株式会社Acompany(本社:名古屋市西区、代表取締役CEO:高橋 亮祐、以下:Acompany)とTOPPANデジタル株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:坂井 和則、以下:TOPPANデジタル)は、秘密計算技術を活用したプライバシー保護と情報漏洩リスク低減を両立する新技術を共同開発しました。この技術により、ユーザーは必要な情報のみを選択的に開示しつつ、安全に自身の個人情報を管理することが可能になります。
TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPANデジタルとAcompanyが開発した技術は、デジタル証明書(Verifiable Credential、VC)と秘密計算技術を活用し、ユーザーが自身のIDや個人情報を自己管理できる分散型アイデンティティを実現しました。これにより、ユーザーは会員登録や本人確認の際に必要な情報だけを選択的に開示できるようになります。また、秘密鍵を分散管理することで、情報漏洩のリスクを大幅に低減することができます。
背景として、サービス利用者が自分のIDを自主的に管理できる分散型アイデンティティの導入が進んでいます。従来の中央集権型のID管理では、企業がユーザーのIDと個人情報を一元管理するため、情報漏洩のリスクが高まることが懸念されています。このような状況において、内閣官房デジタル市場競争本部は「Trusted Web」の構想を提唱し、2030年度には広く利用されることを目指しています。
新技術の詳細と今後の展望
今回開発された技術は、ユーザーが自身のデジタル証明書に記載された情報をコントロールし、必要な情報のみを開示する手法を提供します。これには「SD-JWT」フォーマットや「BBS署名」などが使用され、デジタル証明書の改ざん防止と選択的開示が実現されます。
さらに、秘密計算を用いることで、デジタル証明書の発行者の秘密鍵を安全に管理する方法も開発されました。秘密計算技術により、秘密鍵を複数に分割した状態でデジタル署名を生成し、安全性を高めることが可能です。これにより、一度も完全な秘密鍵が存在せず、盗難リスクが低減されます。
AcompanyとTOPPANデジタルは、この技術を2025年を目途に「Trusted Web」に取り組む企業に対して試験提供を開始する予定です。今後は、他の選択的情報開示手法の実装も視野に入れ、システムの拡張を進めていきます。これにより、個人がデータコントロール権を持ちつつ、企業側もプライバシーに配慮してデータ利活用が行える社会の実現を目指します。
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