Crystal株式会社(本社:名古屋市西区、代表取締役社長:蒼佐 ファビオ氏)は、2024年7月に名古屋市内で電動キックボード「Su__i(スーイ)」を用いた実証実験を実施しました。この実験では、準天頂衛星システム「みちびき」のサブメータ級測位補強サービス(SLAS)を活用し、従来のスマートフォン単体での測位と比較して、その精度向上を確認しました。特に狭い住宅街や高層ビルが立ち並ぶ地域で、SLASを利用した測位が実際の走行経路により近い結果を示しました。
Crystalは、名古屋市内で電動キックボード「Su__i」のシェアリングサービスを提供しており、今回の実証実験では、都市部における測位精度の向上を目指して準天頂衛星システム「みちびき」のSLASを利用しました。SLASは、誤差が1メートル以下となる高精度な測位補強サービスであり、スマートフォン単体での測位に比べて、都市部のような障害物が多い環境でも正確な位置情報が得られることが期待されています。
実験は、名古屋市内の狭い住宅街(西区那古野周辺)や高層ビルが密集する地域(丸の内、伏見、矢場町)で行われ、SLASを利用した測位とスマートフォン単体での測位の比較が行われました。結果、SLASを利用した測位は、スマートフォン単体での測位よりも実際の走行経路に近い結果を示し、特に高層ビルが立ち並ぶ地域では、スマートフォン測位の誤差が大きくなる一方で、SLASは安定した精度を保ちました。この実験により、SLASが都市部での移動において、より正確な位置情報を提供できることが確認されました。
高層ビル密集地域で顕著、SLASによる位置情報の精度向上が明らかに
今回の実証実験では、名古屋市内のさまざまな環境での測位精度が検証されました。狭い住宅街では、SLASを利用した測位が実際の走行経路にほぼ一致し、スマートフォン単体での測位に比べて精度が向上していることが確認されました。また、距離誤差の平均もSLASを利用した測位が6.17メートル、スマートフォンでの測位が7.58メートルと、1.41メートルの差が見られました。
https://crystal-pm.github.io/mapping-ex-part1/
一方、高層ビルが密集する地域では、SLASを利用した測位の平均誤差が5.83メートルに対し、スマートフォン測位では14.63メートルと大きな差が生じました。特に、広小路通ではスマートフォン測位で20メートル以上の誤差が多く見られ、最大で70メートル近くまで誤差が広がるケースもありました。これに対し、SLASを利用した測位は5メートル以下の誤差に収まることが多く、都市部においても高い測位精度を維持することが明らかになりました。
https://crystal-pm.github.io/mapping-ex-part2/
本実験の結果を踏まえ、Crystal株式会社は、今後もSu__iの測位精度のさらなる向上に努め、安全性と快適性を高める事業展開を進めていく方針です。SLASの活用は、都市部の複雑な環境においても、より正確な位置情報を提供し、ユーザーの安心・安全な移動を支える技術基盤となることが期待されます。
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