気象と売上の関係性
気象と売上、一見関わりが無いように思える二者の間には明確な関係性がありました。異常気象などにより、影響を受ける可能性のことを「気候リスク」と呼びます。気候リスクは当事者によって異なりますが、小売店にとっては気温が非常に大きな要素になるでしょう。それらを①認識し、②定量的に評価し、③気候情報を用いて対応する一連の過程が「気象リスク管理」です。
気象庁は、食品を中心に扱う小売店における販売データを用いて、平均気温や降水量など気候がスーパーマーケット及びコンビニエンスストア分野へ与える影響を地域ごとに調査。その結果、多くの品目の販売数と気温・降水の間には関係があり、販売数が急増する気温といった気象条件は客観的に推定可能である、としました。そして、商品の中にはこうした気象条件が地域ごとに異なる場合があることが分かり、小売店の販売活動における気象リスク管理の有効性は実証されています。近年そんな気象リスクを管理する技術が注目を集め、需要が高まっています。
TRYETINGとノーコードAIクラウドUMWELT
TRYETINGは、データテクノロジーで産業と産業を繋げ、新たな価値を生み出すことを掲げる、2016年設立の名古屋大学発ベンチャー企業。同社は人間の知性を拡張し、よりクリエイティヴで労働生産性の高い産業構造の実現を目指しています。特に在庫管理・勤務シフト管理を中心としたサプライチェーンに関わるヒト・モノの最適化を得意とし、メーカー・小売・物流・商社など幅広い領域で「知能業務自動化」に取り組んでいます。
そんな同社の開発したノーコードAIクラウド「UMWELT」は、卸売企業や製薬企業、自動車部品メーカーなど幅広い企業に導入され、搭載している機械学習や最適化技術、RPAなど多彩な機能で社内の課題解決や事業効率化を実現してきました。
高精度天気データAPI対応
今回、UMWELTはウェザーニューズが提供する気象データセットとAPI対応したことで、高精度な天気予報を取り入れることが可能となりました。この気象データセットは高解像度な気象予測・過去予測・実況解析データを1km区切りの詳細さで提供します。そのため、店舗ごとのピンポイントな分析や、需要予測モデルの構築に適していることが強み。今後TRYETINGは、飲食店等の地域別・店舗別の売上予測の実現を目指すとのことです。
Nagoya Startup Newsでは、東海圏におけるベンチャー企業や新技術に関連するニュースを配信しています。名古屋には今回紹介したTRYETINGのようにAIを扱うベンチャーが多く本社を置いています。興味のある方は、以下の関連記事も併せてご覧下さい。
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