—— 初めての海外は不安。できるだけたくさん現地の情報を知りたい。もし可能なら、現地の日本人の方にガイドをお願いしたい。
そんな「したい」が叶う!をコンセプトに、海外に行く日本人と、旅のお手伝いをしてくれる海外在住日本人をマッチングするサイトがあることをご存知でしょうか。
その名も「Traveloco(トラベロコ)」。2017年1月に海外在住の日本人登録者数10,000人を達成した、日本最大級の海外プラットホームです。
今回、わたくしNagoyaStartupNews編集長の栗栖(クルス)が、トラベロコ代表取締役の椎谷ゆたかさんにトラベロコの知られざる裏側から今後の展望まで、お話を伺ってきました。
椎谷ゆたか
埼玉県さいたま市出身。名古屋市在住。海外旅行情報サイトを運営している株式会社ナビドットコムを経て、2014年1月、海外在住日本人と海外に行く日本人をマッチングするサイト「トラベロコ」を立ち上げる。2015年12月に法人化し、2017年1月には海外在住の日本人登録者数10,000人を達成。同サービスを対応エリア140ヵ国1350都市の日本最大級の海外プラットホームに成長させる。
- 第1回:Traveloco
- 第2回:トラベロコを使ったのは数えるほど!?
- 第3回:共同創業者、ベトナムより現る。
- 第4回:質問する人が恐縮するQ&Aサービス
- 第5回:トラベロコ VS Google翻訳
- 第6回:シェアリングエコノミー元年を越えて
- 第7回:地球を歩く日本人のニーズ
目次
第7回:地球を歩く日本人のニーズ
——トラベロコはアウトバウンドのほうに特化していますが、Airbnbのようにインバウンドのほうも取り込んでいく、というのはやらないのでしょうか?
それは全くないんですよ。仕組みとしてはいくらでもできるんですけど、やってもあんまり意味がないんです。なぜなら、ニーズがない、と個人的に思ってるんです。もともと前の会社が海外に行く日本人のための旅行情報を扱っていたんです。だから、その逆バージョンというのもできたんですよ。
——日本に行く外国人のための、みたいなサイトですか?
そうですね、いくらでもできたんですよ。そういう話もいっぱいあったんですけど、全部断ったんですよ。なぜかというと、濃い情報を必要としているのは日本人だからだと思っているから。
地球の歩き方とかがそうなんですけど、細かい情報がいっぱい書いてあるじゃないですか。日本人は細かい情報がすごい好きで、すごい気にするんですね。海外に行くときに、地球の歩き方一つでいいのに、地球の歩き方とは別に冊子を買って、こんな分厚い状態で行くじゃないですか。それくらい日本人は心配性で、得ることができる情報は持っておきたいという欲求があるんですよ。
海外の人はそういうのがなくても、行き当たりばったりでも全然できちゃうんですね。ハプニングがあっても、それが旅行だという感覚でいられるんです。
日本人だとそれが許されないんですよ。向こうでハプニングがあったら、もうその旅は終わったみたいな(笑)
もちろん、バックパッカーの人とかは全然別ですよ。そういうのを楽しむのがバックパッカーなので。一般の日本人は海外でハプニングが起きたらだめなんですよ。だから、すごい準備して、絶対に迷わないように地球の歩き方を見て行って、載っていたお店が潰れていてショックを受ける、みたいなのが日本人なんですよ(笑)
そういうもんだっていうのを日本人はなかなか許せなくて、そういう感覚は日本人的な発想なので、海外情報がすごい必要とされてたんですね。
それの逆のバージョンとなると、もちろん情報がほしい人は一杯いるんですよ。でも、日本人ほどの欲求はないんです。ただ情報を得るだけで終わりなんですね。そこから先の、詳しくて、自分を納得させて、安心させるような情報がほしい、という感覚は海外の人にはなかなかないんです。
情報をあげるだけあげて、ビジネスにならないのが最初から見えるんですね。個人的には、インバウンド向けの情報サイトの難しさはそこかなと思っています。
トラベロコも日本でやることはできるんですけど、ニーズが濃いかどうかということを考えると、成立しないかなと思います。トラベロコのニーズはすごい高いんですよ。ユーザーのニーズが異常に高い。だから、マッチングが成立しやすいんですよ。
——ニーズがあるって大事ですよね。
使う人がどこまで課題を抱えているかとか、そういういところは結構大きいかなと。課題感がどれだけ強いかどうか、というのはビジネスをやる上では必要になってくるんじゃないかなて思います。マネタイズするビジネスって、ちょっと前までだと、集客してどうにかなるって感じだったんですよ。でも、最近だとやっぱりそれは難しくなってきている。あとから、見つけることはもちろんできるんですけど、その間にポシャるサイトはあるじゃないですか。
そうなるくらいだったら、ニーズをしっかりとらえて、そこに対して、ちゃんとしたサービスをやったほうが残念感がないような気がします。たとえ失敗したとしてもね。目的がないのになんかやっても仕方ないかなって個人的には思いますね。
編集部コメント
今回のお話の中で一番印象に残ったのは、海外在住の日本人が活躍できる場を作りたい、という椎谷さんの思い。一方で、海外旅行が好きということもあって始めたサービスなのに、家族を大切にし、仕事に集中するあまり、海外旅行に行く機会がなくて、自身のサービスをあまり使うことができていない。そんな意外な一面も垣間見ました。海外旅行が好きな方、海外出張の予定がある方、あるいは、これから海外に住む予定の日本人の方は、ぜひ一度使ってほしいと思います。