あなたの会社の労働条件通知書は大丈夫?弁護士・社労士に相談可能な愛知県雇用労働相談センター

投稿者: | 2018-12-07
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国家戦略特別区域法に基づいて設置されている「愛知県雇用労働相談センター」では、弁護士と社労士による労務管理の相談サービスを行っています。また、労働条件通知書のアドバイスや就業規則の簡易チェックなどの訪問サービスも無料で実施しており、前回の記事では、mics合同株式会社の代表社員 長谷川氏に個別訪問サービスを体験してもらいました。

前回の記事

今回の記事では、前回の個別訪問サービスで受けたアドバイスをもとに長谷川氏に実際に労働条件通知書を作成してもらい、愛知県雇用労働相談センターの相談員をされている社労士の山下氏と一緒に労働条件通知書の完成を目指していく様子を、Nagoya Startup News編集部が取材していきます。

「有期雇用特別措置法」、「割増賃金率」など難しいトピックも丁寧に解説

長谷川:本日も宜しくおねがいします。前回教えて頂いたことを踏まえて、パートタイム労働者の労働条件通知書を自分で作成してみました。書いてみると、専門用語が出てきて記入の仕方が分からない部分があったので、まずは見てもらってもいいですか?

山下:それでは、一緒に見ながら進めていきましょうか。

長谷川:契約期間は、「期間の定めあり」としました。契約期間の更新の基準は、ひとまずテンプレートをそのまま挿入しました。

山下:当てはまるものに「◯」をつけてみて下さい。

長谷川:更新の判断基準でパッと思い当たるのは「契約期間満了時の業務量」ですね。あとはどうすればいいかなぁ。

山下:例えば長谷川さんが5日間で終わると思っていた仕事が3週間かかってしまったら、引き続き雇用契約を更新しようというように評価はできるでしょうか?

長谷川:できませんね。そうやって考えると分かりやすいですね。

長谷川:「契約期間満了時の業務量」、「勤務成績・態度」、「能力」で判断することにします。
その下にある「有期雇用特別措置法」は初めて耳にする言葉です。

山下:有期雇用特別措置法は、 同一の使用者との間で有期労働契約が更新され、契約期間が通算して「5年」を超えた場合に、労働者が無期労働契約になりたいと申し込みをすると無期労働契約に転換できるという『無期転換ルール』の特例を定めた法律です。定年まで働いた方がその後再雇用される場合等に特別な取扱いができるというものですよ。今回の場合だと、3ヶ月のパート契約なので、この部分の記入はしなくても大丈夫です。

山下:どんどん進めていきます。勤務日は毎週月・水・金曜日ですね。

長谷川:そうです。そうです。休日は毎週火・木・土・日曜日と祝日にしています。

山下:いわゆるお正月休みやお盆休みは、祝日に入らない日もあります。もし休みにするなら、明記しておいたほうがいいですね。

長谷川:それでは、「その他年末年始等」と書いておきます。

山下:休暇について見ていきましょう。

長谷川:自分で調べて、ちょっと書いてみました。

山下:素晴らしいです。30時間未満かつ週4日以下となると、年次有給休暇は、勤務日数に応じて比例付与されます。今回の労働条件通知書を見ると、出勤が週3日・1日3時間・1週間の所定労働時間が9時間なので、6ヶ月継続勤務の場合の年次有給休暇は少なくとも5日あればよいですね。

画像:有給休暇ハンドブック(厚労省)より引用

山下:法律上では6ヶ月以内の継続勤務では年次有給休暇が無くてもかまいませんが、労働環境を良くするために設けることも可能です。

山下:賃金を見ていきましょう。

長谷川:時給を1000円にすることは決めました。特に手当は考えていません。「割増賃金率」の記載方法が分からなかったので教えてほしいです。

山下:1日8時間、1週間40時間という法定の労働時間を超えて働くことを指す時間外労働(法定超)は、25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。また、中小企業は2020年4月まで猶予されていますが、法定超の時間外労働が60時間を超えた場合、50%以上の割増率となるため、ご注意ください。ただし、法定の時間外労働にはならない残業、今回の場合、所定労働時間の3時間を超える部分であって、法定の労働時間を超えない残業(所定超)の場合は、自由に決めることができます。また、法定休日労働に対する割増賃金率は35%以上、深夜労働(夜10時~朝5時)は25%以上になります。

山下:賃金支払日は、いつに設定しますか?

長谷川:毎月10日にしようかなと思っています。

山下:翌月10日と書いた方が分かりやすいですね。10日と決めて、例えば10日が日曜日だった場合、銀行によっては平日中に振り込む必要が出てきます。雇っている人数が数人規模なら問題ありませんが、これから人をもっと雇用していくとなると、余裕を持って設定した方がいいと思います。

長谷川:それだと、翌月末の方がいいですね。「労使協定に基づく賃金支払の控除」はどういう意味ですか?

山下:本来、賃金は社会保険料や所得税など法律に定められているもの以外は控除してはなりません。ただし、労使協定を結べば、その他のものも控除できるようになります。例えば、お弁当代を給料から天引きするような場合は、労使協定を結ぶことで賃金から控除することができるようになります。他にも、社宅や厚生施設、組合費などがある場合は、労使協定によって賃金控除が認められています。

長谷川:すごく良く理解できました。

ついに労働条件通知書が完成!

長谷川:分からなかった部分は以上です。これで労働条件通知書を完成させることができました。よく分かりました。ありがとうございます。

山下:そう言って頂けると、こちらも嬉しいです。

長谷川:労働条件通知書を作成してみて、従業員1人を雇うためのものではなく、今後10人20人と採用していくことを考えた上で労働条件を決めなければいけないのだと感じました。

山下:おっしゃる通りで、長期的に考える必要はあると思います。私は、書面上でも会社のビジョンが反映されると思っています。

長谷川:今回作成した労働条件通知書で決めたことを、もし守らなかった場合はどうなるのでしょうか?

山下:労働基準監督署が、労働基準関係法令が守られているか調査を行い、会社を指導します。悪質な場合は書類送検もありえます。厚生労働省のホームページを見ると、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」として悪質な事例が掲載されています。人手不足の昨今、働く人の権利はとても重要ですね。

長谷川:労働者を守るだけでなく、経営者を守るためにも必要だと感じます。

山下:そうですね。知らなかったでは済まないですからね。人を雇用することは、その人の生活の一部を支えていくことなので、人を雇うときの責任を背負うことは忘れてはいけないですね。

愛知県雇用労働相談センターの窓口や電話で、何回でも相談可能

長谷川:今回もかなり勉強になりましたが、まだまだ雇用・労働について勉強する必要があると思いました。もしまた分からないことがあったら、相談していいですか?

山下:もちろんです。今回の労働条件通知書チェックに関する個別訪問サービスは2回までですが、その後ご不明点が出てきた場合、愛知県雇用労働相談センターの窓口や電話、メールにて何回でも相談することが可能です。新たに従業員を採用するときに、労働条件通知書を見直したい場合もあると思います。平日の朝8時から夜8時半までご利用いただけますので、会社の成長段階に合わせてまた相談しに来てもらえたらと思います。

長谷川:正社員を雇うことも検討しているので、ぜひまた相談させて下さい。本日はありがとうございました!

編集部まとめ

会社の事業規模や採用する人の特徴によって、雇用・労働に関する悩みの幅も広くなります。愛知県雇用労働センターでは、会社の変化に合わせて弁護士・社労士といった労務管理のプロフェッショナルに相談することができるという点で、経営者にとって利用するメリットは大きいでしょう。まずは訪問サービスや窓口相談を利用し、そのメリットを実感してみて下さい。

愛知県雇用労働相談センターの公式HPはこちらから