにしていきたいですね。ドイツに行って強く思ったんです。文化的な理解度、熟成度、というのがその国の人たちのアイデンティティを作ると。例えば、ドイツならドイツ、フランスならフランスというアイデンティティがあります。それがわかるんですよ。でも、日本に帰ってきたときによくわからなくて、ふわふわしているなと思ったんですよね。

水元:日本人の文化のようなところですね。

遠山:そうですね。街を歩いていても、日本の文化を感じないんです。ドイツでは、400年前の建物などが残っています。自分たちが何者かというアイデンティティを植え付けるために、文化の理解は大事だなと思っていて。音楽は文化なので、みなさんの音楽に対する理解度が深まれば、自然と心が豊かになっていくのではないでしょうか。

水元:心が豊かになれば、社会も豊かになっていくでしょうね。

遠山:今はプラットフォームを作っているけれど、クラシック市場、ジャズ市場は、他業界に比べると小さいんですよね。外の市場を絡めなければと思っています。例えば、法人に対して音楽という切り口で切り込めると思っていて。例えば、「企業理念」です。経営者の思いが社員になかなか通じなくて困っているときに、音楽や芸術をメタファーとして使って、広めていくための活動を事業にしようと考えています。

水元:音楽を飛び出して、大きい市場へということですね。

遠山:そうですね。アートを使って、ビジネスを活性化させることもやっていきます。

水元:最後に、サービスを利用するであろう音楽家や音楽好きの方、読者に伝えたいメッセージをお願いします。

遠山:社員3人全員、音楽が大好きで、音楽が広まればいいなと思っています。Sonoligoがその手助けをするサービスとなり、みなさんに活用していただければうれしいですね。

水元:ありがとうございました。

編集部あとがき

音楽家や音楽好きが集まるプラットフォームを作るSonoligo。背景には音楽という文化を通して、社会を豊かにしたいという思いがありました。プラットフォームの提供にとどまらず、音楽をビジネスに活用することで、これまでにない変化が生まれるかもしれません。音楽が好きな方は、ぜひ利用してみてください。

株式会社Sonoligoの公式HPはこちらから