大学発ベンチャーのリアル!Tongali人材 × ITベンチャー Meetupトークセッションレポート

投稿者: | 2018-12-20
Pocket

左から松下氏、長江氏、高橋氏

2018年12月1日、東海地区の大学発ベンチャー3社とTongaliプロジェクト(東海発アントレプレナーシッププログラム)のコラボイベント『Tongali人材 × ITベンチャー Meetup』が開催されました。当日は、ベンチャー企業に興味のある大学生や、すでに起業している大学生が参加。株式会社オプティマインド株式会社トライエッティング株式会社Acompanyの代表3名が語った“大学発ベンチャーのリアル”な話に耳を傾けました。今回は、その中で行われたITベンチャー3社合同のトークセッションでの様子をレポートします。

登壇者プロフィール

株式会社オプティマインド 代表取締役社長 松下 健氏

1992年生まれ、岐阜県岐阜市出身。名古屋大学情報文化学部を卒業し、名古屋大学大学院情報学研究科博士前期課程修了、博士後期課程に在籍中。専門は組合せ最適化アルゴリズム、特に物流の配送計画問題の研究。2015年に合同会社オプティマインドを創業。オプティマインドでは、経営全般、営業、サービス設計、最適化アルゴリズム設計などを行う。

株式会社トライエッティング 代表取締役社長CEO兼CRO 長江 祐樹氏

1989年愛知県生まれ。名古屋大学大学院工学研究科博士前期課程修了後、2016年–2017年米国スタンフォード大学にて客員研究員を務める傍ら、現地スマートウォッチ開発スタートアップにて一時ジョインしAIソフトウェア開発支援を行う。アカデミックではAIを用いたハイテク新材料発見技術「Materials Informatics」を専門とする。2016年Tryeting創業、代表に就任。

株式会社Acompany 代表取締役CEO 高橋 亮祐氏

1993年生まれ、愛知県豊田市出身。名古屋大学工学部物理工学科量子エネルギー工学専攻4年生。2018年6月に株式会社Acompnay(アカンパニー)を設立。ブロックチェーンを現実社会で活用するための研究開発を行っている。

モデレーターは、名古屋スタートアップ株式会社代表取締役の若目田が務めました。

どんな学生だった?

若目田:いま学生起業が増えていますが、それでもまだ珍しいと思います。みなさんは、どんな学生時代を過ごして起業に至りましたか?松下さんからお願いします。

松下:学生のときは、バスケサークルに入っていました。気軽なサークルかと思いきや、結構“ガチ”でしたね(笑)。そこではサークル長までやっていました。起業のことは全然考えていなくて、4年生のときは大企業に就職しようと思っていたほどです。

若目田:長江さんはどんな学生でしたか?

長江:バーテンやレストランのキッチンなど、7つのバイトを掛け持ちしていました。大体何でも作れるので、何かあっても職には困らないかも(笑)。貯めたお金を失くして、いろいろあって起業に至りました。

若目田:すごく忙しい学生だったんですね。高橋さんはどうでしょうか。

高橋:大学1〜2年生のときは、ずっとバイト漬けでしたね。奨学金ももらっていたのですが、学費を稼ぐために必要で。3年生のときにバイトを辞めて、営業やフリーのエンジニアもしていました。最近復学して、研究が楽しいですね。大学ってこんなところなんだと。

若目田:3人とも、大学以外の場で活躍されていて、いろいろあって起業されたということですね。

起業のハードルをどう乗り越えてきた?

若目田:次の質問です。私自身も起業3年目で、学生で起業するのは結構大変だと思っています。いろいろとハードルがある中で、みなさんはどうやって乗り越えてきたのかお聞きしたいです。高橋さんは最近起業されましたよね?

高橋:そうですね。私が起業に踏み切ったのは、立ち上げてもなんとかなると思ったからです。エンジニアや開発で月100万円ほど稼いだりしていたので、立ち上げてもなんとかなるなと。ハードルは、正直なところお金の問題よりも、周りの目だと思うんですよ。名古屋だと、起業すると言ったら周りが「お前、大丈夫か?」という反応をするんです。

ハードルをどう乗り越えてきたかは、小さいところから具体的に実績を積むこと。長江さんも松下さんも、すごい実績をお持ちです。でも、それは1つずつ階段を上がっていった結果だと思うので。まずは、目の前に向けて一歩踏み出す。それで気付いたら起業していたのが適切なのかなと思います。

若目田:ありがとうございます。長江さんはどうですか?

長江:ハードルとは?

若目田:例えば、お金のことや、就職せず新卒で起業していいのか、そんなことをよく聞きますね。

長江:主にお金とスキルということですね。私にはごついキャリアがありますが、そんなにスキルがないので。それだったらと、大事にしていることが2つあります。

まず、自分だったら100%できる!という意味のわからない自信と、無限のタフネスです。72時間働けますかというくらいに、ひたすら働く。これで乗り切りました。

もう1つは、周りに感謝すること。「ありがとね、でもう1つお願いしたいんだ」という“1ありがとう1お願い”を繰り返しています。いまだにその借りを返しているのですが、これで乗り切りました。

若目田:結構泥臭くやっていたんですね。ありがとうございます。では、松下さんお願いします。

松下:私がバイトで稼いだ20万円、研究室にいた博士課程の中国人の留学生(創業メンバー)が20万円。10万円足りなかったので、親に借りてトータル50万円で創業しました。当時はTongaliプロジェクトもなかったので、どうやって起業するかもわからなかったんです。「起業」と調べていたときYouTubeの広告で出てきた会社に問い合わせをして、設立の手続きをお願いしたら設立費用で20万円かかってしまって(笑)。

(会場笑い)

松下:50万円あったのに、残りが30万円になってしまって。今は情報が流れているので、そういうことは回避できると思います。私のときは、無知でしたね。起業したら飢えてしまうとかは考えず、大学にも在学していたので、普通に立ち上げてしまったという感じです。だから、設立費用が安い合同会社にしました。

若目田:合同会社の設立費用はいくらなんですか?

松下:7万くらいだったと思います。手数料で15万くらい取られているということですね。別にぼったくられたわけではないのですが、もっと安くできたよなと思います。

ハードルうんぬんを考える前に、やりたいことがあったので、何も考えずにいろいろと模索しながらやっていました。長江さんと同じくスキルもなかったし、まだ4年生だったので、スキルを持っている博士課程の先輩を誘って創業しました。

若目田:NagoyaStartupNewsを運営していて、「起業にいくら必要なんですか?」というメッセージがよく来ます。みなさんは実際どうでしたか?私の場合は、おばあちゃんというエンジェル投資家に200万円出してもらって(笑)。

(会場笑い)

松下:30万円くらいかな?在庫が必要なベンチャーだったら、もうちょっと必要かなと思いますけどね。あと場所代とか。私の場合、登記先は実家にしましたし、活動場所は研究室だったので。

長江:あとはパソコンとか。それから、交通費が意外とかかりますね。名古屋・東京を往復するだけで2万円ほどかかるし、現地での食事代も必要で。創業1ヶ月くらいで、最初のお仕事を500万くらいで取ってきたんですね。「これで食っていけるぞ」と思ったら、すぐに溶けましたからね(笑)。

(会場笑い)

長江:1ヶ月とか3ヶ月くらいでクロージングできるようなお仕事だったら、自分やメンバーの3ヶ月分の生活費とかも考えると、100〜150万くらい必要かもしれませんね。

高橋:PCを持っていて、IT系で登記するだけなら30万円くらいかなと。余裕をもって50万円くらいあれば、営業にかかる移動費も含めて、スタートできるんじゃないかなと思います。

若目田:学生の半年〜1年分のバイトくらいですね。

学生で起業することのメリットは?

若目田:学生で起業することで、どんなメリットがありましたか?学生ベンチャーとして名が知れているみなさんの立場から教えてください。

高橋:大学と関わっていくような内容になってくると、後ろ盾として機能してくれるということもあって。

若目田:研究みたいなことですか?

高橋:そうです。あとは、単純にやっている人が少ない。それがどんなメリットなのかというと、目立つんですよ。普通では会うのが難しい人でも、学生だからということで会ってもらえることもあって。それが外部だと、ハードルが高くなります。

最初に会うところのハードルでつまずくのは、よく出てくる課題ですよね。会ったらあとは実力勝負です。あとは交通費で学割が使えることですね。

若目田:学生の立場を使った方がいいこともあるということですね。長江さんはどうですか?

長江:ビジネスモデルはBtoBなのですが、学生だから許されるということは一切ないです。学生と社会人という分け方も好きではないのですが、起業するということは、それらに境目はないと思っていて。

今「学生さん」と言われていても、ひとたび責任を持って仕事をすると決めたら、いくら学生だろうが「社会人」だと思うんですよ。お客さんもそれを感じていらっしゃって、信頼して契約してくださる。契約のけの字もわからない企業に、500万円をぽっと出すわけですよ。必死に契約書を作ってやらせてもらいました。「学生だから」と感じることがデメリットで、自分の能力を引き上げる枷になると思っていて。

強いてメリットを挙げるなら、どうしてもひいき目にみてもらえるので、甘かったですね…今思っても、甘かった。あまりいい結果が出せなくても、まぁいいよね、と。でも私にとっては、ひどくプライドが傷つきました。そういう意味では、私にとってのメリットはなかったのですが、会社にとっては総合的にメリットだったかもしれませんね。

若目田:ありがとうございます。松下さんはどうですか?

松下:リスクがないことがメリットかなと思います。「まぁ死なないでしょ」みたいな。何かあったら、学生という身分を持っているので。Wi-Fiも使えるし電源も使える、冷暖房の効いているところで、設備的な初期投資も必要ない。

(会場笑い)

松下:営業するときに、「学生です」と名乗っていたので、それだとヒアリングはやりやすいですよね。中小企業のオーナーさんにアポを取っても、会社としては門前払いなのですが、「名古屋大学の学生で研究をしていて、ヒアリングしたいです」と言うと、50社くらいの方が会ってくれて。それで、いきなり社長とディスカッションできたのはメリットだったかなと思います。

経験としては良かったのですが、仕事が取れたかというとまた別の話で。長江さんと同じで、学生を名乗るとご飯をおごってくれたり、話したりしてくれるけど、いちクライアントとしては甘えがきかなくなりますよね。

学生で起業するべきかどうかのメリット・デメリットを考える前に、とりあえずやってみたらいいのではないかと思います。その後、いろいろわかってくると思うので。

事業の種・課題に気付くきっかけは?

若目田:みなさんは、それぞれが社会の課題などに焦点をおいて事業をされています。そういった課題や事業の種、そもそも課題に気付くきっかけは何だったのかを教えてください。ルート最適化という、わかりやすい領域の松下さんからお願いします。

松下:自分の研究室で、先輩の研究発表を聞いていると、“研究のための研究”で。実社会に活用するための学問だと聞いて学び始めたのに、「実社会に活きていないのでは?」と思って。だからヒアリングしたんです。

それでわかったことは、やはり研究は研究で、実社会は実社会。導入がうまく進んでいないんですよ。それが研究と実社会の乖離です。それに嫌気がさしたので、どうにかしたいと会社を立ち上げました。いろんな業種を回ってきて、労働集約型で、かつシステム化も進んでおらず、改善の可能性を大いに感じたのが物流だった、というシンプルな理由ですね。

若目田:ありがとうございます。長江さんはどうですか?

長江:弊社のビジネスが社会課題に結びついているところは、大きく2ステップあります。まず会社の興りは、自分が主語、当事者だったんですね。病気の予測をやりたかったんです。

私の祖母が病気で亡くなったのですが、「あのとき、気付いていたら」という思いがありました。病気になってから、伯父が10年介護をして、結局亡くなってしまいました。伯父夫婦の金銭的な負担は相当なもので。それすなわち社会課題だなと感じて起業しました。

ただ、今弊社では病気の予測をやっているわけではないんです。裏側で進めているものもありますが、表向きはそうではないんですね。なぜかというと、AIを活用するお仕事をさせていただいている中で、お客さまの声を聞いていたからです。これが2つめのステップです。

若目田:仕事をしながら、ユーザーヒアリングをやっていたということですね。高橋さんはどうですか?

高橋:私も松下さんに近いのですが、技術的な領域で活用できないのかなと。実際に困っている企業さんたちに話を聞いていく中で、課題や解決策を考えるのが私たちの仕事だと思うんですよ。なので、そこに“気がつくことができた”というよりは、“問題を見つけようとした”ということです。今、弊社はゲームの領域にブロックチェーンを活用するプロジェクトに関わっています。それも、ゲームの制作会社にヒアリングをしたからこそのもので。

今同じように学生が社会の課題を見つけようとしても、ほとんど見つけられないんですよ。いいこと思いついた!と思っても机上の空論で、地に足ついたものにならなくて。やはり、実際に社会にいる人たちが抱えている悩みを知るという意識付けが大きいのかなと思います。

大学での研究と社会課題の溝をどう埋める?

若目田:大学と社会に乖離があるのではと、先生方もすごく悩まれています。そこをどうすれば解決できると思いますか?

高橋:僕はお二方と比べると研究期間も短かったのですが、大学と社会は構造が別物だなとすごく感じていて。社会に足を踏み入れる人が増えればいいのではないかと思います。教授や研究をやっているような方々が、長江さんや松下さんのように、実際に会社を立ち上げて社会に出ていく。落合陽一さんもそうですよね。ここの溝をまたいでくる人が、どれだけ出てくるかが大事かと思います。

若目田:なるほど。長江さんはどうですか?

長江:ちょっとコンセプチュアルな話をさせていただくと、ひらめくこと、行動すること、そしてそれを周りが見守ること。私は、新しい材料を発見する・作ることを研究しているんです。実際にそれがコンピュータのチップになったりするのは、10年、15年先の話なんですね。だからそういう意味では、研究は社会に実装される延長線上にあるべきと思っていて。そうではない研究も、もちろん必要です。理学や基礎研究だと、高橋くんが言ったような話で。

そして私は応用物理出身なので、「応用」ということを考えると、それを目標に、目的からひらめいて研究に落とし込む。まさに「行動すること」です。これはデザイン思考という考え方なんですね。そしてそれを10年、15年先の未来を考えて研究するので、「やれるわけない」と言う人もいるんですよ。もしかしたら、それがノーベル賞になるかもしれない、面白い研究になるかもしれない。それを、先生や周りの同級生、研究仲間が温かく見守って、助けを求められたら助ける、そういう空気を大学で作ることが大事なのではないかなと思います。

松下:「溝」と言われると、埋めなければならないように感じると思うのですが、埋める必要もないかなと思っていて。私は、研究と実社会の乖離の架け橋的な存在になりたいと思って、会社を立ち上げています。なので、そうなるためには、研究者側のことも、実社会で解決すべきことも理解しないといけない。両方の立場で理解できる人、会社を目指したいと思っています。

「研究者が社会に出てヒアリングしろよ」というのも違うと思いますし、実社会の企業の方々に対して「アルゴリズムの本を読んでください」というのも違うと思っていて。いかに自分たちが間に入って、相互に理解しつつ、お互いの技術や課題をお互いにどう伝えるか。地味ですけど、第一歩というか草の根的かなと思います。

どんな未来を目指している?

若目田:では、最後の質問です。みなさんが目指している未来や実現したい社会があれば教えてください。

松下:私たちは、移動を最適化するベンチャーです。なので、スマート社会になったときに、業種業界、人、モノの枠を超えて最適化していきたいと思っています。いわゆる管制官のように、スマートシティ全体をオプティマインドがコアとして全部計算する。

例えば、ここが渋滞しているので、タクシーはこっちを走ってください。ここは人が歩いてくるので、トラックはこちらから搬入した方がいいですよ。この人がもうすぐ帰ってくるので、宅配業者はそこに行ってください。といった感じで「移動をすべて最適化する」のはすごく面白いし、それで解決できる課題はいっぱいあると思っています。それをみんながいいなと思いながら過ごす日々を、実はオプティマインドの最適化技術が支えていたというようなインフラ企業を目指したいと思っています。

長江:弊社の社是は「明日の未来を今日作ろう(Creating The Future of Tomorrow, Today!)」。繋げて、拡張させて、わっと驚くものづくりをしよう、それがキーワードになっています。

私たちの定義するFutureは、10年・20年という、比較的近い未来を指しています。10数年前に、スマートフォンなんて想像もできなかったですよね。でもこれは、私が今研究している半導体物理の賜物なんですね。チップが小さくなると、性能があがってくるんです。でも、誰もこんなに小さくなると思っていなかった。そこには技術的なブレイクスルーがたくさんあるのですが、その多くにAI技術が必ず組み込まれています。そこの中核的なアルゴリズムにインフラを提供する、グローバル企業になろうと思っています。

高橋:私がみんなに一番言っているのは、「ワクワクしようよ!」ということ。自分たちがまずワクワクできるような環境を作ることです。自分たちが感じる“ワクワクするもの”とはどんなものだろうと、いろいろ考えています。

「今はできない」と言われていることをどう実現して、どう形になっていくか。そういったことを通して、こんなことができるんだと熱狂する・ワクワクすることを共有できる、そんな会社を目指して活動しています。

参加者からの質問

トークセッション後に、質問タイムが設けられました。そこであがった質問を一部ご紹介します。

—企業でのヒアリングで、より良い情報を聞き出すためにどんなことを意識していましたか?

高橋:私の場合は、仲良くなること。企業の人に質問攻めをしても、壁ができてしまうんですよね。「タメになることを教えてあげたいな」と思ってもらえるような関係性を築くと、思ってもみないような話が聞けたりします。

長江:まず、聞き上手になること。そうしたら、相手が思ってもみないようなことをポロっと言ってくれることがあります。次は、綿密なリサーチ。相手の会社と関連会社、相手の社長、取締役役員の名前からどんな人なのかをFacebookなどで、何から何まで調べていました。今は時間がなくて、なかなかそこまでできていないのですが、最低限の情報は社内で共有するようになっています。最後は、提言を持っていること。相手は社会で時給いくらの社会人で、そんな人が学生のために1時間とか30分、15分で出せるような提案を、ラフでもいいので持っていって、「実は…」と出す、驚きを与える。これが大事だと思います。

松下:基本的に全く一緒ですね。せっかく時間をいただいているので、自分の話ばかりをしていたら、なんの成長もありません。なので、5分で終わるプレゼンを持っていって、あとは、ひたすら聞く。困っていることがあって、それが最適化ではなかったとしても、どこかで繋がるかもしれないので。とにかく聞きまくることですね。

—組織を作る上で、共感してくれる仲間作りは簡単なようで難しいなと感じています。そういった仲間作りや人脈形成で特に意識されていること、工夫されていることがあれば教えてください。

松下:どういうところでメンバーを集めたのかというと、学会とかで就職していた人がもう一回戻ってくるとか、ビジコンでたまたま隣に座っていて意気投合したとか。CTOの郭は、スタバでディスカッションしているのを隣で聞いていて、あとから英語でメッセージがきて、英語で返したら実は日本語ペラペラだったっていう(笑)。意外とそういう出会いは存在しているので、自分たちがやっていることを発信していたら、興味を持ってもらえるのではないかなと思います。

長江:気付くこと、迎合しないこと、尊重すること。気付くことは、周りの出会いに気付くこと。名古屋という土地柄もあると思いますが、かなり狭いというか、気付いたら明日一緒に仕事しているかもしれない。一緒のカフェでカフェラテを作っているかもしれないんですよ。うちの副社長はまさにそういう人でした。これが気付くこと。

2つめの「迎合すること」。1年半前、私の会社で役員が1人辞めたんです。すごいショックで荒れましたね。そのとき、うちの副社長が私に「愛される社長になりたいか?」と聞いてきたので、私はなりたい!と言ったんですよ。そしたら、「君に残されている方法は2つしかない。人に合わせて自分を変えるか、自分に合う人間を採用するか。君は人に合わせることができないから」と言われて。ということで、今のメンバーになっています。

最後の「尊重すること」は、これだけ会社に人間が集まってきているので、少しは尊重しないと怒られちゃうということで(笑)。

高橋:私が意識しているのは、発信すること。自分が何をやりたいか伝えて、そこで一緒にやりたいと言ってくれたら、あとはフィーリングですね。フィーリングといっても、相手が何を考えていて、どんな未来像を描いているのか。そういうところも踏まえて一緒にいたいかどうかを判断します。

—3社とも、事業における転換点があったかと思います。転換点になったできごとや理由、また転換は会社を立ち上げる前から織り込み済みだったのかどうかを教えてください。

高橋:転換した理由としては、自分たちが見ていたものが、地に足が着いてなかったことです。自分たちの仮説が検証できていなかったんです。転換するのは織り込み済みでした。私たちは、どういうことをやりたい会社というよりかは、「どういう会社でありたいか」が強くて。その上で、何をやっていくのか・どうするのかを改めてみんなで考えて決断しました。

長江:転換は織り込み済みでした。事業は生き物なので。市場の中に置かれているトライエッティングは周りの動向に対してどの位置にあるのか、市場のニーズはどれくらいなのか、価格はどれくらいなのか。それらのデータを日夜取得しています。実は価格決定も機械学習で行っているんですよ。ダイナミックプライシングですね。

私は「動的平衡」という言葉を大事にしています。固定された平衡状態ではなく、常に化学反応のように平衡点があって、この平衡点を常に売上げ最大のところに置いておく。会社のあり方としては変わるかもしれないけれど、平衡点だけ持っておけば、会社としては成長する。そういう考え方です。

松下:全く織り込んでいなかったので、うまくいかなくて、今とは全然関係ないビジネスもやっていました。今ようやく少しずつ軌道に乗ってきたところです。その転換点は、日本郵便とのオープンイノベーションですね。そこまでは、名古屋の交流会に行っても、そんなに注目されることもありませんでした。この12月までの11ヶ月が、ある意味激動でしたね。

編集部コメント

登壇者は普段から仲が良いということもあり、リラックスした雰囲気のトークセッションとなりました。また、普段は聞けないような“大学発ベンチャーのリアル”に参加者は深くうなずき、ときには驚いたり笑ったりと、大いに盛り上がりました。今後のイベントにも注目です。