【特集】起業部、Tongali、そして全国へ|Tongali運営事務局 東海地区5大学をインタビュー #岐阜大学編

投稿者: | 2021-09-14
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これまでNagoyaStartupNewsでは東海地区の大学による起業家育成プロジェクト「Tongali」に携わる経営者・起業家の方々をインタビューさせていただきました。今年度は、「Tongali」を運営している方々に焦点を当て、東海地区5大学のTongali運営事務局を取材します。第二弾は、岐阜大学です。岐阜大学でTongaliプロジェクトを担当する上原雅行氏にお話をお伺いしました。

Tongaliプロジェクトとは

Tongaliプロジェクトとは、学部生・大学院生を中心に次世代の起業家を育成・支援する多面的なプログラムを提供する団体です。東海地区の大学による協働で運営されており、プロジェクトを通して東海地区の産業の活性化、雇用の創出に貢献するとともに、グローバルなイノベーションエコシステムの構築に取り組んでいます。

参照:https://tongali.net

岐阜大学について

 岐阜大学は「学び,究め,貢献する」「人が育つ場所」であり続けるという存在理念が継承されてきた70年以上の歴史がある大学です。この理念に立脚して、岐阜大学は「地域活性化の中核拠点であると同時に、特定の強み・特色を有する領域で国際的/全国的な教育・研究拠点を形成する」大学として、生命科学、環境・エネルギー科学、次世代ものづくり、医学教育開発に注力しております。
 2004年に全学部を現在の場所に統合、ワン・キャンパスで学習できる環境を構築し、異分野融合や学生の交流、研究者の交流がしやすい大学です。
 また、自治体との連携も強く、県の複数の研究所(食品科学研究所、岐阜県防災・減災センター、中央家畜保健衛生所など)が大学敷地内にあります。

岐阜大学HP:https://www.gifu-u.ac.jp/

プロフィール

上原 雅行(うえはら まさゆき)
国立大学法人 東海国立大学機構 岐阜大学
高等研究院 准教授
学術研究・産学官連携推進本部 産学官連携推進部門 副部門長(併)
岐阜大学公認 起業部 顧問

インタビュアー

齋藤 剛(さいとう つよし)
東海エイチアール ディレクター

Tongaliプロジェクト・岐阜大学の立ち上がりについて

齋藤:岐阜大学がTongaliに取り組もうと思ったきっかけについて教えてください。

上原:私は、4年半前の2017年4月に岐阜大学に赴任しました。当時、研究室をまわって教員と話していたところ、「ベンチャーを立ち上げるにはどうしたらいいか」「岐阜大学で立ち上げてもいいのか」という問い合わせが多くありました。また、学生からは「起業とまでは言わないが、自分のプロジェクトを立ち上げたい」という個別相談が増えてきました。

ちょうどその時期に、岐阜大学の産官学連携推進本部(現:学術研究・産学官連携推進本部)に起業相談窓口を設置しました。

その直後、文科省EDGE-NEXTが採択されまして、岐阜大学におけるTongaliプロジェクトが本格化しました。タイミングが良かったんです。

齋藤:すごい偶然ですね。Tongaliが始まったことにより、岐阜大学は起業への門戸が開かれたわけですね。

上原:最初は課題がたくさんありました。例えば、起業家応援セミナーを開催しても、毎回数人しか学生が集まりませんでした。それなりの著名な起業家をお呼びしても、同様でした。しばらくの間それが続いて、「岐阜大学には起業を志す・興味を持つ学生さんはいないのかな」と思いましたね。

そこで、起業の前段階のベースの部分、「起業家マインド」「アントレプレナーシップ」を醸成するところに注力しました。名古屋大学さんも仰っていた裾野を広げるというイメージに似ています。ベースの部分を強化していくという方向に切り替えて数年取り組みました。

齋藤:立ち上がった当初はかなり苦労されたんですね。

上原:模索する日々でした。運営を進めていく中で、我々主催のセミナーに毎回参加してくれた学生から「同じ志を持った学生がお互いに刺激しあって挑戦していけるようなコミュニティが欲しい」という声があがりました。また、私たち教員側は、継続的にそういった学生と接点を持てる場を必要としていました。EDGE-NEXTが進んでいるので、関連した情報や他の大学さんの情報も集まっていて、共有できる場が欲しかったんです。

そうした経緯もあり、岐阜大学では2020年4月に中部地域では初となる大学公認の「起業部」を設立しました。現在は全学から集まった25名程度の部員学生が精力的に活動しております。
コミュニティとしてはTongaliに近いものですが、大学の中でしっかりとしたコミュニティを形成することで、そこをベースにTongaliプログラムに参加してほしいなという思いもあります。また、全国規模のビジコンや自分プロジェクトの立ち上げなどへもドンドン挑戦していって欲しいですね。

現在の取り組みについて

齋藤:現在、岐阜大学のTongaliではどのような活動をしていますか。

上原:先ほどお話しした起業部もその活動の一つです。他にもいくつかあり、例えば、私が担当している1年生を対象とした単位有りの起業関連授業「アントレプレナーシップ入門」を2020年4月から開講しています。授業では受講生一人一人が起業アイデアを考えグループワークを経て最後は全員ピッチを行うというけっこうハードなものです。この授業をきっかけに、起業部やTongaliに興味を持つ学生が増えればいいなとも思っています。

実際に今年の前期に授業を受けた20人のうち5人は起業部に入り、複数の受講生が自分プロジェクトの立ち上げ準備を進めています。また多くの学生がTongaliにも参加しています。

ほかに、若手起業家や経営者を講師として招いた「スタートアップセミナー」の開催や、スタートアップ企業と連携した業務体験、岐阜県内の全ての高校生・大学生を対象としたビジネスアイデアコンテストの主催も行っております。

全国的に活躍する学生起業人材も増えてきて、最近では「キャンパスベンチャーグランプリ 全国大会」で岐阜大学の複数の学生が受賞(文部科学大臣賞、審査委員会特別賞)しました。大臣賞を受賞した長曽我部さんは起業部の初代部長で、この秋に岐阜大学の研究シーズを活用したスタートアップ企業を設立する予定です。

齋藤:かなり活動が幅広くなっていますね。運営事務局として活動する「魅力」や「やりがい」について教えてください。

上原:私は高等研究院という部署で教員業務を、学術研究・産学官連携推進本部で全学の産学連携推進業務を担当しております。ですので、最初の頃は本務を気にしながら、運営事務局の仕事をしていました。

しかし今は、この活動に「どハマり」しています(笑)。なんといっても、やる気溢れる・チャレンジする学生さんと接することで、私自身も大きな刺激を受けるんです。

新しいことにチャレンジしていこうというマインドはいい意味で伝播するんですよ。昨年度はコロナ禍で、起業部はほぼオンラインで活動していたんですが、部員学生の熱量に惹きつけられ、私は毎回参加していました。

学生への対応は業務時間外が多いですが、学生が少しずつ自信をつけながら成長していく姿、ドンドン目が輝いていく姿を見られることが、一番やりがいを感じているところです。

今後もやる気のある学生には、しっかりサポートしていきたいと思います。

岐阜大学ならではの良さとは

齋藤:Tongali岐阜大学の他大学と違う取り組みはありますか。

上原:運営には起業部学生が大きく関与しています。学生側が、若手起業家や経営者と直接交渉し講師として招いて「スタートアップセミナー」を開催することが増えてきています。

齋藤:学生側が起業家と繋がりを持ってくるほど活発になっているとは驚きです。

上原:あと社会人の方は学生に自身の経験や知見を伝えたいんですよね。起業家だけではなくTongaliに参画している他大学の先生方にもオンライン上で登壇いただきました。社会人の思いは、熱意ある学生に特に響くんですよね。無償で講演していただいており、講師の皆さまには大変感謝しております。

ほかにも、私は大学発ベンチャーの担当でもあるため、起業家育成から大学発ベンチャー創出までをシームレス・ワンストップでサポートすることができます。

また、岐阜大学は金型加工やものづくり分野の研究力が高い大学です。その金型技術を活用した試作品開発を行える「岐阜大学イノベーション創作室」が整備されていて、その施設を学生に解放しています。まだ十分に活用しきれてはいませんが、3Dプリンターも活用できプロトタイプ製作を行えます。

さらに、岐阜地域の経営支援機関や金融機関、岐阜県庁や岐阜市と連携した「オール岐阜による支援体制」があります。地域機関の皆様方には、多くのご支援を頂いております。

先ほどお話しした、大学公認の起業部、1年生を対象とした起業関連授業、スタートアップ企業の業務体験も特徴ある取り組みだと思います。

齋藤:最後に、この記事を読んでいる学生へのメッセージをお願いします。

上原:Tongaliには同じ志を持っている仲間が集まっています。また、Tongaliのスタッフ陣の多くが産業界で経験を積み、多様なバックグラウンドを持っている方々です。しかも皆さん話しやすい雰囲気を醸し出しているんです。ぜひお気軽にスタッフに話しかけてください。

あとTongaliは自由な雰囲気ですごく寛容な場所なので、ぜひそこを活用して失敗を恐れず思いっきりチャレンジしていってほしいです!

齋藤:ありがとうございました!

編集部コメント

岐阜大発ベンチャーの絶対数は少ないものの、増加率は全国でもトップクラスだそうです。インタビューで挙げられた実績もあるように、どんなところにも活力ある学生が多くいることが伺えました。魅力的な技術が集結した岐阜大学のこれからが期待できる取材となりました。