【特集】多くの学生に挑戦と出逢いの機会を!|Tongali運営事務局 東海地区5大学をインタビュー #名古屋大学編

投稿者: | 2021-07-16
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インタビュー概要

これまでNagoyaStartupNewsでは東海地区の大学による起業家育成プロジェクト「Tongali」に携わる経営者・起業家の方々をインタビューさせていただきました。今年度は、「Tongali」を運営している方々に焦点を当て、東海地区5大学のTongali運営事務局を取材します。第一弾は、名古屋大学です。名古屋大学でTongaliプロジェクトを運営している小西由樹子氏、岡部周平氏にお話を伺いました。

Tongaliプロジェクトとは

Tongaliプロジェクトとは、学部生・大学院生を中心に次世代の起業家を育成・支援する多面的なプログラムを提供する団体です。東海地区の大学による協働で運営されており、プロジェクトを通して東海地区の産業の活性化、雇用の創出に貢献するとともに、グローバルなイノベーションエコシステムの構築に取り組んでいます。
参照:https://tongali.net

名古屋大学について

名古屋大学は「自由闊達」な学風を伝統とした145年以上の歴史を持つ大学です。21世紀に入ってから6名もの大学関係者がノーベル賞を受賞しており、世界的にも高水準な研究力を誇ります。大学には9学部あり、工学部の規模が大きく男子学生が多いことが特徴です。また、地元出身者が多い大学であり、東海地域の高校出身者が70%を占めています。
参照:https://www.nagoya-u.ac.jp/

プロフィール

小西 由樹子(こにし ゆきこ)
国立大学法人 東海国立大学機構 名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部
スタートアップ推進室(兼)人材育成・情報発信部門 副室長 主任URA

岡部 周平(おかべ しゅうへい)
国立大学法人 東海国立大学機構 名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部
人材育成・情報発信部門(兼)スタートアップ推進 URA

(本日はリモートでの参加となりました。)

インタビュアー
齋藤 剛(さいとう つよし)
東海エイチアール ディレクター

渡辺 啓太(わたなべ けいた)
取材ライター

渡辺:Tongaliにはどのような学生がいるのでしょうか?

小西:Tongaliプロジェクトを開始した当初は名古屋大学工学部の研究室の繋がりをもとに先生経由で学生に周知したり、名古屋大学博士課程学生のキャリア支援部署から認知していただいていたため、理系の大学院生が中心となっていました。現在では学部生含め東海地区の様々な大学で文系理系問わず裾野を広げて、多くの学生に参加していただいています。

岡部:Tongaliは必ずしも参加者の起業を勧めるのではなく、あくまで主体的な活動を行うマインドを培ってもらう事に念頭を置いており、起業に限らずサークルや学生団体などで学生のうちに「何か新しいことにチャレンジしたい」といった思いのある学生さんにもご参加いただいています。

齋藤:起業家育成プロジェクトと伺っていたため、起業したい学生が集まっていると思っていましたが違うんですね。

小西:そうなんです。Tongaliの基本的な方針は、アイデアとテクノロジーをもとにイノベーティブな新規事業作ることです。起業が一番わかりやすい形で実現できると思いますが、就職しても研究者の道に進んでもアイデアと技術を合わせて形にし社会に価値のあるものを提供することはできますよね。我々としては起業に囚われず、あらゆる方法で学生のチャレンジを実現するための支援ができればと考えています。

岡部:Tongaliプロジェクト開始初期に参加した学生には、起業された方が複数名います。最近でもTongali出身で起業した学生もいますが、名古屋は大企業や優良企業が多く、就職される学生さんが大半です。就職先で、社内で新規事業を担当したり、イントレプレナーとして活動している方がいらっしゃいます。

Tongaliに参加されている学生さんはスタートアップ企業やベンチャー企業、新規事業などに興味はあるものの、やりたいことが具体的に決まっていないという人が多いです。先輩起業家の話を聞いて起業に興味を持ったり、スタートアップ企業などにインターンとして勤める方もいるので、裾野の拡大といった面で貢献できていると考えています。

小西:私たちは起業家を何名輩出したかが目標ではなく、社会の課題を発見して、新しいアイデアを考え、人前でプレゼンテーションし実際に取り組んでいく人を育てているというところを目指しています。

渡辺:Tongaliが立ち上がった経緯についてお聞きしたいです。

小西:小西と岡部はTongaliが開始された2015年は事務局にいなかったため、開始当初を知る人に事情を聞いてきました。もともと名古屋大学博士課程学生のキャリア支援活動を行っていたときに、将来のキャリアの選択肢として研究の道に進むのか就職するのかのどちらかで、起業という選択肢が全くありませんでした。

 東京では学生から起業家が生まれることも多いですが、名古屋ではほとんどいませんでした。東京で活躍している起業家の中に名古屋出身の人は何人かいますが、彼(女)らは成功するために起業家の多い東京に行く形となっていました。

 そこで、起業におけるマインドセットを地元名古屋で学ぶことができれば名古屋でも起業家が増えるのではと考えました。東海地区にはそのような起業家のマインドセット育成を行うようなプロジェクトが無かったので、自分たちで始めました。

岡部:Tongaliは文部科学省の次世代アントレプレナー育成事業「EDGE-NEXT」の補助金を活用して運用しています。2016年にEDGE-NEXTの前身EDGEに名古屋大学も応募しましたが採択されませんでした。

一方でアントレプレナー教育を行うことの必要性を感じていた事に変わりはなかったため独自で開始する判断をしました。ちなみに、現在はEDGE-NEXTに採択されており、東海地域の5つの大学が協力したコンソーシアムとして運営しています。

渡辺:Tongaliに参加する学生にとっての魅力ややりがいはどのようなことだと思いますか?

小西:先ほど申し上げたように、敷居が低く活用方法の柔軟さがTongaliの魅力の一つですね。また、全てのプロジェクトを無料で参加できることは学生にとって重要な要素ではないでしょうか。例えば、2月に行ったオンラインの海外研修を愛知県内の温泉旅館で行いましたが、プログラム参加費、宿泊費、朝昼夕食代がついて無料です。そういった点に魅力を感じてくださる学生ももちろんいますし、大学の講義では得られない体験ができるプログラム内容に魅力を感じていただくこともあれば、ここでしか出会えなかった繋がりを作れることを魅力だと思ってくださる学生もいます。

岡部:文部科学省からの補助金に限らず、民間企業からも協賛をいただいてプロジェクトを運営しています。Tongaliに関わってくださる学生はエネルギッシュな人が多いため採用活動の一環として、活用されている企業もいます。

渡辺:事務局員にとってのTongaliの魅力・やりがいをお聞きしたいです。

岡部:学生さんとTongaliを通じて関わることができるので楽しいです。Tongaliに関わっている子は一見変わった子も多いですが、話を聞いていると新しい気づきなどを与えてくれます。学生が考案したアイデアが実際に起業や事業化に繋がる過程を見ることも楽しいですし、事業を進める中で壁にぶつかる人もたくさんいます。そんなときどう乗り越えるかを一緒に考えたり相談に乗ったりして、学生が乗り越えていく姿に成長を感じてやりがいを感じますね。

小西:この仕事は楽しいからやめられないですよね。学生さんの授業がない土日や長期休暇などの時間で活動しているため、我々は休日を返上することも多いですが、それでも楽しいです。

齋藤:学生さんと一緒になって親身に相談を受けて下さっているのですね。

小西:メンバーを集め、事業化を進めて行く中で頓挫してしまうチームもたくさんあります。事業に対する熱意を継続して持ち続けられる人とそうでない人とのギャップでメンバーが仲違いすることもあります。何度も苦しい場面は訪れますが、それらを乗り越えて、成長していく姿に触れられるのが幸せです。

渡辺:最後に、この記事を読んでいる学生へのメッセージをお願いします。

小西:再度申し上げますが、Tongaliプロジェクトは起業を勧めるためのプログラムではありません。
むしろ気軽な気持ちでTongaliプロジェクトをイメージしてもらえたらなと思います。例えば、「友達や元気な人とネットワーク作りたい」、「無料で参加できる合宿なら良さそう」、「発表して目立ってみたい」、「就職活動に有利になる体験ができたらいい」など、きっかけはなんでもいいので楽しそうなところに行くような感覚で関わってもらえたらなと思います。

何日も続くプログラムもあれば、1時間オンラインで視聴するだけのものまで様々なプログラムを用意しています。まずは参加しやすいものからで構わないので、ぜひ一度来てみてください。

岡部:Tongaliを起業家育成プロジェクトとあまり思わないで欲しいなというところと、コロナで人との関わりや大学の講義以外に新しいことをやりたいと思った方は、同じようなやる気を持った仲間が作れると思います。気軽に遊びに来るような感覚でもいいのできてもらえれば嬉しいです。

渡辺:この記事を読んでも一人では参加しづらいと思う人は、友達を誘って一緒に来てもいいかもしれませんね。

小西:そうですね。友達と一緒に参加する人もいまして、高校の繋がりで違う大学の人が同窓会のような感じでチームを組んだこともあります。コンテストで賞金を一緒に目指して参加するのもいいと思います。

編集部コメント

プロジェクトの対象者である学生だけでなく、学生の活動を支援する運営事務局の皆様もやりがいを本心で感じているということを取材して感じました。また、繰り返し「裾野を広げる」という表現をされており、どんな学生も受け入れる存在でありたいという、ゆとりのある思いは、コロナ禍で閉鎖的な思いをしている多くの学生にとって魅力的なものではないでしょうか。

併せて読みたい

今年度のNagoya Startup Newsでは、東海地区5大学のTongali運営事務局を取材します。これまで取材した運営事務局の記事もぜひご覧ください。

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